このブログを検索

ラベル 学会 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 学会 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2022年7月11日月曜日

真似ることの大切さ

日本ペインクリニック学会第56回学術集会に、現地参加してきました。
拙いながら演題を出せたのは職場の皆さんのおかげ。
参加させてくださった職場の皆さんに心から感謝。

幸い大会2日目の学会会長講演を拝聴できました。素晴らしい講演。
その中で、私が以前読んだ村上春樹氏の著書「走ることについて語るときに僕の語ること」を引用しておられ、もう一度、氏の著書を読みたいと思いました。感謝。


それ以外に、講演の中で私が素晴らしいと思ったことは
・繋ぐ痛み治療
・型にはめることの大切さ
・難治性疼痛患者:患者背景を知ることが最も大切
・WHOから発表された小児慢性疼痛のガイドライン2021


上記の中で「型にはめることの大切さ」といえば、最近読んだ佐渡島庸平氏の著書「観察力の鍛え方 − 一流のクリエイターは世界をどう見ているか」の中でp75にこう記されていました。

以下引用

4 徹底的に真似る 型に気づく

 繰り返しになるが、優れた仕事に必要なことは、ホームランではない。当たり前を積み重ねることだ。だから、突飛なアイディアを思いつくことよりも、基本を身につけることが、一番重要だ。

 どんなフェーズにいる人も、まずは「真似る」。

引用終わり


学会に参加して、私はまだ、オリジナリティを出す段階ではなく、真似ることで成長する段階であることを再確認しました。挑戦することを恐れずに。

2019年4月29日月曜日

日本区域麻酔学会第6回学術集会に参加してきました。

ハンズオンセミナーを時間が許す限り受講しまくってきました。超音波ガイド下腰神経叢ブロックはやはりちょっと敷居が高い…というかそのような症例は透視下に大腰筋筋溝ブロックをするというプラクティスでよいような気がしました。多分、まだまだ、自分は超音波下に針を描出する能力にかなりの伸びしろがある(つまりまだまだ手技としては発展途上ということです)ので、安全に、自信を持って、できることを1つずつ増やしていきたいものです。

初高知でしたが、学会が面白すぎて観光は1つもできませんでした。新しくお知り合いになった先生や、既にお知り合いになっている先生、昔所属していた医局の後輩の先生などなどにお会いすることができて、その面でも非常に充実した3日間でした。

ついでに…というか第1回となるJ-RACEも受験してきました。噂によると50名程度の受験者を見込んでいなかったらしいですが、実際の受験者は500名超えでした。試験問題は勉強不足のため私にとっては難しかったのですが(5つの選択肢のうち2つ正しいもの/間違っているものを選べ、という設問が多かったです)、全体的には、きちんと勉強してきた人が評価されるようなレベルだったのではないかと思います。5月中旬には合否判定が郵送されてくるそうなので、それを不安な気持ちで待つことにします。今年ダメだったらまた来年受験します。

RAPMが読みたいのですが所属している大学で契約されていないので、今更ですが自分でESRAに入会しました。130ユーロ/年でRAPMが読み放題です。月々約1300円で紙の雑誌も送られてくるというのですから、かなりお得です。

もっと色々うまくなりたいなぁ。うまくなるにはコツコツやるしかありませんね。

2019年3月28日木曜日

下肢の末梢神経ブロックについてのレビューなど

RAPMの2月号なので、もう読んでおられる方もいるかと思いますが、今現在無料でアクセスできます。


下肢の皮膚、筋肉、骨の神経支配についてのきれいな図、ブロック施行時に局麻に添加するadjuvantのEBM、LASTへの対応など盛りだくさんの全38ページのレビューです。無料で読めるとはすごい太っ腹。来月行われるJ-RACEの対策にも使えるかもしれません。

***
第3回タイカダバーハンズオンセミナーに参加してきました。X線透視下/超音波ガイド下神経ブロックなどの手技の修行を、カダバーを利用させていただいて行える稀有なセミナーです。

https://www.jpcit.jp/event_20190307-10_3rd-cadaver.html

私はbasic courseで参加させていただきましたが、椎間板造影、神経根ブロック(腰部、胸部、頸部)、椎間関節ブロック(腰部、胸部、頸部)、大腰筋筋溝ブロック、腹腔神経叢ブロック、ガッセル神経節ブロック、脊髄刺激療法(SCS)、RACZカテーテル手技、DISC-FX手技などについて教えていただきました。

来年も開催予定で、2020年3月5-8日予定のようです。可能であれば来年も参加したいと思います。

***
あとは、第43回東北ペインクリニック学会で一般演題の発表と、北関東甲信越ペインクリニック学会第8回に参加してきました。

一般演題・教育講演その他演題すべてがなるほどなるほど、と勉強になり楽しかったのですが、なかでも東京大学の笠原諭先生のご講演「慢性疼痛に対する俯瞰的評価とペインクリニシャンによる治療介入」が大変興味深い内容でした。
講演の中では、慢性疼痛患者さんにはパーソナリティ障害がある方もおられるため、医療面接のやり方にコツがある(勿論それで全てうまくいくわけではありません、ということも記載させていただきます)、ということをおっしゃられておりました。

推薦図書の1つに以下の書籍を挙げておられましたので、読み始めました。3024円です。

医療スタッフのための 動機づけ面接法 逆引きMI学習帳. 北田 雅子 (著), 磯村 毅 (著)

***
本といえば、

わたしの信仰: キリスト者として行動する フォルカー レージング (編集), Angela Merkel (原著), Volker Resing (原著), アンゲラ メルケル (著), 松永 美穂 (翻訳)

に興味を惹かれて読み始めました。

健康な人は、自分の人生を自由に形作れるのはーわたしたちの足が導かれた広いところを踏破するのはー当たり前のことではないのだと、日々新たに自分に言い聞かせるべきです。別の状態もありえるのだということを、決して忘れるべきではありませんー人生は美しく、完璧な面だけを持っているのではないのです。そのことを常に意識に中に呼び起こすことがとても重要だと思います。なぜならそれによって人生の展望を狭めずにすむからです。 p48

長きにわたって首相をつとめている方が、どのような言葉を発してきたか。その精神が強靭でなければ(強靭という言葉では到底足りないと思いますが)到底つとまらない仕事をしながら、何を考えてきたのか。

最後まで読むのが楽しみな一冊です。

2019年2月17日日曜日

「福岡市を経営する」を読む、慢性疼痛学会に参加する、ケタミンは開胸術後慢性痛を減らさない

久しぶりに一冊全部読みました。

36歳で福岡市長になって現在三期目を務めていらっしゃる高島宗一郎氏による著作です。
36歳で市長になるってこと自体、驚愕ですが、自分で道を切り開いて目に見える成果を出しているところがまた驚愕です。

