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2012年8月11日土曜日

(麻) anesthetic management for pneumonectomy - 肺全摘術の麻酔管理メモ

肺全摘術の麻酔についてです。
意外と情報が得られなかったので、次に担当するときに右往左往しないよう、そして今回の管理よりも向上できるよう、ここにメモ書きを残しておきます。

引用文献はCurrent Opinion in Anaesthesiology 2009, 22:31-37の「Update on anesthetic management for pneumonectomy」です。今の状況にあわない箇所もあるかもしれません。もし記載に大きな間違いがあったり、こうした方がもっと良いです、というのがあれば是非と教えて下さい。よろしくお願いいたします。

***
・30日以内死亡率5−13%(術後ALIは4%)
@術前検査:大きく分けて以下の3つが大事
1. lung mechanical function: FEV1 (ppo>40%)
2. cardiopulmonary reserve: VO2 max (>15ml/kg/min)、階段2階以上、6分間歩行SpO2<4%
3. pulmonary parenchymal function: DLCO (ppo>40%)、PaO2>60, PaCO2<45
 *ppoFEV1%が…
  注:この値は術前FEV1% × (1-%functional lung tissue removed/100) から求める
  ・>40%なら患者の諸々の状態良ければ手術室抜管、
  ・30-40%なら抜管考慮(運動耐容能、DLCO、V/Q scan、併存合併症などを考慮して)
  ・<30%ならゆっくり時間かけて抜管

@手術:後側方切開が標準。血管処置後に主気管支を切離。分泌物が貯留しないようになるべく中枢で切離する。air leak test後閉胸。ドレーンの陰圧を通常の葉切除術と同様に設定して行うと、縦隔が偏移して循環虚脱が起きる可能性がある。

@麻酔
・禁忌なければ硬膜外併用。
・輸血を考慮し大口径末梢ライン。もしくはCVC。
・動脈圧ライン
・肺全摘術後は右心室の後負荷が上昇(PAP↑、PVR↑)し、右室機能低下を起こすので注意
・分離肺換気:二腔換気用チューブ(DLT)でもブロッカーでも可能。左肺全摘なら右用DLTを使う。もしくは左用DLTないし左主気管支に気管支ブロッカーを入れて気管支切離直前に適切な位置に引くことでも管理可能。術前に相談しておく。
・輸液管理:24時間以内に3L以上の輸液投与で急性肺傷害の独立危険因子(Anesth Analg 2003; 97:1558-1565)。腎機能維持を考慮しつつ制限的輸液戦略がよいようである。
  ・そのため、血行動態維持、酸素供給維持のために昇圧薬併用を考慮
 1. 輸液バランス20ml/kgを超えない
 2. 初めの24時間で3Lを超える晶質液投与をしない
 3. いわゆるthird space lossの補充は術中に行わない
 4. 尿量0.5ml/kg/hは必要ない
    5. 術後に組織血液灌流をを上げたいならば、輸液を負荷するよりも侵襲的モニター(注:PACとか?)を参考しつつ、昇圧薬を使用するのが好ましい。
・片肺換気中の呼吸器設定
      一回換気量5-6ml/kg, PEEP5cmH2O, 最高気道内圧<35cmH2O, プラトー圧<25cmH2O

*稀だが閉胸後(直後、<24h)の心ヘルニアに注意。死亡率>50%。心膜が開いていると起こる可能性あり…CVP上昇、頻脈、低血圧、で気づく。発症したら緊急手術が必要。鑑別診断は血胸、肺塞栓、不適切な胸腔ドレーンによる縦隔偏位

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