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2014年10月14日火曜日
2013年6月19日水曜日
(麻) 麻酔科医自己学習アプリがIARSから出ています
Facebookで知りました。
アプリの名前は「OpenAnesthesia」です。無料です。iPadでもiPhoneでもダウンロードできます。今日現在201問収録されています。
回答すると解説が表示されます。何問かやってみましたが、私は結構間違えます。これはたまたま合っていたMSの問題です。
専門医試験受験前の先生は、電車などの移動中にちょっと解いてみるのもいいのかもしれませんね。
2013年4月26日金曜日
(雑) ふと思いついた
麻酔科専門医認定筆記試験で、こんな問題出たことありますかね?
問. ヒトの組織のうち、リアノジン受容体が発現していないものはどれか。
1. 子宮平滑筋細胞
2. 小脳プルキンエ細胞
3. Tリンパ球
4. 膵臓β細胞
5. 心筋細胞
ちなみにこれは不適切問題で、上記のどの細胞にも発現しているようです。問題作るのって難しいですね。
問. ヒトの組織のうち、リアノジン受容体が発現していないものはどれか。
1. 子宮平滑筋細胞
2. 小脳プルキンエ細胞
3. Tリンパ球
4. 膵臓β細胞
5. 心筋細胞
ちなみにこれは不適切問題で、上記のどの細胞にも発現しているようです。問題作るのって難しいですね。
2013年1月30日水曜日
(麻) 2枝ブロック、3枝ブロック時のペースメーカ適応
朝の2年目研修医の先生による症例提示。非常に勉強になりましたので、ガイドラインから抜粋しておこうと思います。
不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)
ClassⅠ:
1. 慢性の2 枝または3 枝ブロックがあり, 第2度MobitzⅡ型,高度もしくは第3 度房室ブロックの
既往のある場合
2. 慢性の2 枝または3枝ブロックがあり,投与不可欠な薬剤の使用が房室ブロックを誘発する可能性の高い場合
3. 慢性の2枝または3枝ブロックとWenckebach型第2度房室ブロックを認め,失神発作の原因として高度の房室ブロック発現が疑われる場合
ClassⅡa:
1. 慢性の2 枝または3枝ブロックがあり,失神発作を伴うが原因が明らかでないもの
2. 慢性の2 枝または3枝ブロックがあり,器質的心慢性の2 枝または3枝ブロックを示す症例における植込み適応の決定にあたっては,高度の房室ブロックを来たす危険性の判断が重要で,電気生理検査によるHis-Purkinje系伝導機能の評価が重要である.電気生理検査によるHis 束以下での伝導遅延・途絶の参考所見は,(1) 著明なHV間隔の延長( > 100msec),(2)心房ペーシング(150/分以下)によるHis 束内またはHis 束下ブロックの誘発,(3)Ⅰa群抗不整脈薬静注によるHis 束内またはHis 束下ブロックの誘発である.
***
術前に主治医があまり注意を払っていなかったとしても、麻酔科が気づいてアクションしなくてはいけませんね。
不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)
ClassⅠ:
1. 慢性の2 枝または3 枝ブロックがあり, 第2度MobitzⅡ型,高度もしくは第3 度房室ブロックの
既往のある場合
2. 慢性の2 枝または3枝ブロックがあり,投与不可欠な薬剤の使用が房室ブロックを誘発する可能性の高い場合
3. 慢性の2枝または3枝ブロックとWenckebach型第2度房室ブロックを認め,失神発作の原因として高度の房室ブロック発現が疑われる場合
ClassⅡa:
1. 慢性の2 枝または3枝ブロックがあり,失神発作を伴うが原因が明らかでないもの
2. 慢性の2 枝または3枝ブロックがあり,器質的心慢性の2 枝または3枝ブロックを示す症例における植込み適応の決定にあたっては,高度の房室ブロックを来たす危険性の判断が重要で,電気生理検査によるHis-Purkinje系伝導機能の評価が重要である.電気生理検査によるHis 束以下での伝導遅延・途絶の参考所見は,(1) 著明なHV間隔の延長( > 100msec),(2)心房ペーシング(150/分以下)によるHis 束内またはHis 束下ブロックの誘発,(3)Ⅰa群抗不整脈薬静注によるHis 束内またはHis 束下ブロックの誘発である.
***
術前に主治医があまり注意を払っていなかったとしても、麻酔科が気づいてアクションしなくてはいけませんね。
2013年1月12日土曜日
(麻) Surviving Sepsis Guidelineの2012年アップデート
2012年のSCCM meetingで提唱されたもののようです。
「PulmCCM.org」というサイトの新着記事をemailで送ってもらうようにしていたため、知りました。昨年大晦日の紅白歌合戦の後に読んだ気がします。Facebookでも「PulmCCM central」というページがあります。Facebookはほんとうに便利だなぁ。
ということでそのサイトの
Surviving Sepsis Guidelines Updated: Preview from SCCM Meeting
をあとですぐ見直せるように日本語にしました。勿論、ただの推奨なので、どのように自分の臨床に取り込むかは各人の置かれる状況に依存すると思います。
以下の文章の(注)は私が追加したものです。
Surviving Sepsis: New Fluid Resuscitation Recommendations
・重症敗血症の初期治療(輸液)に生理食塩液などの晶質液を使用(1A)。投与量は1リットルかそれ以上。治療開始後4-6時間で最低30ml/kgの晶質液を投与すること(70kgの成人なら2.1L)
・血行動態が改善し続けるうちは、輸液の追加投与を継続。血行動態とは血圧やΔPP(注:ΔPPはPPVと同じで脈圧変動のこと)やその両方を示す(1C) (注:PPVと同じようにSVVも使用可能でしょう。)
・severe sepsisとseptic shockに対する初期輸液治療の晶質液に、アルブミンを加えるのは軽度の推奨(2B)
・分子量200kDaを超えるヘタスターチやハイドロキシエチルスターチを使用しないことを強く推奨(1B)
これより小さい分子量のヘタスターチ、またゼラチン製剤については言及していない。これらの製剤を評価するための研究は進行中。
(注:ヘスパンダーとサリンヘスは70kDaで、もうじき日本でも使えるようになるスターチは130kDaですので、このガイドラインには当てはまりません)
Surviving Sepsis: New Recommendations for Vasopressors, Inotropes
・昇圧療法の第1選択はノルエピネフリン(商品名Levophed)を強く推奨(1B)。バソプレシン0.03単位/分をノルエピネフリンの代替品として使用するか併用する(2A)
・2つ目の昇圧剤を使う必要があれば、エピネフリンを軽く推奨(2B)
・ドパミンは極めて限られた患者群に対してのみ推奨。不整脈の危険性がとても少ない場合や、低心拍数and/or低心拍出量の患者である(2C)。
・ドブタミンは以下の患者に対して、単独、もしくは昇圧薬と併用して使用することを強く推奨する(1C)。心充満圧が高い、低心拍出量、十分な輸液療法を行なって血圧が上昇した後も低灌流状態が示唆される臨床症状がある、といった患者。
Surviving Sepsis: Corticosteroid Recommendations
輸液と昇圧薬で循環動態が改善する患者に対する副腎皮質ステロイドの経静脈投与を勧めない。昇圧薬に反応しない敗血症性ショック患者に対しては、静脈内ヒドロコルチゾンを200mg/24hの量で軽く推奨(2C)
Surviving Sepsis: Mechanical Ventilation for ARDS
重症敗血症に伴うARDSへは以下を軽く推奨。
・高めのPEEP(2C)
・高PEEPとFiO2でも重度の低酸素血症状態にある患者へのリクルートメント法(2C)
・それでもPaO2/FiO2比100未満が続く患者への腹臥位(2C)
Other New Surviving Sepsis Guidelines
以下を軽く推奨
・中心静脈酸素飽和度をモニターできないときは、EGDTのゴールとして乳酸値を正常化すること(2C)。
・重症敗血症の原因として真菌感染の危険性がある患者では、侵襲性カンジダ症に対する新しいアッセイ法(1,3-beta-D-グルカン、マンナン、抗マンナンELISA抗体試験など)を検査(2B/C)。(注:新しいアッセイ法のリンク先は状況によっては見られないかもしれません)
・経験的な抗菌療法中に感染症が見つけられなければ、抗菌療法中止の指標としてプロカルシトニン値低下を判断材料にすることを考慮(2C)。
最後に以下の記載がありました。
The Surviving Sepsis project was criticized in the mid 2000s when it was revealed that Eli Lilly (makers of since-discontinued Xigris) provided a reported ~90% of the funding, without disclosure by the committee. Others (including the committee itself) felt such criticism was unfounded and unfair. The Surviving Sepsis website does not clearly show their current sources of funding, but they have set up a page to address any concerns about industry involvement. The name “Surviving Sepsis Campaign” is copyrighted by the Society for Critical Care Medicine.
エビデンスの強さの復習を。
1 = strong recommendation;
2 = weak recommendation or suggestion;
A = good evidence from randomized trials;
B = moderate strength evidence from small randomized trial(s) or multiple good observational trials;
C = weak or absent evidence, mostly driven by consensus opinion
***
既にご存じの方も多いとは思いますが、論文はこちらです。「Intensive Care Medicine」にも掲載されてます(2013年2月5日追記)
Surviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Severe Sepsis and Septic Shock: 2012. Crit Care Med. 2013 Feb;41(2):580-637. PMID: 23353941
「PulmCCM.org」というサイトの新着記事をemailで送ってもらうようにしていたため、知りました。昨年大晦日の紅白歌合戦の後に読んだ気がします。Facebookでも「PulmCCM central」というページがあります。Facebookはほんとうに便利だなぁ。
ということでそのサイトの
Surviving Sepsis Guidelines Updated: Preview from SCCM Meeting
をあとですぐ見直せるように日本語にしました。勿論、ただの推奨なので、どのように自分の臨床に取り込むかは各人の置かれる状況に依存すると思います。
以下の文章の(注)は私が追加したものです。
Surviving Sepsis: New Fluid Resuscitation Recommendations
・重症敗血症の初期治療(輸液)に生理食塩液などの晶質液を使用(1A)。投与量は1リットルかそれ以上。治療開始後4-6時間で最低30ml/kgの晶質液を投与すること(70kgの成人なら2.1L)
・血行動態が改善し続けるうちは、輸液の追加投与を継続。血行動態とは血圧やΔPP(注:ΔPPはPPVと同じで脈圧変動のこと)やその両方を示す(1C) (注:PPVと同じようにSVVも使用可能でしょう。)
・severe sepsisとseptic shockに対する初期輸液治療の晶質液に、アルブミンを加えるのは軽度の推奨(2B)
・分子量200kDaを超えるヘタスターチやハイドロキシエチルスターチを使用しないことを強く推奨(1B)
これより小さい分子量のヘタスターチ、またゼラチン製剤については言及していない。これらの製剤を評価するための研究は進行中。
(注:ヘスパンダーとサリンヘスは70kDaで、もうじき日本でも使えるようになるスターチは130kDaですので、このガイドラインには当てはまりません)
Surviving Sepsis: New Recommendations for Vasopressors, Inotropes
・昇圧療法の第1選択はノルエピネフリン(商品名Levophed)を強く推奨(1B)。バソプレシン0.03単位/分をノルエピネフリンの代替品として使用するか併用する(2A)
・2つ目の昇圧剤を使う必要があれば、エピネフリンを軽く推奨(2B)
・ドパミンは極めて限られた患者群に対してのみ推奨。不整脈の危険性がとても少ない場合や、低心拍数and/or低心拍出量の患者である(2C)。
・ドブタミンは以下の患者に対して、単独、もしくは昇圧薬と併用して使用することを強く推奨する(1C)。心充満圧が高い、低心拍出量、十分な輸液療法を行なって血圧が上昇した後も低灌流状態が示唆される臨床症状がある、といった患者。
Surviving Sepsis: Corticosteroid Recommendations
輸液と昇圧薬で循環動態が改善する患者に対する副腎皮質ステロイドの経静脈投与を勧めない。昇圧薬に反応しない敗血症性ショック患者に対しては、静脈内ヒドロコルチゾンを200mg/24hの量で軽く推奨(2C)
Surviving Sepsis: Mechanical Ventilation for ARDS
重症敗血症に伴うARDSへは以下を軽く推奨。
・高めのPEEP(2C)
・高PEEPとFiO2でも重度の低酸素血症状態にある患者へのリクルートメント法(2C)
・それでもPaO2/FiO2比100未満が続く患者への腹臥位(2C)
Other New Surviving Sepsis Guidelines
以下を軽く推奨
・中心静脈酸素飽和度をモニターできないときは、EGDTのゴールとして乳酸値を正常化すること(2C)。
・重症敗血症の原因として真菌感染の危険性がある患者では、侵襲性カンジダ症に対する新しいアッセイ法(1,3-beta-D-グルカン、マンナン、抗マンナンELISA抗体試験など)を検査(2B/C)。(注:新しいアッセイ法のリンク先は状況によっては見られないかもしれません)
・経験的な抗菌療法中に感染症が見つけられなければ、抗菌療法中止の指標としてプロカルシトニン値低下を判断材料にすることを考慮(2C)。
最後に以下の記載がありました。
The Surviving Sepsis project was criticized in the mid 2000s when it was revealed that Eli Lilly (makers of since-discontinued Xigris) provided a reported ~90% of the funding, without disclosure by the committee. Others (including the committee itself) felt such criticism was unfounded and unfair. The Surviving Sepsis website does not clearly show their current sources of funding, but they have set up a page to address any concerns about industry involvement. The name “Surviving Sepsis Campaign” is copyrighted by the Society for Critical Care Medicine.