以下メモ。

なげやりと思われるかもしれませんが、これは決して「なるようになるさ」という行き当たりばったりのような意味ではありません。どうぞ私の命をこの世の中のために使ってください、という感覚なのです。私の居場所はどこでもいい。私に役割があるのであれば、運命がその役割に私を配置するでしょう。その置かれた場所で、全力を尽くすのみです。p74

だから、明日死ぬかのように今日を生きる。p75

ただ技をかければいい、ただギブアップが取れればいい、ということだけでなく、痛みや喜び、苦しみ、葛藤といった感情が伝わるレスラーこそが一流なのです。さらに「人生」まで伝えることができるレスラーは超一流です。p81

街を変えるには「よそ者、若者、バカ者」という3要素が必要と言われます。私は見事にすべてに当てはまります。p169

上の世代は、自分たちで道を切り開き、今の日本の繁栄をつくりました。心からリスペクトしています。私たちの時代も、繁栄を誰かが運んできてくれるわけではありません。自らの時代は自らで闘って勝ち取るもので、相続を期待するものではないのです。p201

チャンスはいつやってくるのかわかりません。それでも、いつそのときが来てもいいように緊張感をもって準備をしておくことが大切です。p248

***
第48回慢性疼痛学会(岐阜市)に行ってきました。久しぶりに一般演題で発表の機会をいただきました。会場の岐阜市まで、実に7時間かかりました。

行かせていただいた成果としては、2日間缶詰で以下の項目について、シンポジウムや教育講演、セミナーを受講できました。発表者の真摯な思いが伝わってくるものばかりでした。

・慢性痛はゼロを目指すべきか
・頭痛(一般演題)
・脊椎脊髄疾患術後遺残症状(痛み・しびれ)のメカニズムと対策
・パーキンソン病の姿勢・腰痛・手術
・周術期疼痛管理におけるtransitional pain serviceの役割
・痛みの構造で考えるオピオイドの選択
・臨床研究法を視野に入れたビッグデータ解析
・タペンタドール
・薬物依存
・がん患者の非癌性疼痛や慢性疼痛のオピオイド
・FBSS(failed back surgery syndrome)に対するインターベンショナル治療
・ガバペンチノイド(ミロガバリン)の可能性と課題
・腎機能障害時の薬物選択と運動器疼痛の治療効果判定
を聴講しました。

また、学会の後に行われた第4回日本ペインクリニック・インターベンショナル治療研究会にも参加し、他施設の治療経験や経皮的椎間板治療について知ることができました。

***
上記学会に行くちょっと前に読んだ論文。

Ketamine infusion for 96 hr after thoracotomy: Effects on acute and persistent pain (Eur J Pain. 2019 Feb 4. doi: 10.1002/ejp.1366. [Epub ahead of print] PMID: 30719817)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30719817

開胸術は術後慢性痛の頻度が高いものの一つとされています。この論文では、NMDA受容体拮抗薬であるケタミンが、そのような痛みの頻度を減らすか、について検証しています。プロトコルとしてはケタミン0.1mg/kgボーラスした後に、0.1mg/kg/hを術開始10分前から96時間投与し生食持続投与群と比較した前向き二重盲検試験です。結果、ケタミン投与群は、術直後のオピオイド使用量を有意に減らしましたが、手術後6週間〜12ヶ月の痛みを低下させることはなかった。ということです。

***
この2−3日は、自分の中にパッションがたくさんあることを再認識することができる貴重な期間となりました。支えてくれた皆さんに心より感謝いたします。


2018年9月1日土曜日

2018年度北海道・東北支部周術期管理チームセミナー

「麻酔・手術後の気道と呼吸 (副題:挿管よりも危険な「抜管」)」という演題をいただき、お話をさせていただきました。聞いてくださった方々、また座長の先生に感謝申し上げます。
周術期管理チーム認定の試験、以下のホームページ内で公開されていますが、結構難しいです。

http://public.perioperative-management.jp

良い勉強の機会になりました。

2013年2月2日土曜日

(雑) 麻酔科学会の事前登録、してみました

昨日からはじまっていたので、昨日早速登録しました。
http://www.anesth.or.jp/news2012/20130201.html

学会もFacebookでの情報発信、はじめたのですね。

昨年は事前登録したのに結局学会に行かなかったので(実験で使う機械の講習会や細胞のお世話のほうが重要だったのです)、15000円を無駄にしてしまいました。行かなかったことで得たものもいろいろあったので、100%無駄ではなかったのですが。

今年は演題さえ通れば絶対に参加するので、まぁ大丈夫だろうということで^^;
ついでにいくつか面白そうなリフレッシャーコースも申し込んでみました。じっと座っているのが苦手なので、厳選しました。
ついでにホテルも予約してみました。
飛行機も…と思いましたが、まだ日程が決まらないので、また後日。

今年は面白そうなハンズオンセミナーに参加したり(学会のタイムテーブルを見ると、今年はそういうものは行われないんでしょうか?) 、面白そうな外国の先生の講演、面白そうな基礎研究のセッションやポスター、優秀演題コーナーを見に行こうと思います。
後は普段なかなか会えない先生と話したり、美味しいお酒と美味しい食べ物に出会えればいいですね。

知識はもとより、自分のコミュニケーション能力が少しでも高まるような学会にしたいです。知識を得るだけなら学会に行く必要もない気がしますし。


2012年11月26日月曜日

(雑) 麻酔科なくなりますか

11月1日に仮登録して放置していたら、いつの間にか今週金曜日には締め切りではないですか。何とか間に合うかな…。

***
先日、会議で、とある先生が「麻酔科が20年先もあるか気になります」と発言しておられました。私も同感です。


COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2013年 01月号

世界から「仕事」が消えてゆくとあります。最近こういうお触れをあちこちで見ます。ちょっと前に読んだ「ワークシフト」もそんな内容です。

クーリエ・ジャポン1月号のp31には「医者ですら、ロボットに仕事を奪われる日が来る!?」というコラムが掲載されてます。実際にはそうはなかなかならないとは思いますが、どうなんでしょうね。楽観的すぎますか?
ちょっと前まで(今でもおそらく)、医者の過酷な労働状況が現場からの声やマスコミの報道で取り上げられてましたが、今後はそういう国内だけの次元の話ではなくなるでしょう。そして過酷な業務の人はますます過酷に、成功する人はますます成功する。他の業界ではとっくにそうなっていますし。

ちなみにp38-41に10年後も食える仕事9つが挙げられていますので、興味がある方は読んでみると面白いと思います。勿論医者は入ってません。

医者ロボットは現場に導入されてもきっとお値段は高いだろう
→ロボットを買えない(田舎や収入の少ない自治体または民間病院など)場所では人が医療を行うだろう(ただし今より大分安い賃金で)

