ベストセラーらしいですよ。この本。と言ってもどこのどなたが買って読んでいるのか私は存じませんし、少なくとも私の周りでこの本読みました!という人にまだ出会っていません。恐らくこの本を読んで溜飲を下げた方がいたとしても、その方が、私に面白かったですよ!と、そう簡単には言ってはくださらないでしょう。そういう種類の本だと思います。
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昨年、まさか、というタイミングで、自分の人生にとっての一山(?)を超えた時とその後数ヶ月。私はずっと考えていました。
これを乗り越えたのだから、もう、大抵のことは大丈夫だろう、これに比べて大変なことはそうそうないだろう、と。
でもそれが甘い見通しだったことは、今の自分にはよく分かります。何故なら、「大変なことがそうそうない」状態のままに今日まで来ていたら、この本を、今、手に取ることは恐らくなかったでしょうから。生きている限り、色んな「困難に感じることがある、それが本当に困難かどうかは別として」ということでしょう。今、それを身を持って体験していますが。
ここまで読まれた方がいたとして、私が何を書いているか意味不明に感じる方はおそらくそれなりの数でいらっしゃると思います。特に医者、特に麻酔科を仕事としている若い先生方の中には、もしかしたら多いかもしれません。
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という前ふりをさせていただいて、いろいろと自分の心に引っかかった箇所を引用させていただきます。
賞に応募して、落選するならすればいいのです。そうすればもっと成長できるかもしれないし、あるいは別の道に進むべきだと理解するかもしれない。いずれにせよ、前に進むことができます。いまのライフスタイルを変えるとは、そういうことです。応募しないままでは、どこにも進めません。 p55-56
そうすることによって、わたしは他人より優位に、そして「特別」になれるわけです。病気になったとき、怪我をしたとき、失恋で心に傷を負ったときなど、少なからぬ人がこのような態度によって「特別な存在」であろうとします。
―自らの劣等感をさらけ出し、あたかも武器のように使うわけですね?
―ええ。自らの不幸を武器に、相手を支配しようとする。 p89
大切なのはここからです。「人々はわたしの仲間なのだ」と実感できていれば、世界の見え方はまったく違ったものになります。世界を危険な場所だと思うこともなく、不要な猜疑心に駆られることもなく、世界は安全で快適な場所に映ります。対人関係の悩みだって激減するでしょう。 p99
人は、対人関係のなかで「わたしは正しいのだ」と確信した瞬間、すでに権力争いに足を踏み入れているのです。 p107
そもそも主張の正しさは、勝ち負けとは関係ありません。あなたが正しいと思うなら、他の人がどんな意見であれ、そこで完結すべき話です。ところが多くの人は権力争いに突入し、他者を屈服させようとする。 p107
われわれは「これは誰の課題なのか?」という視点から、自分の課題と他者の課題を分離していく必要があるのです。 p140
「人は、自分には価値があると思えたときにだけ、勇気を持てる」。 p205
そういえば以前、カート・ヴォネガットという作家が、同じような言葉を引用していましたよ。曰く、「神よ、願わくばわたしに、変えることのできない物事を受け入れる落ち着きと、変えることのできる物事を変える勇気と、その違いを常に見分ける知恵とをさずけたまえ」 p229
そう、われわれはなにかの能力が足りないのではありません。ただ”勇気”が足りていない。すべては”勇気”の問題なのです。 p229
ほんとうは自己受容や他者信頼、または他者貢献ができていないことが問題なのに、どうでもいいはずのごく一部にだけ焦点を当てて、そこから世界全体を評価しようとしている。それは人生の調和を欠いた、誤ったライフスタイルなのです。 p247
過去にどんなことがあったかなど、あなたの「いま、ここ」にはなんの関係もないし、未来がどうであるかなど「いま、ここ」で考える問題ではない。「いま、ここ」を真剣に生きていたら、そんな言葉など出てこない。 p271
人生における最大の嘘、それは「いま、ここ」を生きないことです。過去を見て、未来を見て、人生全体にうすらぼんやりとした光を当てて、なにか見えたつもりになることです。 p275
「他者に貢献するのだ」という導きの星さえ見失わなければ、迷うことはないし、なにをしてもいい。嫌われる人には嫌われ、自由に生きてかまわない。 p280
「誰かが始めなければならない。他の人が協力的でないとしても、それはあなたには関係ない。わたしの助言はこうだ。あなたが始めるべきだ。他の人が協力的であるかどうかなど考えることなく」。 p282
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うーん、やっぱり、この人生はこれでいいんだ。明日もがんばろ。
ということで、今現在、悩みが1つでもある人にはおすすめしたい本です。1575円とこの本を読む数時間、決して無駄にはならないと、今の私には思える1冊でした。
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そういえば、このブログものべ30万人の方に訪れていただいたようです。袖すり合うも他生の縁、ということで皆様に感謝です。意味があるのか無いのか分からないようなブログのままに続けていきたいと思います。
これからもどうぞよろしくお願いします。