エビデンスの強さの復習を。
1 = strong recommendation;
2 = weak recommendation or suggestion;
A = good evidence from randomized trials;
B = moderate strength evidence from small randomized trial(s) or multiple good observational trials;
C = weak or absent evidence, mostly driven by consensus opinion
***
既にご存じの方も多いとは思いますが、論文はこちらです。「Intensive Care Medicine」にも掲載されてます(2013年2月5日追記)
Surviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Severe Sepsis and Septic Shock: 2012. Crit Care Med. 2013 Feb;41(2):580-637. PMID: 23353941
2012年9月30日日曜日
(麻) 麻酔科専門医試験、自分の講演の際に利用した書籍
麻酔科専門医認定筆記試験を今日受験された先生方、本当にお疲れ様でした。大変難しい試験だったとお聞きしました。
今さらですし、受験生なら皆さんご存知のページでしょうが、後で自分がお世話になるかもしれないので貼っておきます。
研修医チャンネルの麻酔科専門医試験対策ページです。先日はじめて知りました。
***
学会発表から1週間以上経ってしまったので、これ以上記憶が風化する前に、今回学術的な面(こちらは発表に際して100篇弱の原著論文、レヴュー論文にお世話になりました)以外で、発表に際してお世話になった本を羅列しておきます。すみませんが著者の敬称は省略させて頂きます。実務経験数年と浅いながらも、自分よりもその道に詳しい先生方が大勢いらっしゃるであろう場所において、何かしらの講演をする必要がある先生のお役に立てれば…と思い記載する次第です。
1.すごい説得力/太田龍樹/知的生き方文庫
2.発表の技法/諏訪邦夫/講談社ブルーバックス
3.論理的にプレゼンする技/平林純/サイエンス・アイ新書
4.理系のための口頭発表術/ロバート・R・H・アンホルト/講談社ブルーバックス
5.「ひとり会議」の教科書/山崎拓巳/サンクチュアリ出版
6.プロ講師になる方法/安宅仁、石田一廣/PHP研究所
7.人は誰でも講師になれる/中谷彰宏/日本経済新聞出版社
8.学生・研究者のための使える!PowerPointスライドデザイン/宮野公樹/化学同人
これらのうち、最も役に立ったのは4です。その次が8です。後は人それぞれ好みが分かれそうですが、2は一読の価値はあると確信します。私が麻酔科医だからかもしれませんが…。
***
夏休みを終えるにあたり、学んだことを羅列しておきたいと思います。
・自分よりも素晴らしい才能をもっている人がたくさんいる。そしてその上絶対真似できないような努力を継続している人がたくさんいる(当たり前ですね)
・どんな人も想像力や気遣いは有限である
・素晴らしいものは確かに素晴らしいが、凡そ金額相応であり、私にはそれが心地よくないようだ
・水の中で体を動かすことは楽しいかもしれない
・もしかしたら自分の膝が快方に向かうかもしれない
・「モモ」は素晴らしい本だった
・「君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?」は興味深い本だった。多分大学生くらいが読むのが一番効能を期待できるだろうけれど、30過ぎの私でも発奮させられる内容だった
・ルソーの著作をもっと読んでみよう
・自分の居場所を客観的に認識して、自分が楽しめて、そして社会の役に立てる仕事を死ぬまでできることはきっとしあわせなことだろう
今さらですし、受験生なら皆さんご存知のページでしょうが、後で自分がお世話になるかもしれないので貼っておきます。
研修医チャンネルの麻酔科専門医試験対策ページです。先日はじめて知りました。
***
学会発表から1週間以上経ってしまったので、これ以上記憶が風化する前に、今回学術的な面(こちらは発表に際して100篇弱の原著論文、レヴュー論文にお世話になりました)以外で、発表に際してお世話になった本を羅列しておきます。すみませんが著者の敬称は省略させて頂きます。実務経験数年と浅いながらも、自分よりもその道に詳しい先生方が大勢いらっしゃるであろう場所において、何かしらの講演をする必要がある先生のお役に立てれば…と思い記載する次第です。
1.すごい説得力/太田龍樹/知的生き方文庫
2.発表の技法/諏訪邦夫/講談社ブルーバックス
3.論理的にプレゼンする技/平林純/サイエンス・アイ新書
4.理系のための口頭発表術/ロバート・R・H・アンホルト/講談社ブルーバックス
5.「ひとり会議」の教科書/山崎拓巳/サンクチュアリ出版
6.プロ講師になる方法/安宅仁、石田一廣/PHP研究所
7.人は誰でも講師になれる/中谷彰宏/日本経済新聞出版社
8.学生・研究者のための使える!PowerPointスライドデザイン/宮野公樹/化学同人
これらのうち、最も役に立ったのは4です。その次が8です。後は人それぞれ好みが分かれそうですが、2は一読の価値はあると確信します。私が麻酔科医だからかもしれませんが…。
***
夏休みを終えるにあたり、学んだことを羅列しておきたいと思います。
・自分よりも素晴らしい才能をもっている人がたくさんいる。そしてその上絶対真似できないような努力を継続している人がたくさんいる(当たり前ですね)
・どんな人も想像力や気遣いは有限である
・素晴らしいものは確かに素晴らしいが、凡そ金額相応であり、私にはそれが心地よくないようだ
・水の中で体を動かすことは楽しいかもしれない
・もしかしたら自分の膝が快方に向かうかもしれない
・「モモ」は素晴らしい本だった
・「君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?」は興味深い本だった。多分大学生くらいが読むのが一番効能を期待できるだろうけれど、30過ぎの私でも発奮させられる内容だった
・ルソーの著作をもっと読んでみよう
・自分の居場所を客観的に認識して、自分が楽しめて、そして社会の役に立てる仕事を死ぬまでできることはきっとしあわせなことだろう
2012年8月11日土曜日
(麻) anesthetic management for pneumonectomy - 肺全摘術の麻酔管理メモ
肺全摘術の麻酔についてです。
意外と情報が得られなかったので、次に担当するときに右往左往しないよう、そして今回の管理よりも向上できるよう、ここにメモ書きを残しておきます。
引用文献はCurrent Opinion in Anaesthesiology 2009, 22:31-37の「Update on anesthetic management for pneumonectomy」です。今の状況にあわない箇所もあるかもしれません。もし記載に大きな間違いがあったり、こうした方がもっと良いです、というのがあれば是非と教えて下さい。よろしくお願いいたします。
***
・30日以内死亡率5−13%(術後ALIは4%)
@術前検査:大きく分けて以下の3つが大事
1. lung mechanical function: FEV1 (ppo>40%)
2. cardiopulmonary reserve: VO2 max (>15ml/kg/min)、階段2階以上、6分間歩行SpO2<4%
3. pulmonary parenchymal function: DLCO (ppo>40%)、PaO2>60, PaCO2<45
*ppoFEV1%が…
注:この値は術前FEV1% × (1-%functional lung tissue removed/100) から求める
・>40%なら患者の諸々の状態良ければ手術室抜管、
・30-40%なら抜管考慮(運動耐容能、DLCO、V/Q scan、併存合併症などを考慮して)
・<30%ならゆっくり時間かけて抜管
@手術:後側方切開が標準。血管処置後に主気管支を切離。分泌物が貯留しないようになるべく中枢で切離する。air leak test後閉胸。ドレーンの陰圧を通常の葉切除術と同様に設定して行うと、縦隔が偏移して循環虚脱が起きる可能性がある。
@麻酔
・禁忌なければ硬膜外併用。
・輸血を考慮し大口径末梢ライン。もしくはCVC。
・動脈圧ライン
・肺全摘術後は右心室の後負荷が上昇(PAP↑、PVR↑)し、右室機能低下を起こすので注意
・分離肺換気:二腔換気用チューブ(DLT)でもブロッカーでも可能。左肺全摘なら右用DLTを使う。もしくは左用DLTないし左主気管支に気管支ブロッカーを入れて気管支切離直前に適切な位置に引くことでも管理可能。術前に相談しておく。
・輸液管理:24時間以内に3L以上の輸液投与で急性肺傷害の独立危険因子(Anesth Analg 2003; 97:1558-1565)。腎機能維持を考慮しつつ制限的輸液戦略がよいようである。
・そのため、血行動態維持、酸素供給維持のために昇圧薬併用を考慮
1. 輸液バランス20ml/kgを超えない
2. 初めの24時間で3Lを超える晶質液投与をしない
3. いわゆるthird space lossの補充は術中に行わない
4. 尿量0.5ml/kg/hは必要ない
5. 術後に組織血液灌流をを上げたいならば、輸液を負荷するよりも侵襲的モニター(注:PACとか?)を参考しつつ、昇圧薬を使用するのが好ましい。
・片肺換気中の呼吸器設定
一回換気量5-6ml/kg, PEEP5cmH2O, 最高気道内圧<35cmH2O, プラトー圧<25cmH2O
*稀だが閉胸後(直後、<24h)の心ヘルニアに注意。死亡率>50%。心膜が開いていると起こる可能性あり…CVP上昇、頻脈、低血圧、で気づく。発症したら緊急手術が必要。鑑別診断は血胸、肺塞栓、不適切な胸腔ドレーンによる縦隔偏位
意外と情報が得られなかったので、次に担当するときに右往左往しないよう、そして今回の管理よりも向上できるよう、ここにメモ書きを残しておきます。
引用文献はCurrent Opinion in Anaesthesiology 2009, 22:31-37の「Update on anesthetic management for pneumonectomy」です。今の状況にあわない箇所もあるかもしれません。もし記載に大きな間違いがあったり、こうした方がもっと良いです、というのがあれば是非と教えて下さい。よろしくお願いいたします。
***
・30日以内死亡率5−13%(術後ALIは4%)
@術前検査:大きく分けて以下の3つが大事
1. lung mechanical function: FEV1 (ppo>40%)
2. cardiopulmonary reserve: VO2 max (>15ml/kg/min)、階段2階以上、6分間歩行SpO2<4%
3. pulmonary parenchymal function: DLCO (ppo>40%)、PaO2>60, PaCO2<45
*ppoFEV1%が…
注:この値は術前FEV1% × (1-%functional lung tissue removed/100) から求める
・>40%なら患者の諸々の状態良ければ手術室抜管、
・30-40%なら抜管考慮(運動耐容能、DLCO、V/Q scan、併存合併症などを考慮して)
・<30%ならゆっくり時間かけて抜管
@手術:後側方切開が標準。血管処置後に主気管支を切離。分泌物が貯留しないようになるべく中枢で切離する。air leak test後閉胸。ドレーンの陰圧を通常の葉切除術と同様に設定して行うと、縦隔が偏移して循環虚脱が起きる可能性がある。
@麻酔
・禁忌なければ硬膜外併用。
・輸血を考慮し大口径末梢ライン。もしくはCVC。
・動脈圧ライン
・肺全摘術後は右心室の後負荷が上昇(PAP↑、PVR↑)し、右室機能低下を起こすので注意
・分離肺換気:二腔換気用チューブ(DLT)でもブロッカーでも可能。左肺全摘なら右用DLTを使う。もしくは左用DLTないし左主気管支に気管支ブロッカーを入れて気管支切離直前に適切な位置に引くことでも管理可能。術前に相談しておく。
・輸液管理:24時間以内に3L以上の輸液投与で急性肺傷害の独立危険因子(Anesth Analg 2003; 97:1558-1565)。腎機能維持を考慮しつつ制限的輸液戦略がよいようである。
・そのため、血行動態維持、酸素供給維持のために昇圧薬併用を考慮
1. 輸液バランス20ml/kgを超えない
2. 初めの24時間で3Lを超える晶質液投与をしない
3. いわゆるthird space lossの補充は術中に行わない
4. 尿量0.5ml/kg/hは必要ない
5. 術後に組織血液灌流をを上げたいならば、輸液を負荷するよりも侵襲的モニター(注:PACとか?)を参考しつつ、昇圧薬を使用するのが好ましい。
・片肺換気中の呼吸器設定
一回換気量5-6ml/kg, PEEP5cmH2O, 最高気道内圧<35cmH2O, プラトー圧<25cmH2O
*稀だが閉胸後(直後、<24h)の心ヘルニアに注意。死亡率>50%。心膜が開いていると起こる可能性あり…CVP上昇、頻脈、低血圧、で気づく。発症したら緊急手術が必要。鑑別診断は血胸、肺塞栓、不適切な胸腔ドレーンによる縦隔偏位
2012年6月12日火曜日
(麻) 産科麻酔ポケットマニュアル (羊土社, 2012年) 、これはありがたい1冊です