なので

・今のうちに田舎に適応して、「あんのせんせでねばだみだ(あの先生じゃなきゃだめだ)」と言われるようになっておく
・今のうちに稼いでおいて、医者を辞める準備をする
・今のうちに稼いで勉強して、いつでも国外に逃亡するスキルを身につけておく
・医者ロボットでは、臨終間際の医療はまだまだ苦手だろうから、そういう医療サービス(終末期医療)を高いレベルで提供できるように今のうちから研鑽しておこう

ということで、色々と周術期麻酔科医以外の未来を妄想するわけですが、妄想の手助けになるか不明ですが、この本を買いました。

麻酔科診療にみる医学留学へのパスポート (シリーズ日米医学交流)

タイトル通り、どちらかと言うと真面目な妄想をしたい人向けでしょうか。

今すぐ読みたいのはやまやまですが、抄読会の準備と原稿を書きます…。


2012年11月6日火曜日

(麻) Nexfinでは、ショック患者の心拍出量測定は信頼出来ない、とする論文

Nexfinは、指先に装着したデバイスによって、無侵襲に血圧やstroke volume、cardiac output、systemic vascular resistanceなどを計測することができるモニターということです(BMEYEのホームページ参照)。ちょっと前のAnesthesiologyにも精度検証の論文が掲載されており、Q君が抄読会で担当しておりました。これはfree記事。

Noninvasive continuous arterial blood pressure monitoring with Nexfin®. Anesthesiology. 2012 May;116(5):1092-103. PMID: 22415387

そのNexfinについての論文。またしてもDr. Monnetが報告しています。

The estimation of cardiac output by the Nexfin device is of poor reliability for tracking the effects of a fluid challenge.
Critical Care 2012, 16:R212 PMID: 23107227

重症患者でNexfinが
・cardiac outputを予測できるかどうか
・輸液チャレンジ(生食500ml30分)に対してCOの変化を反映することができるか
の2点を、PiCCOで得られたデータと比較して検証しています。タイトル通り、どちらにおいてもNexfinはネガティブだったと結論しております。

・対象患者45人中、7人はNexfinで測定不能だった。
・残り38人中ノルエピネフリン投与患者は17人(45%)、量は0.4γ [四分位範囲:0.21-0.60]。
・ショックの分類:septic shock 33人、hypovolemic shock 5人

これまで、侵襲的モニターと同様にNexfinは信頼できるだろうと報告されていた論文では、手術室、人工呼吸やカテコールアミン投与終了後の心臓外科患者、CRT患者、エコー検査室、健康な人、が対象とされていました。ですが、今回対象となったショック患者においては、同様な結果を示すことができませんでした。それは恐らく敗血症による末梢組織の低灌流(ノルエピネフリン投与の有無にかかわらず)が影響しているのでしょうと考察しています。
***

最もデータを測りたい患者さんたちを対象とした本研究において、得られた値の信頼性が乏しかった、とはなんとも悲しいですが、そうした重症な患者さんたちでは侵襲的モニターや薬剤投与ラインが必要ですから、それほど悲観することはないんでしょうね。どちらかと言うと「もう侵襲的モニターいらないよ。でもちょっと心配」っていう状態の患者さんたちでの信頼性が高ければいいような気がします。

***
 

日曜日から鼻汁、咽頭痛、咳嗽が始まりました。
前回風邪が治ってから371日目でした。成人して以降、恐らく最長期間更新です。回復したらまたゼロから記録に挑戦します。

日本麻酔科学会総会用の演題。先週、ひとまず登録しました。締め切りまで3週間と少しありますので、修正を繰り返して完成させてみようかと。

2012年10月20日土曜日

(麻) ASA annual meeting ~Anesthesiology 2012~ 雑感ほか

ブログの更新が暫く滞ってしまいました。


今回は自分の発表はなかったので特に呼ばれてなかったのですが、行かせてもらえる幸運に恵まれましたので、ラッキー!とばかりに行って参りました。今回でJSA総会参加回数とASA annual meeting参加回数がともに3になりました。
日当直明けにふらふらしながらD.C.行きの飛行機に乗り、帰ってきた翌日には時差ボケする暇もなく、10時間半ほどの手術の麻酔を担当しました。
アメリカの食事を沢山食べましたが、出国前と帰国時とで体重が殆ど変化ありませんでした。奇跡です。恐らく学会場やD.C.の街の中を毎日14000-20000歩くらい歩いたせいです。地下鉄・タクシー・バスは勿論、街の中を走っていますが、徒歩30-40分くらいの範囲に色々とあるせいで、結構歩いてしまいました。

 
今回ASAに参加した目的を強いて挙げるならば、今、立ち上げようとしている新しい研究に関連した演題を聴きに行って最新の情報を得ることでしょうか。それと友人のposter discussionでの勇姿をカメラに収めること。彼はe-poster discussionでの発表だったのですが、それが微妙でした。彼の発表が微妙なのではなく、e-poster discussionはポスターをデジタル画面に映して、そのモニタの前で発表、討論するというものでしたが、そのモニタが通常のASAでのポスターサイズより小さいのです(下の写真のような感じ)。ということで文字やfigureも小さくてよく見えない。紙か布のポスターで普通にやったほうがいいんじゃないかと思いました。ASAも発表スタイルについてtry and errorしている最中だと思えば楽しめるのですが、演題の内容をよく知らないで聞きにくる聴衆には若干酷な試みだろうと感じられました。


あとは自分の関心の輪の中にある「fluid responsiveness」に関するポスター発表も幾つか聴いて来ました。

***
学会の話から脱線しますが、今年の6月2-3日にカリフォルニアで行われた下記のシンポジウムのまとめが公開されています。
血行動態最適化に興味のある方はどうぞ。

2nd Goal-Directed Therapy Symposium
Hemodynamic Optimization in Perioperative and Critical Care Medicine: From Theory to Practice
***

「産科と区域麻酔」のリフレッシャーコースも聴いてみましたが、こちらでは新しい知識は殆ど得られませんでした。演者が提示した引用文献の、割と多くの部分が90年代や2000年代前半のものだったので、この領域で新しいトピックはないということでしょうか。がっかりしたようなほっとしたような。他にも聴いてみましたが、リフレッシャーコースは日本の麻酔科関連の学会で参加すれば十分な気がします。英語リスニングのトレーニングにこそなりますが、知識についてはASAでもJSAでも得られるものは大して変わりないです。寧ろ、演者の講演中にぺちゃくちゃとお喋りするスペイン語の2人組の前に座ってしまったり、「その写真、家に帰ってから絶対見ないだろ」っていうような、演者のパワーポイントを熱心に写真撮影する異国の人が視界にちらついたりする不快さに遭遇する確率はASAの方が高い印象です。今回を含めて3回目のASAなんだからいい加減気づくべきですね。次回もしこの学会に参加する機会があったとき、自分が絶対聴きたいと思える内容でなければリフレッシャーコースに参加するのは止めよう。

ということで、私の麻酔の知識は大して増えませんでしたが、今後10年くらいに自分が何をすべきか。Washington D.C.への旅は、それを改めてよくよく考えるきっかけになりました。

結局
・学会はoutputの場であって、inputの場ではない。inputできるとすれば、それは教科書的な知識ではなく、やる気や熱意や発表の技法。
・学問を続けるなら、自分の英語力じゃまだ全然ダメ。引き続き生活の一部を英語でやっていこう。
という2点を再確認しました。


そういえば。
翻訳が出たら買おうかな・・・と思っていたパウロ・コエーリョの「Aleph」を成田空港で発見したので道中読みました。次のフレーズは今の私の気持ちを代弁してくれていました。

There’s no point sitting here, using words that mean nothing. Go and experiment. It’s time you got out of here. Go and re-conquer your kingdom, which has grown corrupted by routine. Stop repeating the same lesson, because you won’t learn anything new that way. (p10, Aleph written by Paulo Coelho in 2011, translated by Margaret Jull Costa in 2012 )

―Washington D.C.往復、飛行機上でのセットリスト―
行き
・Megadeth:Th1rt3en
・Lady Gaga:Born this way
・Mastodon:The Hunter
・The Mars Volta:Frances The Mute
・Dream Theater:A Dramatic Turn of Events
 ほか

帰り
・Helloween “Who is Mr. Madman?”
・The Devin Townsend Project:Deconstruction
・Ego Wrappin’ ”色彩のブルース”
・Ten:Stormwarning
ほか

また日本で頑張っていこう。



2012年9月30日日曜日

(麻) 麻酔科専門医試験、自分の講演の際に利用した書籍

麻酔科専門医認定筆記試験を今日受験された先生方、本当にお疲れ様でした。大変難しい試験だったとお聞きしました。

今さらですし、受験生なら皆さんご存知のページでしょうが、後で自分がお世話になるかもしれないので貼っておきます。
研修医チャンネルの麻酔科専門医試験対策ページです。先日はじめて知りました。

***
学会発表から1週間以上経ってしまったので、これ以上記憶が風化する前に、今回学術的な面(こちらは発表に際して100篇弱の原著論文、レヴュー論文にお世話になりました)以外で、発表に際してお世話になった本を羅列しておきます。すみませんが著者の敬称は省略させて頂きます。実務経験数年と浅いながらも、自分よりもその道に詳しい先生方が大勢いらっしゃるであろう場所において、何かしらの講演をする必要がある先生のお役に立てれば…と思い記載する次第です。

1.すごい説得力/太田龍樹/知的生き方文庫
2.発表の技法/諏訪邦夫/講談社ブルーバックス
3.論理的にプレゼンする技/平林純/サイエンス・アイ新書
4.理系のための口頭発表術/ロバート・R・H・アンホルト/講談社ブルーバックス
5.「ひとり会議」の教科書/山崎拓巳/サンクチュアリ出版
6.プロ講師になる方法/安宅仁、石田一廣/PHP研究所
7.人は誰でも講師になれる/中谷彰宏/日本経済新聞出版社
8.学生・研究者のための使える!PowerPointスライドデザイン/宮野公樹/化学同人

これらのうち、最も役に立ったのは4です。その次が8です。後は人それぞれ好みが分かれそうですが、2は一読の価値はあると確信します。私が麻酔科医だからかもしれませんが…。

***
夏休みを終えるにあたり、学んだことを羅列しておきたいと思います。

・自分よりも素晴らしい才能をもっている人がたくさんいる。そしてその上絶対真似できないような努力を継続している人がたくさんいる(当たり前ですね)
・どんな人も想像力や気遣いは有限である
・素晴らしいものは確かに素晴らしいが、凡そ金額相応であり、私にはそれが心地よくないようだ
・水の中で体を動かすことは楽しいかもしれない
・もしかしたら自分の膝が快方に向かうかもしれない
・「モモ」は素晴らしい本だった
・「君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?」は興味深い本だった。多分大学生くらいが読むのが一番効能を期待できるだろうけれど、30過ぎの私でも発奮させられる内容だった
・ルソーの著作をもっと読んでみよう
・自分の居場所を客観的に認識して、自分が楽しめて、そして社会の役に立てる仕事を死ぬまでできることはきっとしあわせなことだろう

2012年9月22日土曜日

(麻) 最初(で最後?)の共催セミナー演者までの隘路~240daysを振り返って

あっという間の8ヶ月間でした。一応経過を記録しておきます。

1/26 講演の依頼を受ける。青天の霹靂。
1/27 上司のI先生とTさんに協力を要請、まず考える
2/6 過去の共催セミナーの資料をいただき研究。喋る分野の最近の論文チェックを開始する
2/10 困ったぞ、何だかろくなひらめきがないや・・・
2/11 医局長選挙の後、ランチをしながら再度、上司と相談。モニターや波形の原理、そう、原理的なこととかどうだろう。とI先生と相談する。T先生にも助言をいただきつつ(ご馳走様でした)
2/20 オペ室で上司と相談。いろいろディスカスしているうちにもっと論文読まなきゃダメってことを痛感。
3-4月末:色々な状況から身動きが取れなくなる。長い膠着状態に入る。
5月末~6月上旬:何とか論文数十編読んで、1000文字抄録を作成。
6月11日:抄録提出。4回ほどI先生とメールでやり取りして校正してもらう。大感謝。
7-8月:パート先で予定手術が終わったら発表の準備しよう・・・と毎回大量の文献とMacBook Proを持ち込むも、緊急手術多くて殆ど進まず。
8/30 Tさんたちとおおまかな方向性で打ち合わせ
9/1 I先生にPowerpoint送付して意見いただく。このあたりからオーラルの練習開始。
9/12 学内で予演。
9/19 最終的なスライドチェックをTさんと行う。え、もう3日後なんですけどもうひと直し必要ですか?
9/21 発表前日 会場入りしてホテルで只管最後の喋り練習。
9/22 発表終了。

発表自体が成功だったのかはよく分かりませんが、一仕事終えることが出来ました。それだけで奇跡です。

今日、改めて色々思いました。本当に多くの方々にお世話になっていることを。皆さん自分のやるべきことで大変な筈なのに気を遣って下さる。素晴らしいことです。
皆さん、ありがとうございました。