FacebookでY先生が教えてくれたので、自分も実物を手にとって見ました。学会会場で売られていたようなのでもう既に手元にある人も多いのかもしれませんが。大学の生協でぱらぱらめくると読みやすかったので、とても気に入り、即購入。そして結構読んでしまいました。私のように、時々しか帝王切開に関わらない状態で、まとまった勉強時間をとれなくて、専門の施設に研修に行けないような状態の大学院生麻酔科医にはとても役に立ちます。妊婦さんの合併症別に麻酔科医の取るべき対応法がコンパクトにまとまっていますし、産科救急への対応にもページが割かれていますし、参考文献も項目別に適度に掲載されていますので、知識の穴を埋めるのに役立ちそうです。麻酔科専門医試験の口頭試験対策にも役立つような気がします。この本だけで学習を終えてはいけないんでしょうが、知識の棚を作るのには非常に便利な一冊です。実践的な内容ですし、麻酔研修開始したばっかりのレジデントの先生たちにもおすすめです。私は当直のお供として愛読させていただきます。今度の当直前にひと通り目を通そうと思います。羊土社のマニュアル。心臓麻酔、産科麻酔ポケットマニュアルと来たから、次は小児麻酔マニュアルでしょうか?安直すぎですか?私はまた買っちゃいそうですけど。2012年2月2日木曜日
(麻) 雪國再訪と局麻中毒時のlipid rescue
麻酔科学会の事前参加登録が始まっているので、久しぶりにDaturaに入ると「2011 年度第50 回麻酔科専門医認定試験 講評」が掲載されていました。
要約すると・・・基本的な問題ばっかりだったんだから、もっとがんばれよ、って書いてるように読めます。厳しいなぁ。
***
ということで大雪警報の出ていた昨日、再度雪國へ麻酔をしに行って参りました。県境を越えたあたりから車窓の外は白一色でしたが、新幹線は完全に予定通りの運行時間で到着。凄すぎます。
聞いてみると、私が到着する前の3時間ほどで10cmくらい雪が積もったとのこと。幹線道路はかろうじて除雪されていましたが、その他の道は完全に雪道。雪國でも結構苦戦している様子でした。
駅からバスに乗ろうと・・・待てども待てども来ない・・・でも、来たとしても普段の2-3倍の時間はかかるだろうと踏んで、結局、病院まではタクシーを使ってしまいました。タクシーの運転手さんも雪道だとノロノロ運転で大して儲からないんだよ、と嘆いておりました。
こちらの病院にお世話になるのは2回目でしたが、外科の先生や看護師さんへの気の遣い方がわかってきたので、随分楽に仕事ができました。
オペ室でエフェドリン吸ってる時に、流れてきたのはJourneyのOpen Arms。
久しぶりに聴いたけどやっぱりいい曲。聴いたのは、ヴォーカルなしのピアノ版インストでしたが。
***
The Anesthesia Blog にありましたので、復習。専門医試験にも出題されてました。
20% Intralipid:
1.Administer 1.5 mL/kg as an initial bolus; the bolus can be repeated 1- 2 times for persistent asystole.
2.Start an infusion at 0.25 mL/kg/min for 30-60 minutes; increase infusion rate up to 0.50 mL/kg/min for refractory hypotension.
大体、大人(60kgとして)なら初回100mlボーラス、心静止続くなら1-2回ボーラスをリピート。15ml/minの速さで30分か1時間。治療に反応しない低血圧に30ml/minまで増量ってところでしょうか。10%イントラリピッドなら2倍量に。
以下2/28追記。
Anesthesiology - Issue: Volume 115(6), December 2011, p 1219–1228
Lipid Resuscitation of Bupivacaine Toxicity: Long-chain Triglyceride Emulsion Provides Benefits over Long- and Medium-chain Triglyceride Emulsion
によれば中/長鎖脂肪酸製剤より長鎖脂肪酸製剤のほうが心拍再開後の再心停止率は低いようですね。今のところ日本では長鎖脂肪酸製剤しか使えないようですが。このラットのモデルでは、数十分後に再度心停止をきたしているケースもあるようですから、ヒトにおいても心拍再開後の持続投与って重要なのかな。拡大解釈かもしれませんが、脂肪酸製剤の半減期を考えると使ったほうがいいんでしょうね、きっと。脂肪酸製剤は肝代謝だから、肝硬変患者さんだったら持続する必要がないのかも。全部推測ですが。
The exact mechanism of lipid rescue remains unclear. Currently, the most favored theoretical mechanism is the “lipid sink” theory, in which the lipophilic local anesthetics are bound by lipid, thus reducing tissue content of the toxin. An alternative mechanism is the “lipid flux” theory, whereby lipid emulsions supply the mitochondria with sufficient substrate to enable energy production, which counters the impaired fatty acid delivery caused by local anesthetics.
この論文の結果はlipid sink theoryをより裏付ける結果だったようです。
要約すると・・・基本的な問題ばっかりだったんだから、もっとがんばれよ、って書いてるように読めます。厳しいなぁ。
***
ということで大雪警報の出ていた昨日、再度雪國へ麻酔をしに行って参りました。県境を越えたあたりから車窓の外は白一色でしたが、新幹線は完全に予定通りの運行時間で到着。凄すぎます。
聞いてみると、私が到着する前の3時間ほどで10cmくらい雪が積もったとのこと。幹線道路はかろうじて除雪されていましたが、その他の道は完全に雪道。雪國でも結構苦戦している様子でした。
駅からバスに乗ろうと・・・待てども待てども来ない・・・でも、来たとしても普段の2-3倍の時間はかかるだろうと踏んで、結局、病院まではタクシーを使ってしまいました。タクシーの運転手さんも雪道だとノロノロ運転で大して儲からないんだよ、と嘆いておりました。
こちらの病院にお世話になるのは2回目でしたが、外科の先生や看護師さんへの気の遣い方がわかってきたので、随分楽に仕事ができました。
オペ室でエフェドリン吸ってる時に、流れてきたのはJourneyのOpen Arms。
***
The Anesthesia Blog にありましたので、復習。専門医試験にも出題されてました。
20% Intralipid:
1.Administer 1.5 mL/kg as an initial bolus; the bolus can be repeated 1- 2 times for persistent asystole.
2.Start an infusion at 0.25 mL/kg/min for 30-60 minutes; increase infusion rate up to 0.50 mL/kg/min for refractory hypotension.
大体、大人(60kgとして)なら初回100mlボーラス、心静止続くなら1-2回ボーラスをリピート。15ml/minの速さで30分か1時間。治療に反応しない低血圧に30ml/minまで増量ってところでしょうか。10%イントラリピッドなら2倍量に。
以下2/28追記。
Anesthesiology - Issue: Volume 115(6), December 2011, p 1219–1228
Lipid Resuscitation of Bupivacaine Toxicity: Long-chain Triglyceride Emulsion Provides Benefits over Long- and Medium-chain Triglyceride Emulsion
によれば中/長鎖脂肪酸製剤より長鎖脂肪酸製剤のほうが心拍再開後の再心停止率は低いようですね。今のところ日本では長鎖脂肪酸製剤しか使えないようですが。このラットのモデルでは、数十分後に再度心停止をきたしているケースもあるようですから、ヒトにおいても心拍再開後の持続投与って重要なのかな。拡大解釈かもしれませんが、脂肪酸製剤の半減期を考えると使ったほうがいいんでしょうね、きっと。脂肪酸製剤は肝代謝だから、肝硬変患者さんだったら持続する必要がないのかも。全部推測ですが。
The exact mechanism of lipid rescue remains unclear. Currently, the most favored theoretical mechanism is the “lipid sink” theory, in which the lipophilic local anesthetics are bound by lipid, thus reducing tissue content of the toxin. An alternative mechanism is the “lipid flux” theory, whereby lipid emulsions supply the mitochondria with sufficient substrate to enable energy production, which counters the impaired fatty acid delivery caused by local anesthetics.
この論文の結果はlipid sink theoryをより裏付ける結果だったようです。
2011年10月18日火曜日
(麻) 周術期ACLSの簡単なまとめ
TEEとか末梢神経ブロックとか勿論大事なのですが、生死に関わるピンチのときに何も出来ないと麻酔科医のアイデンティティが大きく損なわれる気がします(TEEは勿論life threatening situationにもパワーを発揮しますが)。ピンチの際には下のまとめなんて見ている余裕は当然無く、頭より先に体を動かさねばなりません。鑑別診断リストなんて覚えようとしていたら覚えられませんが、瞬時に色々思いつかないと患者さんを永遠に失いかねません。
ちゃんと勉強しないとな…。
***
Anesthesiology. 2003 Aug;99(2):259-69.によると・・・
・非心臓手術で周術期に心停止を起こした症例を検討。
・1990から2000年の11年間、Mayoクリニックにて。
・518,294麻酔中223人が心停止。(4.3 per 10,000)
・対全麻では (7.8 per 10,000 during 1990-1992; 3.2 per 10,000 during 1998-2000)
・対局麻では(1.5 per 10,000)
・MAC(monitored anesthesia care)では (0.7 per 10,000)
・心停止後生存率は46.6%, 生存退院は34.5%.
・24人(0.5 per 10,000) は麻酔に直接原因のある心停止。
(つまり麻酔が原因は24/223人で心停止中10%弱)
・多変量解析では出血による心停止患者は生存退院率が有意に低い(P = 0.001).
・時間外(nonstandard working hours)心停止患者では生存率が低かった(P = 0.006)。
これは蘇生にかかわれる人出が足りないためであろう。
・心停止前に長期に低血圧が続く患者も生存率が低かった(P < 0.001).
・多くの心停止が麻酔関連原因ではなかった。麻酔関連心停止患者の多くは生存退院していた。
***
・心室性頻脈>150 bpmによる重篤な症状等があれば直ちに除細動する
@周術期にACLSを要す麻酔薬関連原因
・静脈麻酔薬過量投与
・吸入麻酔過量投与
・区域麻酔による高位交感神経ブロック
・局所麻酔薬による全身的毒性
・悪性高熱症
・薬剤投与エラー
@呼吸による原因
・低酸素血症
・急性気管支痙攣
・autoPEEP
@心血管系による原因
・迷走神経反射
・循環血液減少、出血性ショック
・緊張性気胸
・アナフィラキシー
・輸血に対する副作用
・高カリウム血症等の急激な電解質異常
・重度の肺高血圧
・腹腔内圧上昇
・ペースメーカー不全
・QT延長症候群
・急性冠症候群
・肺塞栓
・ガス塞栓
・眼球心臓反射
・電気けいれん療法
@オペ室での蘇生ポイント
・全麻下であれば患者の意識有無を呼びかけ確認する必要がない
・適切な人間にCPR開始を指示すること
・麻酔と手術を中止すること
・助けを呼ぶこと、除細動器をもってきてもらうこと
・挿管されてなければBMVを行い、その後挿管すること
・不用意にCPRを中止しない。脈拍触知よりもカプノグラフィの方が循環再開の鋭敏な指標となる
・換気は8-10回/分。100%酸素。
・全ての静脈ラインは全開にする
@以下は区域麻酔について
・区域麻酔中の心停止は1.8 per 10,000 patients (neuraxial)
・頻度は脊麻>硬麻 (2.9 vs. 0.9 per 10,000 ; P = 0.041) (Anesth Analg 2005;100:855-865).