2012年9月16日日曜日

(雑) 学会準備〜パソコン編

6月末におかしなことになったLet's Noteがどう足掻(あが)いても直らないことが判明。それどころかもう、ブーンと立ち上がりそうになって色々頑張ってくれるのですが、デスクトップ画面に1時間待っても到達できません。いい加減見切りをつけて、学会用に新しいノートパソコンを購入することにしました。そういえば家のプリンタや掃除機も寿命のようで悲しい限りです。

学会会場へはUSBなどのメディア持ち込みでも良いようなのですが、パワポの文字の位置がずれたり、アニメーションが動かなくなったり、いろんな危険性があるとの先達の教えを素直に聞いての判断です。慣れている発表者であればパソコンでトラブってもそれなりに平静でいられるんでしょうけれど、私はまずムリ。

国産のは高いわりにスペックがイマイチな上に必要ないアプリケーションがいっぱいついてくるので外国産のパソコンにしようかと考え中。ノートパソコンが安く買える時代で本当に良かったなぁ。

学会直前に色々やることが多すぎて、明日のJSCVA日帰り計画は完全に諦めました。

2012年9月13日木曜日

(麻) 学会発表の準備

学会が迫っています。昨日は指導医のI先生に予演を聴いてもらい、スライド1枚ずつについてディスカッションしました。
自分が「ここの箇所はどうかな~?だいじょうぶかな~?」と思っていたスライドの殆ど全てと、自分では気付いていなかった、もっと改良したほうが良いであろう箇所を入念にチェックしていただく。毎日のようにスライドと向き合っていた自分よりも、短時間かつ的確にプレゼンの問題点を指摘してくださることに驚愕とともに感謝の気持ちでいっぱいになりました。
自分としてはスライド自体はほぼ完成していたつもりだったのですが、まだまだブラッシュアップするべきところ、もっとわかりやすい説明の仕方、一言加えるといいところなど、知識として知っていた筈なのに実践できていなかったことの多くにメスを入れていただき重ねて感謝。貴重な100分間になりました。
あと少し。実験やら何やらがあって、色々と限られた中ではあるけれど、精一杯やってみよう。

2012年8月29日水曜日

(雑) 久しぶりにレジデント勉強会に参加してみたり

朝から実験してるといつの間にか日が落ちてしまい、あらら今日も1日実験しかしてなかったよという日が断続的にあると、自分が麻酔科医であることをついつい失念していまいがちに。
実験は気楽なものです。って書くとだいぶ曲解されそうですが、指導してくださる先生がいらっしゃいます。勿論自分でいろんなことについてなんでこうなるんだろうとかああしたらいいんだろうかとか考えますけれど、最終的には指導してくださる先生がいるわけです。大変な実験だとしてもあーあがっかり…なネガティブデータがなんぼ出ても意見を聞くことができるわけです。結果を踏まえてどちらにいったらいいかを指し示してくださるわけです。それを必要としない状況に一刻もはやくなるのが大学院生の目標でしょうか?いや、自分に達成できるかわかりませんし、そもそもそれがゴールなのかもよくわかりません。

その点、今、麻酔科医としての私の力が伸びるか縮むかは自分の学ぶ意志だけに依存しているわけです。非常勤の麻酔科医の私に対して怒髪天で指導してくれるような大人はいません。少なくとも私の周りには。いたらいたで多分嫌ですけど。そういう天変地異的なことが起こらないと今まで得てきた麻酔科医としての知識と技術だけで食べてるだけ、食べていくだけになってしまいます。ありがたくためになるお話をしてくださる方はいらっしゃっても、普通の難度の麻酔を普通にやれている(様に一見見えるようになってしまった今くらいの状態)私には、やはり自分に何が足りないか、いや足りない事だらけだけど何を率先して充足させるべきか…。そういった客観的な問題意識を自発的にもたないといけないわけです。麻酔の実力なんて多分あっという間に後輩の先生たちに抜かされます。あーもう抜かされているかも。

ということでだいぶ前置きが長くなりましたが、今日のレジデント勉強会は来月の学会の予行演習的な内容でした。といっても学会まで時間が少しあるので、誤字脱字や日本語のおかしな所を指摘するようなものではなく、もっと実際臨床的な内容―昇圧剤はこの場面でどれ位いってたのか、とか、ここで輸血はじめてるけどこの時点から大量出血が始まったのか、とか、術後どういう経過で退院できたのか、とか、この病気があると凝固異常を起こすことがよくあるのかとか、こういう報告は過去どれ位あってどういう転機を辿ったのかとか。そういう話です。
そういう話を、時間さえ気にしなくていいのならばいくらでも喋りたい。いくらでも興味深いことがある。あぁあれも知りたい、これも知りたい。今ちょっと調べてみたい。きっとああいう風に書いてあるだろう。いや、ぜんぜん違うことが書かれているかも…。あの先生だったらどうコメントするだろう。うーん。だったらこれをこうすればもっとよかったんじゃないか。いやでも文献にはなかなか書かれないような状態なのかもしれない。あぁでもないこうでもない。そしたら・・・あれをああすると次回もっと良くなるんじゃないか。そんなことが考え始めると止まらなくなる。誰かが遮らなければいくらでも喋りたいことがある―そういう感覚があるうちは、僕も自分のことを麻酔科医と名乗っていていいような気がしました。
「これはこうするのが当然でしょ」と何の臆面もなくいったり実行するような時が来たら、私は麻酔科医として死亡でしょう。

やる気を注入されましたので、自分の発表も頑張りたいと思います。

2012年6月12日火曜日

(走) というより筋トレ、 (雑) 抄録あがり?

引き続きリハ通院中です。
走っていいです、と言われたので走ってみたのですが、2km弱で違和感が出てきます。これ以上走ると絶対痛くなる、という予感がしました。7月初めに10kmの大会に出ようと計画してたのですが、完全に諦めました。残念ですが、仕方ないです。膝が壊れてしまっては元も子もないのでじりじりと長期戦です。

其の百五十: 6/10 2km, 16m30s 7-8km/h
muscle: 大胸筋、腹斜筋、腹直筋、上腕二頭筋、臀筋

***
ひとつの懸案事項だった学会用の抄録がようやく完成にこぎ着けました。多忙な中、指導して下さったI先生には心から感謝したいと思います。今回の作業では、自分の日本語の運用能力の低さに呆れてしまいました。論理的でなかったり、まわりくどかったり。一語一語指導していただいたものを自分できちんと咀嚼してから書き直しました。やはり目的意識をしっかり持ってトレーニングしないと低きに流れてしまいます。学会抄録はブログとは違います。
発表まではまだまだやるべきことが沢山ありますので、コツコツすすめます。こっちも長期戦です。