@区域麻酔中の心停止治療
(注意:勿論下記だけでは全ての状況はカバーできない。局麻の過量投与や頻脈、ガス塞栓、産婦ではそれぞれの状況に応じて治療する必要あり)
・中止できる麻酔や鎮静薬は中止
・100%酸素で換気、挿管。
・症候性徐脈や脈なし10秒以上ではCPR開始。
・徐脈は1mgのアトロピンで治療
・1mg以上のアドレナリン静注で治療(0.1mg/kgまで)
・40単位のバゾプレッシン併用を考慮
@周術期PEA・心静止の鑑別診断(8H & 8T)
Hypoxia Trauma/hypovolemia (低酸素、外傷/循環血液減少)
Hypovolemia Tension Pneumothorax (循環血液減少、緊張性気胸)
Hyper-vagal Thrombosis of Coronary (迷走神経過緊張、冠動脈血栓)
Hydrogen Ion Tamponade (アシドーシス、タンポナーデ)
Hyperkalemia Thrombus in Pulmonary Artery (高カリウム血症、肺塞栓)
Malignant Hyperthermia Long QT syndrome (悪性高熱症、QT延長症候群)
Hypothermia Toxins (anaphylaxis) (低体温、薬物-アナフィラキシーなど)
Hypoglycemia Pulmonary HTN (低血糖、肺高血圧)
***
勿論、上記の記載は全てを網羅していません。臨床の問題に決まった答えは1つとしてなく、あくまでcase by caseです。
自分がこれまで治療に関わった、オペ室で心停止を起こした患者さんたちのことを、朧気に、しかしはっきりとシカゴで思い出します。
参考文献
Adapting ACLS to the Perioperative Period (Anesthesiology 2011 refresher course lecture summary)
ちゃんと勉強しないとな…。
***
Anesthesiology. 2003 Aug;99(2):259-69.によると・・・
・非心臓手術で周術期に心停止を起こした症例を検討。
・1990から2000年の11年間、Mayoクリニックにて。
・518,294麻酔中223人が心停止。(4.3 per 10,000)
・対全麻では (7.8 per 10,000 during 1990-1992; 3.2 per 10,000 during 1998-2000)
・対局麻では(1.5 per 10,000)
・MAC(monitored anesthesia care)では (0.7 per 10,000)
・心停止後生存率は46.6%, 生存退院は34.5%.
・24人(0.5 per 10,000) は麻酔に直接原因のある心停止。
(つまり麻酔が原因は24/223人で心停止中10%弱)
・多変量解析では出血による心停止患者は生存退院率が有意に低い(P = 0.001).
・時間外(nonstandard working hours)心停止患者では生存率が低かった(P = 0.006)。
これは蘇生にかかわれる人出が足りないためであろう。
・心停止前に長期に低血圧が続く患者も生存率が低かった(P < 0.001).
・多くの心停止が麻酔関連原因ではなかった。麻酔関連心停止患者の多くは生存退院していた。
***
・心室性頻脈>150 bpmによる重篤な症状等があれば直ちに除細動する
@周術期にACLSを要す麻酔薬関連原因
・静脈麻酔薬過量投与
・吸入麻酔過量投与
・区域麻酔による高位交感神経ブロック
・局所麻酔薬による全身的毒性
・悪性高熱症
・薬剤投与エラー
@呼吸による原因
・低酸素血症
・急性気管支痙攣
・autoPEEP
@心血管系による原因
・迷走神経反射
・循環血液減少、出血性ショック
・緊張性気胸
・アナフィラキシー
・輸血に対する副作用
・高カリウム血症等の急激な電解質異常
・重度の肺高血圧
・腹腔内圧上昇
・ペースメーカー不全
・QT延長症候群
・急性冠症候群
・肺塞栓
・ガス塞栓
・眼球心臓反射
・電気けいれん療法
@オペ室での蘇生ポイント
・全麻下であれば患者の意識有無を呼びかけ確認する必要がない
・適切な人間にCPR開始を指示すること
・麻酔と手術を中止すること
・助けを呼ぶこと、除細動器をもってきてもらうこと
・挿管されてなければBMVを行い、その後挿管すること
・不用意にCPRを中止しない。脈拍触知よりもカプノグラフィの方が循環再開の鋭敏な指標となる
・換気は8-10回/分。100%酸素。
・全ての静脈ラインは全開にする
@以下は区域麻酔について
・区域麻酔中の心停止は1.8 per 10,000 patients (neuraxial)
・頻度は脊麻>硬麻 (2.9 vs. 0.9 per 10,000 ; P = 0.041) (Anesth Analg 2005;100:855-865).
@区域麻酔中の心停止治療
(注意:勿論下記だけでは全ての状況はカバーできない。局麻の過量投与や頻脈、ガス塞栓、産婦ではそれぞれの状況に応じて治療する必要あり)
・中止できる麻酔や鎮静薬は中止
・100%酸素で換気、挿管。
・症候性徐脈や脈なし10秒以上ではCPR開始。
・徐脈は1mgのアトロピンで治療
・1mg以上のアドレナリン静注で治療(0.1mg/kgまで)
・40単位のバゾプレッシン併用を考慮
@周術期PEA・心静止の鑑別診断(8H & 8T)
Hypoxia Trauma/hypovolemia (低酸素、外傷/循環血液減少)
Hypovolemia Tension Pneumothorax (循環血液減少、緊張性気胸)
Hyper-vagal Thrombosis of Coronary (迷走神経過緊張、冠動脈血栓)
Hydrogen Ion Tamponade (アシドーシス、タンポナーデ)
Hyperkalemia Thrombus in Pulmonary Artery (高カリウム血症、肺塞栓)
Malignant Hyperthermia Long QT syndrome (悪性高熱症、QT延長症候群)
Hypothermia Toxins (anaphylaxis) (低体温、薬物-アナフィラキシーなど)
Hypoglycemia Pulmonary HTN (低血糖、肺高血圧)
***
勿論、上記の記載は全てを網羅していません。臨床の問題に決まった答えは1つとしてなく、あくまでcase by caseです。
自分がこれまで治療に関わった、オペ室で心停止を起こした患者さんたちのことを、朧気に、しかしはっきりとシカゴで思い出します。
参考文献
Adapting ACLS to the Perioperative Period (Anesthesiology 2011 refresher course lecture summary)
2011年10月3日月曜日
第50回専門医認定試験の結果、速報
筆記 457人 83.8%
口頭 460人 79.8%
実技 436人 90.4%
(数字は公開された受験者数)
第49回に比べて、口頭試験と実技試験の合格率が低下したようです。矢張り私個人の手応え同様、口頭試験が難しかったのですね。
因みに私は旅先からダンボールに荷物を詰めて自宅に送ってしまい、受験票もその中。微妙に覚えにくい番号だったため、速報を見ても合格しているのかよくわかりません、ということに速報を見て気づきました。荷物を受け取り次第、確認しようと思います。
全国の受験生の皆様、お疲れ様でした。
補足:結局、本年新しく麻酔科専門医に認定された人の割合は66.6%だったようです(学会Newsletterによると)。(2012年1月8日追記)
口頭 460人 79.8%
実技 436人 90.4%
(数字は公開された受験者数)
第49回に比べて、口頭試験と実技試験の合格率が低下したようです。矢張り私個人の手応え同様、口頭試験が難しかったのですね。
因みに私は旅先からダンボールに荷物を詰めて自宅に送ってしまい、受験票もその中。微妙に覚えにくい番号だったため、速報を見ても合格しているのかよくわかりません、ということに速報を見て気づきました。荷物を受け取り次第、確認しようと思います。
全国の受験生の皆様、お疲れ様でした。
補足:結局、本年新しく麻酔科専門医に認定された人の割合は66.6%だったようです(学会Newsletterによると)。(2012年1月8日追記)
2011年9月29日木曜日
(麻) 鉛筆でぬりぬり
50Aから気になったところを。
・圧拮抗現象:吸入麻酔のメカニズムとしては,吸入麻酔薬が脳細胞の膜の脂質二重層に入り込んで側圧をまし,これがイオンチャンネル蛋白の活動に影響を与えて,麻酔状態を誘導すると考えられている.吸入麻酔薬は脂質二重層に入り込んで,膜構造に歪みを与える.高圧を加えると脂質二重層に入り込んだ吸入麻酔薬との物理化学的結合に異常が生じ,吸入麻酔薬分子が脂質二重層から除去されてしまう.これが圧拮抗現象である.
→参考ウェブ「電子版麻酔学教科書」
http://masuika.net/forum/forum2.cgi?Work=Part&Forum=page6&No=&Num=8&Back=Tree
・フルマゼニルの代謝:大部分がエチルエステルの加水分解によりカルボン酸体に代謝された後、その約40%がグルクロン酸抱合体に変化し、いずれも尿中に速やかに排泄。
・水中毒 ― オキシトシンの副作用
・脊髄の痛覚伝導路 ― 外側脊髄視床路
・パラコート:胃から吸収せず、腸から徐々に吸収(腸肝循環は少ない)吸収率=10(5~15)%、6時間で40%
@麻酔科学の歴史
・亜酸化窒素の麻酔作用発見:1800年 Davy H
・モルヒネ分離:1804年、ドイツの薬剤師フリードリヒ・ゼルチュルナー (Friedrich Sertürner) により、初めて分離(この物質は、史上初めて薬用植物から分離されたアルカロイドとなった)。
・CO2の麻酔作用:1824年。Hickman HH
・エーテル麻酔実施:1842年。Long CW
・プロカイン合成:1904年。Einhorn A
・圧拮抗現象:吸入麻酔のメカニズムとしては,吸入麻酔薬が脳細胞の膜の脂質二重層に入り込んで側圧をまし,これがイオンチャンネル蛋白の活動に影響を与えて,麻酔状態を誘導すると考えられている.吸入麻酔薬は脂質二重層に入り込んで,膜構造に歪みを与える.高圧を加えると脂質二重層に入り込んだ吸入麻酔薬との物理化学的結合に異常が生じ,吸入麻酔薬分子が脂質二重層から除去されてしまう.これが圧拮抗現象である.
→参考ウェブ「電子版麻酔学教科書」
http://masuika.net/forum/forum2.cgi?Work=Part&Forum=page6&No=&Num=8&Back=Tree
・フルマゼニルの代謝:大部分がエチルエステルの加水分解によりカルボン酸体に代謝された後、その約40%がグルクロン酸抱合体に変化し、いずれも尿中に速やかに排泄。
・水中毒 ― オキシトシンの副作用
・脊髄の痛覚伝導路 ― 外側脊髄視床路
・パラコート:胃から吸収せず、腸から徐々に吸収(腸肝循環は少ない)吸収率=10(5~15)%、6時間で40%
@麻酔科学の歴史
・亜酸化窒素の麻酔作用発見:1800年 Davy H
・モルヒネ分離:1804年、ドイツの薬剤師フリードリヒ・ゼルチュルナー (Friedrich Sertürner) により、初めて分離(この物質は、史上初めて薬用植物から分離されたアルカロイドとなった)。
・CO2の麻酔作用:1824年。Hickman HH
・エーテル麻酔実施:1842年。Long CW
・プロカイン合成:1904年。Einhorn A
2011年9月27日火曜日
(麻) 肺動脈カテーテル(PAC) ― 麻酔科専門医試験に関連した知識
今からPAWPの波形書けるようにしておかなきゃ。もう遅い?
***
@PAWPと肺動脈拡張期圧(PADP)の相関が悪くなる病態 (過去問頻出)
1. PAWP > LVEDP
MS、MR、LA myxoma、VSD ( LAP > LVEDP)
肺静脈閉塞性疾患( PAWP > LAP)
高いPEEP( PAWP > LAP)
2. PAWP < LVEDP
LVコンプライアンス低下、HCMなど(LAP < LVEDP)
AR(LAPのa 波 < LVEDP:拡張末期の早期僧帽弁閉鎖)
PR、右脚ブロック、肺血管症減少
3. PAWP < PADP
PH、肺性心、PE、頻脈(頻脈はLVEDP<LAP<PADP)
@PAWPの波と谷
(こちらも過去問頻出。因みにCVP問題もほぼ同様の考え方で解けます。僧帽弁→三尖弁、v波増高→三尖弁閉鎖不全、y谷の僧帽弁開放→三尖弁開放、というふうに。但しCVPのa波はECG上のP波の比較的すぐ後(PとQRSの間)に出現する=PAWPの波より時相が早いことに注意)
a波:心室拡張末期の心房収縮によって作られる陽性の波。洞調律ではこの波が最大。。
c波:収縮期開始時の僧帽弁閉鎖により作られる小さい陽性波
*ECGのR波に続いて見られる
v波:心室収縮期にPVから心房への血液の流入によってできる陽性ノッチ
x谷:a波、c波につづく下行脚。心房の弛緩に一致
y谷:v波につづく圧の低下。僧帽弁の開放にともなって心室への急速流入によってできる
*a波はatrial kickのa、c波はclosureのc、v波はvetrivcle、veinのv、と下記「Intensivist」のp205にあります。
@a波消失
・AF、房室結節リズム、心室ペーシング、心室調律
@巨大a波
・MS、拡張期LVコンプライアンス低下(47A36)、III度AVB、房室解離(タイミングがずれて僧帽弁が閉鎖された状態で心房収縮が起こるため生じる)
@巨大v波
・MR → 収縮後期逆流性雑音
・急性心筋虚血
その他過去問から
・肺動脈カテーテルによる心拍出量測定:古典的にはStewart-Hamilton式に基づく熱希釈法で行う。熱希釈曲線はCOが大きいほど変化が小さくなる(46B)
・希釈法では注入量が少ないと、COは実際値より高くなる。
@PAWP(平均圧6-12mmHg)の測定
・呼吸:胸腔内圧の変化の影響を最も受けにくい呼気終末に測定。
・循環:左室拡張末期圧(LVEDP)を見たいため、その圧を反映する心集気の点(心房収縮後で僧帽弁閉鎖直前(z点:a波とc波の間。ECG上Q波の50msec後、R波あたり))で測定。
・通常はPAWP≒肺動脈拡張期圧なので、PAWPは平均肺動脈圧より低い。
・PEEP付加時:一般的にはPEEPをかけたまま呼吸回路をはずさずにそのまま測定し、呼気終末の時点のa波の平均を採用
・PAWPを測定する理想的なポイントは過去問通りWest zone 3(肺動脈圧 > 肺毛細血管圧 >肺胞圧)
以下の文献やウェブに大変お世話になりました。
・非侵襲的モニターは侵襲的モニターを超えられるか 日臨麻会誌. Vol 31, 58-66, 2011
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/31/1/058/_pdf/-char/ja/
・Dr.讃井の集中治療のススメ
http://blog.goo.ne.jp/jseptic
・Intensivist 2011 vol.3 No.2 モニター、MEDSi、2011
・ICUブック第3版、MEDSi、2011
***
@PAWPと肺動脈拡張期圧(PADP)の相関が悪くなる病態 (過去問頻出)
1. PAWP > LVEDP
MS、MR、LA myxoma、VSD ( LAP > LVEDP)
肺静脈閉塞性疾患( PAWP > LAP)
高いPEEP( PAWP > LAP)
2. PAWP < LVEDP
LVコンプライアンス低下、HCMなど(LAP < LVEDP)
AR(LAPのa 波 < LVEDP:拡張末期の早期僧帽弁閉鎖)
PR、右脚ブロック、肺血管症減少
3. PAWP < PADP
PH、肺性心、PE、頻脈(頻脈はLVEDP<LAP<PADP)
@PAWPの波と谷
(こちらも過去問頻出。因みにCVP問題もほぼ同様の考え方で解けます。僧帽弁→三尖弁、v波増高→三尖弁閉鎖不全、y谷の僧帽弁開放→三尖弁開放、というふうに。但しCVPのa波はECG上のP波の比較的すぐ後(PとQRSの間)に出現する=PAWPの波より時相が早いことに注意)
a波:心室拡張末期の心房収縮によって作られる陽性の波。洞調律ではこの波が最大。。
c波:収縮期開始時の僧帽弁閉鎖により作られる小さい陽性波
*ECGのR波に続いて見られる
v波:心室収縮期にPVから心房への血液の流入によってできる陽性ノッチ
x谷:a波、c波につづく下行脚。心房の弛緩に一致
y谷:v波につづく圧の低下。僧帽弁の開放にともなって心室への急速流入によってできる
*a波はatrial kickのa、c波はclosureのc、v波はvetrivcle、veinのv、と下記「Intensivist」のp205にあります。
@a波消失
・AF、房室結節リズム、心室ペーシング、心室調律
@巨大a波
・MS、拡張期LVコンプライアンス低下(47A36)、III度AVB、房室解離(タイミングがずれて僧帽弁が閉鎖された状態で心房収縮が起こるため生じる)
@巨大v波
・MR → 収縮後期逆流性雑音
・急性心筋虚血
その他過去問から
・肺動脈カテーテルによる心拍出量測定:古典的にはStewart-Hamilton式に基づく熱希釈法で行う。熱希釈曲線はCOが大きいほど変化が小さくなる(46B)
・希釈法では注入量が少ないと、COは実際値より高くなる。
@PAWP(平均圧6-12mmHg)の測定
・呼吸:胸腔内圧の変化の影響を最も受けにくい呼気終末に測定。
・循環:左室拡張末期圧(LVEDP)を見たいため、その圧を反映する心集気の点(心房収縮後で僧帽弁閉鎖直前(z点:a波とc波の間。ECG上Q波の50msec後、R波あたり))で測定。
・通常はPAWP≒肺動脈拡張期圧なので、PAWPは平均肺動脈圧より低い。
・PEEP付加時:一般的にはPEEPをかけたまま呼吸回路をはずさずにそのまま測定し、呼気終末の時点のa波の平均を採用
・PAWPを測定する理想的なポイントは過去問通りWest zone 3(肺動脈圧 > 肺毛細血管圧 >肺胞圧)
以下の文献やウェブに大変お世話になりました。
・非侵襲的モニターは侵襲的モニターを超えられるか 日臨麻会誌. Vol 31, 58-66, 2011
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/31/1/058/_pdf/-char/ja/
・Dr.讃井の集中治療のススメ
http://blog.goo.ne.jp/jseptic
・Intensivist 2011 vol.3 No.2 モニター、MEDSi、2011
・ICUブック第3版、MEDSi、2011
(麻) 麻酔科専門医試験口頭試験2010年症例1-1 帯状疱疹後神経痛
初めて患者さんにSGBをさせていただいたときの緊張といったら、今でも忘れられない。
@症例
・65 歳男性。165cm、 70kg。
・糖尿病の既往
・6 か月前に右肺がんの手術を受け、化学療法中
・2 か月前に右項部(髪の毛の生え際)から右鎖骨領域にかけて痛みを伴う赤い集簇性の水疱が出現
・現在は、ぴりぴりした痛みがあり、シャツの襟が当たったときにぴりっとした強い痛みが走る。入浴で痛みが和らぐ。
質問
1) 全身状態の評価について
1.この患者の問題点を挙げる。
・BMI25.7で1度肥満
・DMの既往と化学療法中のために易感染性であろう
・肺がん術後で呼吸機能低下
・化学療法の薬剤によっては貧血と血小板数低下、末梢神経障害等の可能性もある
(帯状疱疹にまれに合併する髄膜炎、脳炎、肝・腎の巣状壊死、IPなども念頭に)
2.現在の痛みの原因は何か。
・水痘・帯状疱疹ウイルスによるもの。亜急性期(発症から1ヶ月~6ヶ月)
*日本ペインクリニック学会誌, Vol. 17 (2010) No. Supplement pp.S55-S134によれば発症から6ヶ月で「帯状疱疹後神経痛」である(時期については暫定的で、まだ明確な定義なし)。6ヶ月以降の疼痛残存率は60歳以上で10%程度。免疫不全では45%程度まで上昇。
*因みに帯状疱疹の再発は全患者の1%程度と比較的稀。
3.この痛みのタイプ、皮膚分節における部位、痛みの特徴を挙げる。
・帯状疱疹神経痛
・皮膚分節:三叉神経第3枝~C4程度。
・ 皮膚がぴりぴりした感じや鈍痛で始まる。かゆみを伴う事もある。痛みは増強する。通常は発症2週間後に最高になる。皮膚の知覚異常を合併する。徐々に服がこすれただけでもピリピリ痛むようになる。
2) 星状神経節ブロックについて
1.この患者に星状神経節ブロックを施行する。星状神経節はどこにあるか。
・第7頸椎横突起基部前面。穿刺は第6(輪状軟骨の下縁)あるいは第7頸椎横突起を基部に行う 。C7の下部1/3は肺尖部と重なる。
2.星状神経節ブロックの実施前の注意点と具体的なブロック方法について述べる。
@実施前の注意点:
・緊急の対処が必要となる合併症の発生があり、酸素吸入、人工吸入、血管確保などが必要であることから、救急医薬品を常備して救急蘇生を行える準備をする
・出血傾向のないことを採血や問診で確認
・呼吸困難が出現したらただちに連絡するように事前に説明
・ICを行い、書面で同意を得る
@手技
準備:5ml注射器、25G針(25mm)、局所麻酔薬(1%メピバカインorリドカイン5ml)
体位:枕をはずし仰臥位。顎を前方に突き出し、頸部は少し後屈。軽く開口させ、頸部筋肉の緊張をとる
@手順
・清潔手袋で穿刺部位の消毒
・示指と中指で、輪状軟骨の高さで、胸鎖乳突筋をゆっくり外側に圧排、頸動脈拍動を触知。動脈誤穿刺を避けるために、頸動脈の位置を確認して穿刺。
・わずかに頭尾側、左右に指先を動かし第6頸椎横突起前結節を探り、指先で前結節をおさえ、その内側の横突起基部をめがけ刺入。
・頸部の軟部組織をしっかり分ければ、皮膚から横突起まで15mm以内で到達。血液逆流がないことを確認し薬液をゆっくり注入。
・抜針後は、刺入部に滅菌ガーゼを当て、患者にブロック側と反対側の指で、刺入部を圧迫させる。
・抜針時に針先や注射器に血液が認められた場合には、術者自身が5分以上圧迫。
・ブロック後20-30分以上、ベット上安静、経過観察。意識や呼吸状態のチェック。
3.星状神経節ブロック後の症状を列挙。
A.頸部交感神経幹 B.上胸部交感神経幹 双方が遮断される。
Aがブロックされたことの判定:眼瞼下垂、縮瞳、眼球陥凹のHorner徴候、眼球の充血、鼻閉感、顔面の紅潮、温感、発汗減少
Bがブロックされたことの判定:手掌の発汗停止、上肢の温度上昇
4.星状神経節ブロック後に予想される合併症を列挙。
・反回神経麻痺(針先が内側すぎると生じる。1-2時間で回復。その間、飲食を控えるよう指導)
・腕神経叢麻痺(針先が深すぎると腕神経叢ブロックに。針先が神経に触れると、paresthesia。C7から刺入すると起こりやすい。1-2時間で回復)
・硬膜外腔やくも膜下腔への誤注入(針先が内側深すぎると生じる。薬液が神経に沿って中枢に流れると、硬膜外ブロック、まれにくも膜下ブロックが生じる。両側の上肢感覚、運動障害)
・血管穿刺、出血(動脈内注入で意識消失、全身痙攣、呼吸停止。頸動脈の圧排、薬液注入前吸引テストを絶対行う。注入もゆっくり。注入中の患者の変化も見逃さない。巨大血腫形成による気道閉鎖は、ゆっくり進行し数時間かけて症状が出ることも)
・感染(咽頭後部膿瘍、椎体炎、椎間板炎などで脊髄圧迫症状や呼吸困難が起こる)
3) 接遇問題
ブロック後に気胸が判明したので、入院加療することになった。この患者に付き添ってきた家族が、今回の入院の原因と治療方針の説明を希望している。家族がすでに部屋で待っていて、その部屋に入っていくところから開始。
・自己紹介し、患者さんに状態を伺う。落ち着いているようであれば、家族に、患者さんとの関係を「失礼ですが…」と尋ねて確認する
・患者さんがどのような状態で当科を受診し、どのような治療を必要とし、どのような治療を行ったかについて、家族がどの程度知っていたかを把握する
・把握が十分でないようならば、家族の理解度を伺いながら、それについてまず十分な説明を行う