2012年3月29日木曜日

(雑) 全部が全部、戯言って言えば戯言ですよね

自分のことを完全に棚にあげたうえの妄言です。

医師生活丸7年になりますが、これまでいろんな先生たちの発表を聞いてきました。日々の症例のプレゼンテーション、麻酔科研修医としての総括、論文の抄読、ほか。医師としてはまだひよっ子の私ですが、それでも色んな発表を聞くと、演者がその発表にどれ位専心したのかが怖いくらいに分かってしまいます。どのくらいそれに対して興味が有るのか、興味がなくてもどのくらい調べてきたのか、どのくらい「いい日本語がなかったんですけど」と発表の中で告白するまでに葛藤があったのか、こんな内容自分的にはどうでもいいけどあんな質問飛んできそうだよな、と頭の中で沸き上がってきた時に「調べとこ」を選択したか「もう眠いからねよ、わかりませんって言えばいいや」を選択したか、いや、そもそもそんなことすら頭に浮かばなかったか。妄想かもしれませんが、手に取るように分かってしまいます。

発表はその多くが無難な出来なのですが、研修医の発表でも思わず聞き惚れて「弟子入りさせて下さい」と思わず平身低頭しまうような達者なものもあるし、逆もまた然り。そして中には、思わずその場から立ち去りたくなるような内容のものもあります。

それらの発表を思い出して、具体的に”自分にとって”何が酷かったのかを考えて、自分がその轍を踏まないようにしたいと思います。

・スライドに書かれている内容そのもの
―文字が小さい。これは何よりも害悪だと思う。それだけでもうついていけない。すいません、勘弁してください、まだ朝で眠いんだよ。
―これは笑いを取ろうと思って書いているんだろうか?、というような文章。―十数分のプレゼンテーションで笑わせるのは凄く難しいうえにリスクが高いでしょう。もっともそんな文字をスライドに載せたのはちょっとした冗談のつもりで、聴衆を笑わせる意図はこれっぽっちもないかもしれませんが。だとしたら尚更「こいつこんなこと書いてなめてんじゃないのか」と思う聴衆がいるかもしれないことについての想像力を少しはふくらませたほうが良かったんじゃないだろうか、と私は心配になって胸がざわざわしてしまいます。演者が非常に真面目で賢く、発表内容の「真面目な部分」への信頼性がきちんと担保されているとき、もしくは普段からいろんな人に愛されていて、ちょっと不謹慎な内容でも「まったく、しょーがねーなぁ」と、聴衆に笑いながら許容される先天的とも言える人柄の良さの持ち主か俳優のような演技力の持ち主、のどれかであれば笑ってもらえると思いますが。。私は其のどちらでもないわ、と自覚する私のような人間であれば、まずプレゼンテーションの内容が「その時間帯、空間、聴衆全てにおいてアクセプトされうるのか」についてこそ真剣に考えるべきなんじゃないだろうか。過度にプライベートなこととか、こんな大変な症例にあたったんですよ、と聴衆に甘えるような内容を晒すのはご法度ではないけれど、聴衆にいい印象を与えることは少ないと自覚したほうが良い。
以前参加した何かの学会。80分程度の教育講演の合間に、演者やその友人以外にはどうでもいいと受け取られるようなプライベート写真を混ぜてくる演者がいたのを思い出す。会場は静まり返っており、私自身も居心地の悪さを感じてその場から逃げ出したくなった。これは新手の嫌がらせだろうか?とその後今に至るまで真剣に思い悩まされている。

・質疑応答での対応
―相手が質問して言葉を発している最中に、それにかぶせて答え始めるような場に居合わせてしまった時。これも逃げ出したくなる。具合が悪くなってくる。恐らく質問者も不快になるだろう。ちゃっと質問をきいてんのかよ、と。そして演者が自己防衛をしているような印象を、私は受けてしまう。

・語尾がふにゃふにゃな、しっかりしない話し方
―スライドに書いてある言葉を、機械的に順を追って話す方が千倍マシ、というプレゼン。スライドの内容を網羅してない上に、どこもかしかも中途半端なつまみ食い。にも関わらずスライドにない内容のごにょごにょとした言葉を随所に挟んでくる。「えぇ~」とか「あの~」とかならまだしも、何故か言い訳がましいセリフを随所に挟まれるともう絶望的に具合が悪くなり、貧乏揺すりが止まらなくなる。結果的に喋り手の頭の中が混沌とした状態だってことしか伝わらない。私のアタマにケイアスを送らないで下さい。相手にわかってもらおうとする努力を著しく欠いた自慰的プレゼンテーション。

・以前のスライドの焼きなおし
1年も前のスライドを再掲するのには勇気がいる。少なくとも、そのスライドに1年前に関わった聴衆が今この場に何人かいることが予め十分予想されるときには、相応の覚悟が必要である。1年前と比較して、自分がどう成長したのか。この1年間にいろんな患者さんの麻酔を担当したはずである。いろんな論文を読んだはずである。いろんな同期や先輩、後輩の麻酔経験を見聞きしたはずである。学会会場でいろんな発表に触れたはずである。いろんな医療過誤ニュースに触れたはずである。いろんな映画や音楽、本に触れたはずである。いろんなところに旅行したはずである。そういったものに触れてなくても全然構わないけど、何がどう成長したのか、それを少しはスライドに反映させるのが、研修を受けた側のマナーなんじゃないかと思う。

麻酔科医が遭遇する最悪のイベントの1つは、予定手術を受けた患者さんの術後死亡である。その死に麻酔科医として関わったんじゃなかったのか。あれは一体何だったんだ。この麻酔科医は、患者さんの死から何を学んだのだろう。何も学んでいないんじゃないだろうか、と思わず天を仰ぎたくなる感情に、私の心が朝から支配されてしまうことが何よりも耐え難い。
私はまだ、不幸な転機を辿った患者さんに対して、敬意が全く払われていないような発表に対しては、0.00001%も共感できないし、全く甘い評価ができないです。それすら、自分の想像力の限界を示しているのでしょうが。

口下手、口が達者。日々の発表ではあんまり関係ないと思います。要はどれくらい準備したか、それだけでしょう。下手だと思うなら要点を文字に起こしてそれを読めばいいんじゃないだろうか。聴いていて気持ちが良いプレゼンっていうのは、どれくらい愛をもって準備したか。内容に対しても聴衆に対しても。それが大きいと思います。

***
私は911について、全くといっていい程なにも分かっていませんが、Iced Earthの「When the Eagle Cries」に涙腺を刺激されます。音楽の良いところは、その製作者の思惑と全く違うところにおいても共感なり何なりができるところだと思います。音楽を通してならチュニジアの人でもネパールの人でも、世界中誰とでも共感できそうです。全くの勘違いかもしれませんが。そう思うとこの世界もまんざら捨てたものでもないのかも知れません。

***
最近の読めてない本。

・クラシック迷宮図書館 音楽書月評1998-2003
・シュリーマン旅行記 清国・日本
・空気の発見
・地獄の季節
・いやな気分よ、さようなら
・南方熊楠随筆集
・方丈記
・故郷/阿Q正伝
・非常識な読書のすすめ
・百姓たちの幕末維新
・禅マインド ビギナーズ・マインド
・ダンゴムシに心はあるのか
・須賀敦子全集第1巻

そのうち読める日が来るでしょう。

2011年10月16日日曜日

(旅) Anesthesiology 2011 ~ASA day 0~1 海外初ポスター発表

Chicago Tribune紙の創業者Robert McCormickから名前をとった”McCormick Place”は、迷子になるなという方が難しいような巨大な建物群で成り立っています。シカゴのガイドブックを真剣に読み始めたのが出発前日…という私でもそれだけは知っていました。気を抜くとすぐに迷子になる私は、発表の前日、学会参加登録証を貰いに来るついでに下見に。と言っても巨大すぎるので、自分のポスターを貼り付ける場所が会場全体のうち、どのあたりに位置するのか、を把握しただけ。Metraという電車を使って会場まで来たのですが、券売機の読み方に苦戦したり、ホームで待っていたら「次の電車何時にくんの?University Park行き?(in English)」と黒人のお姉さんに聞かれたり、ちょっとドキドキします。何処からどう見てもasianな私に聞いても分かる筈ないと思うのですが。乗車時間はほんの数分。電車の窓が埃で薄汚れていてあまりよい眺めではありませんでした。


という下準備の元、発表の朝を迎えます。まだ暗い中、6:30にホテル前の迎えに来るシャトルバスに乗って会場へ。朝もはよから、バスには数十人の麻酔科医らしき人たちがいました。
空を見上げるとまだお月様が。
会場内はまだガラガラです。遠くに「ANESTHESIOLOGY 2011」と掲げられております。一応ちゃんと行って来ましたよ、という証拠写真です。 昼間に同じ場所を通ったら…まぁ凄まじい混雑具合。東京から来たのに、また東京の通勤ラッシュの中に戻ってきたような気分になり具合が悪くなりました。
 ポスター会場は、企業ブースの隅っこの方にありました。巨大ラリマ。
同じく巨大モニタ。

発表についてです。
座長の先生(2人)がポスターを1枚ずつ回り、演者はその先生方(+聴きに来た聴衆)の前でプレゼンをするという、日本の学会と同じスタイルです。私の発表の順番は早めの時間だったため、聴衆は疎らでしたが、こちらとしてはそのお陰で、過度の緊張を強いられることなくプレゼンを終えることができました。いきなり座長の先生に握手を求められ、おぉアメリカン!と一人感動。私の英語が本当に聞き取って貰えていたのかについては、今となっては闇の中。ですが、プレゼンの最中に座長が適切なタイミングで、内容に即した適切な質問をしてくださっていたので、まずまず伝えたいメッセージは伝えられたのではないかと思います。あぁよかった。小さなメモ用紙にプレゼン内容を書いていったのですが、結局それは見ず、ポスターを指し示しながら喋り、そして、聴いている方々がちゃんと内容に着いてきて下さっているのかを確認しながら話すことができたので、目標は達成されたということにしたいと思います。5-6個質問もされましたが、何故か応答することができました。奇跡です。
そして、日本の学会と大きく異なるのはポスターセッションの時間が3時間もあることです。その3時間は自分のポスターの前(もしくはその付近)に立っていなくてはならず、それが結構大変です。夜中には全然眠れなかったのに、今頃になって眠くなってきます。そうこうしていると時間が経って無事終了。会場に来て下さったI先生、ありがとうございました。

*** 
学会はまだ続いていますが、発表までにどんなことをしてきたのかの記録を残しておこうと思います。
このブログを読んでくださる方の中に、もしかしたら今後、アメリカ麻酔学会に初めて抄録を提出し(させられ)、採択され、ポスターをつくり、発表原稿をつくり、念仏のように原稿を口に出して練習し、渡米し、発表する、ということにチャレンジされる方がいらっしゃらないとも限らないので、私がこの半年でやったことを記しておきたいと思います。まぁ、こんな人間もいるんだな、という程度にでもご参考になれば。

***
4月:抄録を作成する。指導医と何度かメールのやりとりをして完成にこぎつける。 
4月29日:抄録をオンラインで提出。締切日、締切時間の超直前は避けないと。
7月4日:演題登録時には6月中に採択の可否がメールで送られてくると通知があったのですが一向に来ない。しびれを切らしてメールで問い合わせると、すぐさま返事が来ました。流石ASA!と思ったらauto replyで「The ASA office will be closed on July 4th.」あぁそうか独立記念日だから。
7月5日:メールの返信が来て「2週間以内には通知します」
7月9日:当直中、眠気まなこにメールチェックしたら採択されていました。
7月11日:更に英語リスニングに力を入れようと思い、iPod nanoを英語リスニング強化仕様にした途端に故障。オンラインで修理を依頼したところ、手元に戻ってくるまで1週間かからず驚嘆。
7月12日:ポスター作成規定を読む。ふむふむ…と作成開始
毎日暑い
7月25日:麻酔科専門医試験が1日早く開始になる、という情報にちょっと動揺
本当に暑い
7月30日:研究室の英語抄読会を終え、ストレスが1つ減り安堵
8月1日:飛行機とホテルと、学会参加登録をする。1ドル77円で円高がちょっとありがたい。学会のホームページからホテルを選ぶ。あぁなんでこんなにホテルの値段が高いんだ。しかもどこも結構会場から遠いぞ。予約可能なホテルの中で1番会場に近そうなところを予約。
何でこんなに暑いんだ
8月27日:連日の暑さに、やる気の低値更新中だったが、漸く底値を脱した気持ちになってくる。モーツァルトのレクイエム「Rex Tremendae」を無限リピートしつつ、ちまちまとポスター作成。
9月5日:作ったポスターを指導医にみてもらう
(9月29日~10月1日:麻酔科専門医認定試験)
10月1日~:試験が終わった直後からポスターと発表原稿の手直しを再開。
10月3日:思いだしたかのようにASAのリフレッシャーコースの申し込みをオンラインでする。どれも$0で申し込めるようになっている。どうやら今年は無料で席も早い者勝ちのようだ。
10月5日: ポスター発注。原稿の喋り練習をスキマ時間に行う。ぶつぶつぶつぶつ
10月12日:大学で予演会。もっとブラッシュアップしなきゃダメか。ぶつぶつぶつぶつ練習
10月13日:ワシントンD.C.のダレス国際空港で乗り継ぎ便に間に合わずチケットの交渉。あぁ英語、全然聞き取れない。こりゃ駄目だ。もう帰ろうかな。
10月14日-15日:ホテルの部屋で最後の練習。