・その上で、なぜ気胸が起こったか、そして非常に稀な合併症であることを説明。気胸の増悪がないか胸部Xp等を行いながら経過観察していくことと、もし増悪するような場合には胸腔ドレーンという管を入れる可能性もあること、そしてそれでも回復が見込めないようならば手術が必要な可能性(これについては家族がどの程度の温度でいるのかを説明している感触を確かめながら適切な強調具合で説明するのがよろしいと考えます)について説明する。
***
以下の論文とサイトに大変お世話になりました。ありがとうございました。
“帯状疱疹後神経痛の多面的治療はここまで進んでいる”. 日臨麻会誌 Vol. 28: 19-30, (2008)
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/28/1/19/_pdf/-char/ja/
・Pain Rerief → ペインに関することが非常によくまとめられていて、とても勉強になります。
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/analg-bl-sympa.html#sgb
@症例
・65 歳男性。165cm、 70kg。
・糖尿病の既往
・6 か月前に右肺がんの手術を受け、化学療法中
・2 か月前に右項部(髪の毛の生え際)から右鎖骨領域にかけて痛みを伴う赤い集簇性の水疱が出現
・現在は、ぴりぴりした痛みがあり、シャツの襟が当たったときにぴりっとした強い痛みが走る。入浴で痛みが和らぐ。
質問
1) 全身状態の評価について
1.この患者の問題点を挙げる。
・BMI25.7で1度肥満
・DMの既往と化学療法中のために易感染性であろう
・肺がん術後で呼吸機能低下
・化学療法の薬剤によっては貧血と血小板数低下、末梢神経障害等の可能性もある
(帯状疱疹にまれに合併する髄膜炎、脳炎、肝・腎の巣状壊死、IPなども念頭に)
2.現在の痛みの原因は何か。
・水痘・帯状疱疹ウイルスによるもの。亜急性期(発症から1ヶ月~6ヶ月)
*日本ペインクリニック学会誌, Vol. 17 (2010) No. Supplement pp.S55-S134によれば発症から6ヶ月で「帯状疱疹後神経痛」である(時期については暫定的で、まだ明確な定義なし)。6ヶ月以降の疼痛残存率は60歳以上で10%程度。免疫不全では45%程度まで上昇。
*因みに帯状疱疹の再発は全患者の1%程度と比較的稀。
3.この痛みのタイプ、皮膚分節における部位、痛みの特徴を挙げる。
・帯状疱疹神経痛
・皮膚分節:三叉神経第3枝~C4程度。
・ 皮膚がぴりぴりした感じや鈍痛で始まる。かゆみを伴う事もある。痛みは増強する。通常は発症2週間後に最高になる。皮膚の知覚異常を合併する。徐々に服がこすれただけでもピリピリ痛むようになる。
2) 星状神経節ブロックについて
1.この患者に星状神経節ブロックを施行する。星状神経節はどこにあるか。
・第7頸椎横突起基部前面。穿刺は第6(輪状軟骨の下縁)あるいは第7頸椎横突起を基部に行う 。C7の下部1/3は肺尖部と重なる。
2.星状神経節ブロックの実施前の注意点と具体的なブロック方法について述べる。
@実施前の注意点:
・緊急の対処が必要となる合併症の発生があり、酸素吸入、人工吸入、血管確保などが必要であることから、救急医薬品を常備して救急蘇生を行える準備をする
・出血傾向のないことを採血や問診で確認
・呼吸困難が出現したらただちに連絡するように事前に説明
・ICを行い、書面で同意を得る
@手技
準備:5ml注射器、25G針(25mm)、局所麻酔薬(1%メピバカインorリドカイン5ml)
体位:枕をはずし仰臥位。顎を前方に突き出し、頸部は少し後屈。軽く開口させ、頸部筋肉の緊張をとる
@手順
・清潔手袋で穿刺部位の消毒
・示指と中指で、輪状軟骨の高さで、胸鎖乳突筋をゆっくり外側に圧排、頸動脈拍動を触知。動脈誤穿刺を避けるために、頸動脈の位置を確認して穿刺。
・わずかに頭尾側、左右に指先を動かし第6頸椎横突起前結節を探り、指先で前結節をおさえ、その内側の横突起基部をめがけ刺入。
・頸部の軟部組織をしっかり分ければ、皮膚から横突起まで15mm以内で到達。血液逆流がないことを確認し薬液をゆっくり注入。
・抜針後は、刺入部に滅菌ガーゼを当て、患者にブロック側と反対側の指で、刺入部を圧迫させる。
・抜針時に針先や注射器に血液が認められた場合には、術者自身が5分以上圧迫。
・ブロック後20-30分以上、ベット上安静、経過観察。意識や呼吸状態のチェック。
3.星状神経節ブロック後の症状を列挙。
A.頸部交感神経幹 B.上胸部交感神経幹 双方が遮断される。
Aがブロックされたことの判定:眼瞼下垂、縮瞳、眼球陥凹のHorner徴候、眼球の充血、鼻閉感、顔面の紅潮、温感、発汗減少
Bがブロックされたことの判定:手掌の発汗停止、上肢の温度上昇
4.星状神経節ブロック後に予想される合併症を列挙。
・反回神経麻痺(針先が内側すぎると生じる。1-2時間で回復。その間、飲食を控えるよう指導)
・腕神経叢麻痺(針先が深すぎると腕神経叢ブロックに。針先が神経に触れると、paresthesia。C7から刺入すると起こりやすい。1-2時間で回復)
・硬膜外腔やくも膜下腔への誤注入(針先が内側深すぎると生じる。薬液が神経に沿って中枢に流れると、硬膜外ブロック、まれにくも膜下ブロックが生じる。両側の上肢感覚、運動障害)
・血管穿刺、出血(動脈内注入で意識消失、全身痙攣、呼吸停止。頸動脈の圧排、薬液注入前吸引テストを絶対行う。注入もゆっくり。注入中の患者の変化も見逃さない。巨大血腫形成による気道閉鎖は、ゆっくり進行し数時間かけて症状が出ることも)
・感染(咽頭後部膿瘍、椎体炎、椎間板炎などで脊髄圧迫症状や呼吸困難が起こる)
3) 接遇問題
ブロック後に気胸が判明したので、入院加療することになった。この患者に付き添ってきた家族が、今回の入院の原因と治療方針の説明を希望している。家族がすでに部屋で待っていて、その部屋に入っていくところから開始。
・自己紹介し、患者さんに状態を伺う。落ち着いているようであれば、家族に、患者さんとの関係を「失礼ですが…」と尋ねて確認する
・患者さんがどのような状態で当科を受診し、どのような治療を必要とし、どのような治療を行ったかについて、家族がどの程度知っていたかを把握する
・把握が十分でないようならば、家族の理解度を伺いながら、それについてまず十分な説明を行う
・その上で、なぜ気胸が起こったか、そして非常に稀な合併症であることを説明。気胸の増悪がないか胸部Xp等を行いながら経過観察していくことと、もし増悪するような場合には胸腔ドレーンという管を入れる可能性もあること、そしてそれでも回復が見込めないようならば手術が必要な可能性(これについては家族がどの程度の温度でいるのかを説明している感触を確かめながら適切な強調具合で説明するのがよろしいと考えます)について説明する。
***
以下の論文とサイトに大変お世話になりました。ありがとうございました。
“帯状疱疹後神経痛の多面的治療はここまで進んでいる”. 日臨麻会誌 Vol. 28: 19-30, (2008)
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/28/1/19/_pdf/-char/ja/
・Pain Rerief → ペインに関することが非常によくまとめられていて、とても勉強になります。
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/analg-bl-sympa.html#sgb
(麻) 麻酔科専門医認定試験口頭試験2006年-症例2糖尿病患者透析中
以前作った回答を上げておこうかな。こういう問題に当たれば、満点は取れないとしても、全く答えられないということはないので、ありがたいのだけれど。
***
症例
・45 歳男性。169cm、52kg。
・手根管症候群に対して手根管開放術予定。
・糖尿病性腎症で血液透析中。
・BP 170/80mmHg、HR 84bpm。
・空腹時血糖は181mg/dl、血液透析後のHb濃度8.1g/dl、血清K 4.3mEq/l、血清Ca 8.4mg/dl。
質問
1)術前評価と管理
1. この患者の術前状態における問題点を列挙してください。
・血糖コントロール不良の糖尿病かつ血液透析中であること
・調節不良の高血圧
・腎性?貧血
・軽度の低Ca血症(基準値およそ8.5-10.2mg/dl, 2.1-2.5mmol/L程度。血漿イオン化Ca<1.10mmol/L程度以下で低Ca血症)
2. 術前に必要な検査を挙げ説明してください。
・血算(血小板低下の有無)、生化学(肝機能など)、HbA1c値(普段のコントロールの指標に)
・透析に関する情報:スケジュール、週何回なのか、除水量は、dry weightは、HD中の血圧低下や臨床症状はあるのか、
・凝固機能(腕神経叢ブロックを考慮する際には)
・血液ガス分析(代謝性アシドーシスの程度)、
・胸部Xp(肺うっ血所見、胸水貯留所見、心拡大の有無)
・心機能(12誘導心電図、TTEで心嚢水貯留や弁機能、心収縮能・拡張能、壁運動以上をチェック)
問診では
・シャントの位置
・普段の運動耐容能(何METsくらいか推測)
・手根管症候群による正中神経麻痺以外の手足の神経症状
・出血傾向の有無
3. 貧血を是正するか。
・出血量は多くないだろうし、手術も短時間であることが予想されるため是正しない
4. 低Ca血症をどうするか。
ごく軽度なのでそのままでもよいように思う。
5. 糖尿病の評価、コントロールはどうか。
随時血糖値から判断する限りではあまりよろしくないであろう。恐らく末梢神経障害、自律神経障害、眼障害もあるのではなかろうか。冠動脈病変もあることを念頭においた管理が望ましい。
2)麻酔法および術中管理
1. 麻酔法を選択しその理由を説明してください。
2. 麻酔導入の方法と使用する薬剤について具体的に述べてください。
略。喘息患者の抜釘と同様に全麻か腕神経叢ブロックでどちらか安全に施行しうると思う方で説明。
3. 研修医が「スキサメトニウムを使いたい」と言った時、どのようにするか。
・K値が上昇する可能性がある。現時点ではK値は4台なので、恐らく問題とならないだろう。だが、術中使用する他の薬剤によりK値が上昇する可能性があるし、万が一にも赤血球輸血を行う可能性もあるだろうから、より安全に使用できる患者さんに対して使いましょう。
3)周術期危機管理
1. 全身麻酔で管理し、ETCO2が25mmHg で経過していたときにST がさらに低下。どうするか。
・純酸素にしながら、術者にSTが低下している旨を伝える。
・エフェドリン、フェニレフリン等の昇圧剤を投与する。
・ETCO2 35-40mmHg程度になるよう、換気回数を減らす
・冠拡張薬(ニコランジル2-6mg/hや硝酸イソソルビド2-5mg/h)投与開始。血圧が低くなければニトログリセリン使用も
・以上で回復すればそのまま注意深く経過観察。手術再開してもらう。ST低下や血圧低下が持続するようなら、TEEを。(但し食道・胃にTEEの禁忌となるような病気なければ)
2. i) 術前術後の透析スケジュールについて説明。
・術前日に透析を行う。dry weightを目標に。
・術後は術中合併症なく、術後出血も落ち着いているようならば術翌日に行う。
ii) 一般に透析患者に輸液や薬剤を使用する際にどのようなことに注意するか。
・輸液はKなしのものを使用する。生食か1号液。輸液量は除水量から判断して多すぎず少なすぎず、術後のことも考えて。低血圧には昇圧剤を積極的に使用し、輸血の判断も早めに行う。
・腎代謝の薬剤の使用は十分気をつける。筋弛緩薬は通常よりさらに慎重に、またモルヒネは極力使用しない。HD患者へのスガマデクスの投与は推奨されていないので、残存筋弛緩には十分注意して抜管・退室の指示をする。
4)術後管理
術後鎮痛の方法を具体的に説明。
略
***
症例
・45 歳男性。169cm、52kg。
・手根管症候群に対して手根管開放術予定。
・糖尿病性腎症で血液透析中。
・BP 170/80mmHg、HR 84bpm。
・空腹時血糖は181mg/dl、血液透析後のHb濃度8.1g/dl、血清K 4.3mEq/l、血清Ca 8.4mg/dl。
質問
1)術前評価と管理
1. この患者の術前状態における問題点を列挙してください。
・血糖コントロール不良の糖尿病かつ血液透析中であること
・調節不良の高血圧
・腎性?貧血
・軽度の低Ca血症(基準値およそ8.5-10.2mg/dl, 2.1-2.5mmol/L程度。血漿イオン化Ca<1.10mmol/L程度以下で低Ca血症)
2. 術前に必要な検査を挙げ説明してください。
・血算(血小板低下の有無)、生化学(肝機能など)、HbA1c値(普段のコントロールの指標に)
・透析に関する情報:スケジュール、週何回なのか、除水量は、dry weightは、HD中の血圧低下や臨床症状はあるのか、
・凝固機能(腕神経叢ブロックを考慮する際には)
・血液ガス分析(代謝性アシドーシスの程度)、
・胸部Xp(肺うっ血所見、胸水貯留所見、心拡大の有無)
・心機能(12誘導心電図、TTEで心嚢水貯留や弁機能、心収縮能・拡張能、壁運動以上をチェック)
問診では
・シャントの位置
・普段の運動耐容能(何METsくらいか推測)
・手根管症候群による正中神経麻痺以外の手足の神経症状
・出血傾向の有無
3. 貧血を是正するか。
・出血量は多くないだろうし、手術も短時間であることが予想されるため是正しない
4. 低Ca血症をどうするか。
ごく軽度なのでそのままでもよいように思う。
5. 糖尿病の評価、コントロールはどうか。
随時血糖値から判断する限りではあまりよろしくないであろう。恐らく末梢神経障害、自律神経障害、眼障害もあるのではなかろうか。冠動脈病変もあることを念頭においた管理が望ましい。
2)麻酔法および術中管理
1. 麻酔法を選択しその理由を説明してください。
2. 麻酔導入の方法と使用する薬剤について具体的に述べてください。
略。喘息患者の抜釘と同様に全麻か腕神経叢ブロックでどちらか安全に施行しうると思う方で説明。
3. 研修医が「スキサメトニウムを使いたい」と言った時、どのようにするか。
・K値が上昇する可能性がある。現時点ではK値は4台なので、恐らく問題とならないだろう。だが、術中使用する他の薬剤によりK値が上昇する可能性があるし、万が一にも赤血球輸血を行う可能性もあるだろうから、より安全に使用できる患者さんに対して使いましょう。
3)周術期危機管理
1. 全身麻酔で管理し、ETCO2が25mmHg で経過していたときにST がさらに低下。どうするか。
・純酸素にしながら、術者にSTが低下している旨を伝える。
・エフェドリン、フェニレフリン等の昇圧剤を投与する。
・ETCO2 35-40mmHg程度になるよう、換気回数を減らす
・冠拡張薬(ニコランジル2-6mg/hや硝酸イソソルビド2-5mg/h)投与開始。血圧が低くなければニトログリセリン使用も
・以上で回復すればそのまま注意深く経過観察。手術再開してもらう。ST低下や血圧低下が持続するようなら、TEEを。(但し食道・胃にTEEの禁忌となるような病気なければ)
2. i) 術前術後の透析スケジュールについて説明。
・術前日に透析を行う。dry weightを目標に。
・術後は術中合併症なく、術後出血も落ち着いているようならば術翌日に行う。
ii) 一般に透析患者に輸液や薬剤を使用する際にどのようなことに注意するか。
・輸液はKなしのものを使用する。生食か1号液。輸液量は除水量から判断して多すぎず少なすぎず、術後のことも考えて。低血圧には昇圧剤を積極的に使用し、輸血の判断も早めに行う。
・腎代謝の薬剤の使用は十分気をつける。筋弛緩薬は通常よりさらに慎重に、またモルヒネは極力使用しない。HD患者へのスガマデクスの投与は推奨されていないので、残存筋弛緩には十分注意して抜管・退室の指示をする。
4)術後管理
術後鎮痛の方法を具体的に説明。
略
2011年9月26日月曜日
(麻) IABP(intra-aortic baloon pump)メモ
オペ室では時々しか登場しないので、知識を忘れかけた時の記憶トリガー用に。ただIABPバルーンの先端の場所をTEEで確認するだけじゃまずかろうて。
@何はともあれ入れる前に
・適応:心原性ショック、ACS、MIに伴うMV乳頭筋断裂、VSPなど、ハイリスクPCI、ハイリスクCABG、難治性心室性不整脈
・禁忌:2度以上のAR、重篤なAVシャント、大動脈解離、大動脈瘤、コントロールのつかない敗血症や出血、高度の末梢動脈疾患、補助人工心臓適応時(特にECG非同期駆動期)
・効果は多くても自己COの20-30%、長くても1週間くらいで抜去を考慮
・バルーンカテーテルは8.5-9.0Fr。バルーン部位は15-20cm。
・バルーンはヘリウムガスで膨らませる
・バルーンサイズの身長別、およその目安
・<150cm 30ml
・150-160cm 35ml
・160cm< 40ml
・透視が出来る部屋で挿入する。刺入部から第2肋間までの距離を目安に。
・基本的にSeldinger法で
@駆動
*IABP駆動前に、出来る限り洞調律にすることが重要。不適切なタイミングでは心負荷が増えるだけ。
・トリガー信号としてECG、大動脈圧、心臓ペーシングあり。
・基本はECGトリガー。電メス使用時には大動脈圧信号で。
・バルーンinflate(膨張)は大動脈弁閉鎖直後。心収縮期にinflateしたらafterload増えるだけで有害。
・至適タイミング見るべく2:1でIABP開始
<心電図トリガーの時>
・inflate - T波頂点よりやや遅れた地点
・deflate - QRS波の直前
<動脈圧波形トリガーの時>
~兎に角波形をしっかりみて調節するのが重要!誤ったタイミングでは心負荷増えるだけ。
・inflate:開始は動脈圧波形のdicrotic notchに合わせる
・deflate:deflateした時点の収縮期圧が最も低くなるよう、動脈圧波形を見ながら調節
・抗凝固:1:1駆動の際には必要ないかも知れないが、4:1や8:1駆動時には注意が必要。ACTで150-200秒にする
@離脱
・2:1を6-12時間、4:1を2-6時間厳重に監視、具合悪ければ8:1(この比率では殆ど補助効果は期待できないので、使うのはあくまでweaning時)でも様子見る
・中断数時間後に心原性ショックになることがあるので抜去後も注意して観察を。
・離脱基準:自己mAP≧70mmHg、PAWP≦18mmHg、CI≧2.0、反復胸痛なし
・抜去後は15-30分圧迫、その後圧迫器具を更に使用して確実に止血
@合併症
・血管性:下肢虚血、動脈損傷・解離、重篤な出血、血栓塞栓症(腸間膜動脈や腎動脈、脾動脈、上肢下肢)
・非血管性:神経障害(原因不明が多い。前脊髄動脈虚血?)、バルーン破裂(ガス塞栓になり危険!直ちに駆動停止しバルーンカテーテルを抜去)、血小板減少、溶血、内臓虚血
***
参考図書
・補助循環マスターポイント102 改訂2版、メジカルビュー社、2009年 p46-57
・続 麻酔科臨床の書 -A.M.C.心臓手術と麻酔の手引-、MEDSi, 2011年 p199-208
@何はともあれ入れる前に
・適応:心原性ショック、ACS、MIに伴うMV乳頭筋断裂、VSPなど、ハイリスクPCI、ハイリスクCABG、難治性心室性不整脈
・禁忌:2度以上のAR、重篤なAVシャント、大動脈解離、大動脈瘤、コントロールのつかない敗血症や出血、高度の末梢動脈疾患、補助人工心臓適応時(特にECG非同期駆動期)
・効果は多くても自己COの20-30%、長くても1週間くらいで抜去を考慮
・バルーンカテーテルは8.5-9.0Fr。バルーン部位は15-20cm。
・バルーンはヘリウムガスで膨らませる
・バルーンサイズの身長別、およその目安
・<150cm 30ml
・150-160cm 35ml
・160cm< 40ml
・透視が出来る部屋で挿入する。刺入部から第2肋間までの距離を目安に。
・基本的にSeldinger法で
@駆動
*IABP駆動前に、出来る限り洞調律にすることが重要。不適切なタイミングでは心負荷が増えるだけ。
・トリガー信号としてECG、大動脈圧、心臓ペーシングあり。
・基本はECGトリガー。電メス使用時には大動脈圧信号で。
・バルーンinflate(膨張)は大動脈弁閉鎖直後。心収縮期にinflateしたらafterload増えるだけで有害。
・至適タイミング見るべく2:1でIABP開始
<心電図トリガーの時>
・inflate - T波頂点よりやや遅れた地点
・deflate - QRS波の直前
<動脈圧波形トリガーの時>
~兎に角波形をしっかりみて調節するのが重要!誤ったタイミングでは心負荷増えるだけ。
・inflate:開始は動脈圧波形のdicrotic notchに合わせる
・deflate:deflateした時点の収縮期圧が最も低くなるよう、動脈圧波形を見ながら調節
・抗凝固:1:1駆動の際には必要ないかも知れないが、4:1や8:1駆動時には注意が必要。ACTで150-200秒にする
@離脱
・2:1を6-12時間、4:1を2-6時間厳重に監視、具合悪ければ8:1(この比率では殆ど補助効果は期待できないので、使うのはあくまでweaning時)でも様子見る
・中断数時間後に心原性ショックになることがあるので抜去後も注意して観察を。
・離脱基準:自己mAP≧70mmHg、PAWP≦18mmHg、CI≧2.0、反復胸痛なし
・抜去後は15-30分圧迫、その後圧迫器具を更に使用して確実に止血
@合併症
・血管性:下肢虚血、動脈損傷・解離、重篤な出血、血栓塞栓症(腸間膜動脈や腎動脈、脾動脈、上肢下肢)
・非血管性:神経障害(原因不明が多い。前脊髄動脈虚血?)、バルーン破裂(ガス塞栓になり危険!直ちに駆動停止しバルーンカテーテルを抜去)、血小板減少、溶血、内臓虚血
***
参考図書
・補助循環マスターポイント102 改訂2版、メジカルビュー社、2009年 p46-57
・続 麻酔科臨床の書 -A.M.C.心臓手術と麻酔の手引-、MEDSi, 2011年 p199-208
(麻) 麻酔科専門医認定試験口頭試験2007年症例5-分離肺換気中の気胸低酸素血症に関連して
この問題のヤマは低酸素の対応にあると思いますが。問題文中にも患者が肥満体型で肺にブラがある、ということで一側肺換気(OLV)にしたら気道内圧が高くなるぞ~ということが容易に想像できます。でも実際にOLV中に気胸が起こることってどれくらいあるのでしょう?
と思って安直ですが、PubMedを引いてみる。
比較的最近には
Intraoperative contralateral tension pneumothorax during pneumonectomy. Anesth Analg. 2008 Jan;106(1):58-60.
http://www.anesthesia-analgesia.org/content/106/1/58.long
で症例報告されています(free article)。ご存じの方も多いかもしれませんが。
この症例では肺がんに対して左下葉切除術。右用DLT(二腔気管支チューブ)をなんとか挿入(挿管困難だったのではじめは通常の気管チューブ→チューブエクスチェンジャー使用して右用DLTを挿入)し、右側臥位で手術開始。OLV開始後、低酸素や循環破綻なく、高気道内圧になった(ディスカッションでは数少ない報告全てが低酸素や循環破綻が初発症状)。
本報告の症例では右用DLTなので、右上葉換気孔の位置異常による高気道内圧や挿管に伴う気道損傷を疑ったようですが、Xpではしっかりと気胸になっていた、というもの。
本症例における診断治療の流れは・・・
高気道内圧→気管内吸引とファイバーでチューブ位置異常確認なし→高気道内圧持続→両肺換気に→皮下気腫ないけど頚静脈怒張あるぞ→Xp撮ったら緊張性気胸→その後すぐ閉胸して仰臥位にして再度Xpで気胸を確認→右胸腔ドレーン挿入→DLTを左用にチェンジ→ドレーンから持続的な排気なし→循環呼吸安定しているため再度体位をとって手術再開→オペ室で抜管。術後問題なくよかったよかった・・・。
分離肺換気中の低酸素血症はDLTの閉塞、位置異常、気管支痙攣等が鑑別に上がりますが、気胸も大事な鑑別診断の1つに挙げられますね。こんなシチュエーション、いつ何時にでも遭遇しかねない。
因みに麻酔中の気胸は・・・CVC挿入、腕神経叢ブロック、胸部硬膜外カテーテル挿入、手術に伴うもの、が多いようです。
@これまた因みに…分離肺換気の絶対的適応
1. 他肺からの感染性分泌物
・血液の流入阻止
・肺膿瘍・膿胸などの感染症
・大量出血(喀血)
2. 開放気道が存在する場合
・気管支瘻・気管支皮膚瘻
・手術が主要気道に及ぶ場合
・気管・気管支の損傷
3. 一側の肺胞洗浄
・肺胞蛋白症
上記以外は全て相対適応です。
と思って安直ですが、PubMedを引いてみる。
比較的最近には
Intraoperative contralateral tension pneumothorax during pneumonectomy. Anesth Analg. 2008 Jan;106(1):58-60.