@役に立った本など。大変お世話になりました。
・地球の歩き方 シカゴ'10-'11. ダイヤモンド社
・タビトモ シカゴ. JTBパブリッシング (2010/12/28)
国際学会English挨拶・口演・発表・質問・座長進行. 医歯薬出版 (2007/04)
国際学会Englishスピーキング・エクササイズ口演・発表・応答. 医歯薬出版 (2010/03)
英語抄録・口頭発表・論文作成虎の巻―忙しい若手ドクターのために. 南江堂 (2006/4/17)
・ポッドキャスト: OpenAnesthesia.org ほか
・本:The Checklist Manifesto: How to Get Things Right. Atul Gawande :ASA学会での講演をぜひ聞きたかったのですが、自分の発表の時間と重なっていたので、著書を読んで我慢しました。
カラープリントショップアドテック :ポスターはこちらにお世話になりました。データを送ると翌日には届けてもらえました。筒でポスターを持っていくのはちょっと…という方は考えてもよいかもしれません。布ポスターは値が張るので若干躊躇しますが、利点としては、折りたたんでも破けたり印刷が滲んだりしないため飛行機内持ち込み用のカバンに収納できることです。海外に行くと、スーツケースが行方不明になる危険性もあるので、ポスターは肌身離さず持っていたいものです(特に私のような初心者は)。

今度発表できるのは、いつになるかな…。

2011年5月20日金曜日

(麻) 私的初神戸

麻酔科学会の総会で初めての発表だった。
私の発表を気にかけてくださった全ての人に感謝します。どうもありがとうございました。
私の発表は、内容的には特に目新しい題材を扱ったものではなかったけれど、それでも自分で院内の倫理委員会に書類を提出して、患者さんたちに書面で臨床研究の同意をいただいて、慣れない統計を学びながら手探りで進めたものだったので、私的には大変勉強になった。
やっぱり研究と言うものは「issue」が大事なんだ。走り始める前が大事なんだ。
そのことが腑に落ちて分かった

2011年4月29日金曜日

(音) EGO-WRAPPIN' - ないものねだりのデッドヒート (2010年), ASAへabstract

熱心なファンではないのだが、「色彩のブルース」1曲だけで、私の中では殿堂入りのバンド。このアルバムは7枚目らしい。

暫く前からアルバムをiPodに入れていたのだが、聴きはじめるといつも2,3曲目で挫折していた。研究室で実験に失敗し、やり直しをしていたら随分遅くなってしまい、帰路で人身事故による電車停止に見舞われたため(木曜日の話)、近くの喫茶店に入ったところ何故か喫煙席しかなく、ヤニの香る中で勉強している23時過ぎのビジネスパーソンたちを横目にしながら、改めて聴いてみた。

#4「BRAND NEW DAY」が素敵なくらいに名曲だったことに今更気付く。お祭りのような歌謡曲?実験も失敗してみるもんだ(といいつつマイナートラブルは既にいっぱい繰り返しているが)。

***
実験、講習、麻酔当直、家事、電車移動の合間にコツコツ改訂してきた抄録を、やっとのことでASA annual meetingに提出。dead lineは5月2日だから本当に直前になってしまった。これで、来月の麻酔科学会総会用のポスター作成に本腰を入れられるってもの(まだ出来てないなんて!本当にunbelievable happeningである。そのためパソコンのデスクトップに「自動カウントダウン計」を設置してみる。1/1000秒まで表示されることから来る圧迫感は尋常ではない)。
締め切り直前にも関わらず、改訂指導してくださったN先生に感謝。英語のabstractなんて書けるんだろうかと疑心暗鬼だったが、チクチク英語をいじっているうちに、いつの間にかそれらしくなるもんだ。やはり先達あらまほしきものなり。採択される可能性は低いと想像するが、出さないことには100%採択されない。今回は演題の提出方法が分かっただけでも勉強になった。
6月1日には結果が分かるようなので、懸賞にでも応募したつもりで待ってみることとする。

しかし万が一、万が一、採択されたとして。
専門医試験:9月30日-10月2日
ASA annual meeting:10月15-19日
なんだけどな。

最近の私、ちょっとしたケイアス状態である。コツコツやることにしよう。

2011年2月24日木曜日

(雑) in Pacifico Yokohama (集中治療医学会 day 1)


集中治療医学会に参加するために東横線に乗ってパシフィコ横浜に行く。平日だというのに大勢の医師・看護師・臨床工学技師がいる。それぞれ職場から「行ってきていいよ」と許可されて来ている人たちの集まりである。発表者でなければ、パチンコに行こうがスパに行こうが咎められないであろうにも拘らず、何百、何千という人たちが一堂に会し、何らか知恵や知識を吸収しようとする姿勢に一人感動する。
 
メリトクラシー(meritocracy)というのは、努力するものに報いる制度である。それは誰でもその気になれば努力することができるということを前提としている。しかし、「その気になれば」というところに落とし穴がある。というのは、世の中には、「その気になれる人間」と「その気になれない人間」がおり、この差異は個人の資質ではなくむしろ社会的条件(階層化)に深くリンクしているからである。(内田樹 知に働けば蔵が建つ p64)

この文脈で言うと、おそらく私が学会会場で見かけた人々は、社会的条件に多分に恵まれた人々である(本人が意識しようとしまいと)。1-3時間の教育講演やシンポジウムに言葉を発することもなく、物音も立てず、じぃぃっと演者の言葉やスライドに耳や目を集中させることが、少なくともこの瞬間においてはパチンコやスパに勝っているのである。たとえ演者の話が途中で迂遠なものになり、初心者向けの講演と言いつつ無闇に略語を断りなく使い出し、「発表スライドの推敲してないだろ、もしかしてやっつけ仕事なのか?」とスライドの誤字脱字が妙に気になりだし、白背景に黒字のシンプルなパワーポイントに妙にイライラして、なぜか文字のフォントも小さく、箇条書きであるべきところがだらだらと数行に渡る文章になっていてアカデミックな内容であるか否か以前に発表の仕方をもう少し工夫して欲しいと僭越ながら思ってしまったり、仕舞いには「この演者は自分の語る言葉にどれくらいの情熱を傾けているのか」について懐疑的になってきたとしても、その場に座り続けることを選んでいるのである(それは私だけかもしれないが)。
自分が何かもの申すときは「時間×その場に居合わせた人の数」分の時間を、ありがた~く頂戴して喋っているのだ、ということに改めて思いを馳せた1日だった。