http://www.anesthesia-analgesia.org/content/106/1/58.long
で症例報告されています(free article)。ご存じの方も多いかもしれませんが。
この症例では肺がんに対して左下葉切除術。右用DLT(二腔気管支チューブ)をなんとか挿入(挿管困難だったのではじめは通常の気管チューブ→チューブエクスチェンジャー使用して右用DLTを挿入)し、右側臥位で手術開始。OLV開始後、低酸素や循環破綻なく、高気道内圧になった(ディスカッションでは数少ない報告全てが低酸素や循環破綻が初発症状)。
本報告の症例では右用DLTなので、右上葉換気孔の位置異常による高気道内圧や挿管に伴う気道損傷を疑ったようですが、Xpではしっかりと気胸になっていた、というもの。
本症例における診断治療の流れは・・・
高気道内圧→気管内吸引とファイバーでチューブ位置異常確認なし→高気道内圧持続→両肺換気に→皮下気腫ないけど頚静脈怒張あるぞ→Xp撮ったら緊張性気胸→その後すぐ閉胸して仰臥位にして再度Xpで気胸を確認→右胸腔ドレーン挿入→DLTを左用にチェンジ→ドレーンから持続的な排気なし→循環呼吸安定しているため再度体位をとって手術再開→オペ室で抜管。術後問題なくよかったよかった・・・。
分離肺換気中の低酸素血症はDLTの閉塞、位置異常、気管支痙攣等が鑑別に上がりますが、気胸も大事な鑑別診断の1つに挙げられますね。こんなシチュエーション、いつ何時にでも遭遇しかねない。
因みに麻酔中の気胸は・・・CVC挿入、腕神経叢ブロック、胸部硬膜外カテーテル挿入、手術に伴うもの、が多いようです。
@これまた因みに…分離肺換気の絶対的適応
1. 他肺からの感染性分泌物
・血液の流入阻止
・肺膿瘍・膿胸などの感染症
・大量出血(喀血)
2. 開放気道が存在する場合
・気管支瘻・気管支皮膚瘻
・手術が主要気道に及ぶ場合
・気管・気管支の損傷
3. 一側の肺胞洗浄
・肺胞蛋白症
上記以外は全て相対適応です。
(麻) 麻酔科専門医認定試験口頭試験-2006年症例5- 3歳女児の気管支異物
症例
・3 歳女児。100 cm、15 kg。
・節分の豆まきのあと、突然の咳発作に陥り、救急外来を受診。
・気管支異物の疑いで気管支鏡が申し込まれた。
・2時間前に夕食を摂った。
質問
1)術前評価と管理
1. この患児の術前状態における問題点を列挙して下さい。
・full stomach
・豆(かどうかは必ずしもわからないが)による気道閉塞による低酸素の可能性。慢性咳嗽、肺気腫、無気肺、肺炎の原因に。
・嵌頓異物がチェックバルブとなり陽圧換気により肺の過膨張をきたす可能性もある。
2)麻酔法および術中管理
1. フルストマック対策としてどのような処置をしますか?
・夕食後6時間待てるか主治医と相談
・ファモチジン1mg/kg等の前投与
・入室前に静脈路を確保し、rapid sequence induction
・もしくは異物が移動して換気不可能になる可能性もあるため、緩徐導入で麻酔深度が十分になった段階で輪状軟骨圧迫、補助換気が可能なことを確かめてから筋弛緩薬を投与する方が安全な可能性あり
2. 喉頭鏡の種類・サイズ、チューブのサイズはどのようなものを選びますか?
・喉頭鏡:Macintosh 2かMiller 2
・チューブ:4.5か5.0 カフなし
3. 術中の麻酔法はどのようにしますか?
・純酸素、セボフルラン2.5%程度。人工呼吸管理。適宜フェンタニル1ug/kgを静注する。
・手技は硬性気管支鏡もしくは軟性気管支鏡からの鉗子による摘出。断続的に呼吸を止める必要があるので、吸入麻酔薬の濃度低下による術中覚醒と、低酸素血症に注意する。換気中断時に低酸素にならないように純酸素で換気する方がよいと考える。
・豆が気管チューブを通らなければ、ファイバー観察下に気管チューブごと抜去して再挿管することもある。上気道の浮腫が強くなければ、であろうが。
・摘出後に生食で気管内洗浄を十分に。
・異物摘出後は喉頭気道浮腫予防にデキサメサゾン0.2mg/kg投与
3)周術期危機管理
1. 術中低酸素血症の鑑別診断と治療について述べて下さい。
・手術操作による換気中断や低換気
・豆による気管閉塞・無気肺
・喘息発作
・アナフィラキシー
4)術後管理
1. 抜管直後から、吸気時にヒューヒュー音が聴取された。鑑別診断は何か。その治療は何か。
・上気道狭窄によるなので、
・咽頭・喉頭浮腫、喉頭蓋腫脹、喉頭痙攣、
・舌根沈下、扁桃肥大によるもの
などが考えられる。
いずれの場合も100%酸素をマスクで投与、自発呼吸があるようならば、愛護的に、上気道が開通するように顔の向きを修正し下顎挙上を行う。喉頭痙攣を疑うならばマスクを完全にフィットさせLaryngospasm notchを圧迫するように強く下顎挙上、持続PEEPで解除させるのを待つ。低酸素・徐脈になる前にアトロピンとSCCを手元に準備してもらい、再挿管を考慮する。いずれにせよ術操作に伴う気道浮腫増悪の可能性があるため、術直後抜管の判断は慎重に行ったほうがよい。夜間の緊急手術であれば、日中まで鎮静・人工呼吸管理とすることも考慮する。術後の肺炎の発生にも注意が必要である。
@参考にした文献など。大変勉強になりました。
・臨床小児麻酔ハンドブック改訂第2版.2008年.診断と治療社 p182-3
・日臨麻会誌 Vol. 29: 65-68, (2009) .
・気道異物35症例の周術期管理麻酔. 56巻9号 Page1065-1070(2007.09)
・近畿大学医学雑誌30巻1号 Page7-10(2005.06)
・気道異物症例の周術期管理. 日臨麻会誌 Vol. 31: 946-951, (2011) .(2012年3月10日追加)
・3 歳女児。100 cm、15 kg。
・節分の豆まきのあと、突然の咳発作に陥り、救急外来を受診。
・気管支異物の疑いで気管支鏡が申し込まれた。
・2時間前に夕食を摂った。
質問
1)術前評価と管理
1. この患児の術前状態における問題点を列挙して下さい。
・full stomach
・豆(かどうかは必ずしもわからないが)による気道閉塞による低酸素の可能性。慢性咳嗽、肺気腫、無気肺、肺炎の原因に。
・嵌頓異物がチェックバルブとなり陽圧換気により肺の過膨張をきたす可能性もある。
2)麻酔法および術中管理
1. フルストマック対策としてどのような処置をしますか?
・夕食後6時間待てるか主治医と相談
・ファモチジン1mg/kg等の前投与
・入室前に静脈路を確保し、rapid sequence induction
・もしくは異物が移動して換気不可能になる可能性もあるため、緩徐導入で麻酔深度が十分になった段階で輪状軟骨圧迫、補助換気が可能なことを確かめてから筋弛緩薬を投与する方が安全な可能性あり
2. 喉頭鏡の種類・サイズ、チューブのサイズはどのようなものを選びますか?
・喉頭鏡:Macintosh 2かMiller 2
・チューブ:4.5か5.0 カフなし
3. 術中の麻酔法はどのようにしますか?
・純酸素、セボフルラン2.5%程度。人工呼吸管理。適宜フェンタニル1ug/kgを静注する。
・手技は硬性気管支鏡もしくは軟性気管支鏡からの鉗子による摘出。断続的に呼吸を止める必要があるので、吸入麻酔薬の濃度低下による術中覚醒と、低酸素血症に注意する。換気中断時に低酸素にならないように純酸素で換気する方がよいと考える。
・豆が気管チューブを通らなければ、ファイバー観察下に気管チューブごと抜去して再挿管することもある。上気道の浮腫が強くなければ、であろうが。
・摘出後に生食で気管内洗浄を十分に。
・異物摘出後は喉頭気道浮腫予防にデキサメサゾン0.2mg/kg投与
3)周術期危機管理
1. 術中低酸素血症の鑑別診断と治療について述べて下さい。
・手術操作による換気中断や低換気
・豆による気管閉塞・無気肺
・喘息発作
・アナフィラキシー
4)術後管理
1. 抜管直後から、吸気時にヒューヒュー音が聴取された。鑑別診断は何か。その治療は何か。
・上気道狭窄によるなので、
・咽頭・喉頭浮腫、喉頭蓋腫脹、喉頭痙攣、
・舌根沈下、扁桃肥大によるもの
などが考えられる。
いずれの場合も100%酸素をマスクで投与、自発呼吸があるようならば、愛護的に、上気道が開通するように顔の向きを修正し下顎挙上を行う。喉頭痙攣を疑うならばマスクを完全にフィットさせLaryngospasm notchを圧迫するように強く下顎挙上、持続PEEPで解除させるのを待つ。低酸素・徐脈になる前にアトロピンとSCCを手元に準備してもらい、再挿管を考慮する。いずれにせよ術操作に伴う気道浮腫増悪の可能性があるため、術直後抜管の判断は慎重に行ったほうがよい。夜間の緊急手術であれば、日中まで鎮静・人工呼吸管理とすることも考慮する。術後の肺炎の発生にも注意が必要である。
@参考にした文献など。大変勉強になりました。
・臨床小児麻酔ハンドブック改訂第2版.2008年.診断と治療社 p182-3
・日臨麻会誌 Vol. 29: 65-68, (2009) .
・気道異物35症例の周術期管理麻酔. 56巻9号 Page1065-1070(2007.09)
・近畿大学医学雑誌30巻1号 Page7-10(2005.06)
・気道異物症例の周術期管理. 日臨麻会誌 Vol. 31: 946-951, (2011) .(2012年3月10日追加)
2011年9月22日木曜日
(雑) 試験勉強がつまらないと感じる理由
齢30を過ぎても試験勉強真っ只なわけですが、10年以上前の大学受験時よりも遥かにもの覚えが悪くなっており、7年前の医師国家試験時よりも遥かに記憶力も減退しているわけです。当時はその偉大さに全く気づかなかったのですが、今さらながら「30歳、40歳を過ぎても医学部受験」をして、しかも合格した方々に、今更ながら本当に、心の底から敬意を表したいと思います。
おそらく試験勉強が好きな人は、そしておそらく私も世の中の平均的な人よりは試験勉強が好きな筈ですが(そうでなければ医学部受験なんてしていません、おそらく)、ご飯を食べたり大便小便を排泄したり、居眠りしたり歯磨きしたりセックスしたりするかの如く、何の苦もなく「え、なんでやらないの?」と、勉強嫌いな人たちに真顔で、一点の曇りもなく尋ねてしまうのだと思いますが、私はそこまでストイックにできないのです。
だから、凡人たる私は「麻酔科専門医認定試験」というものに、何らかの理由をつけなければならないのです。
・日本国内で、取り敢えず、何処に行ったとしても「あ、専門医はもってんだ、じゃぁまぁそれなりにはできるよね、研修医よりはできるよね」と思われる手形になる
・上記の為に、ある程度安定した所得が期待できる
・「こんなの覚えて意味あるのかよ」という知識を、強制的にでも一度体内に取り入れることで、麻酔科学の片鱗を通じて、偉大な麻酔科医たる先人たちに思いを馳せることができる
・上記の為に、今後麻酔科学的な疑問をもったときに、その分野のこれまでの歴史、バックグランドのほんの少しだけ片鱗を取り入れておくことができ、自分の研究欲求の礎になる可能性がある
・何より恐らく目の前の患者さんの安全性向上に寄与することができる。
とか何とか思ったりもしますが、取り敢えず津波と台風15号で二重に苦しんでいる被災地の方々を思うにつけ、勉強できることの幸せさを噛みしめたいと思います。安直ですが。
おそらく試験勉強が好きな人は、そしておそらく私も世の中の平均的な人よりは試験勉強が好きな筈ですが(そうでなければ医学部受験なんてしていません、おそらく)、ご飯を食べたり大便小便を排泄したり、居眠りしたり歯磨きしたりセックスしたりするかの如く、何の苦もなく「え、なんでやらないの?」と、勉強嫌いな人たちに真顔で、一点の曇りもなく尋ねてしまうのだと思いますが、私はそこまでストイックにできないのです。
だから、凡人たる私は「麻酔科専門医認定試験」というものに、何らかの理由をつけなければならないのです。
・日本国内で、取り敢えず、何処に行ったとしても「あ、専門医はもってんだ、じゃぁまぁそれなりにはできるよね、研修医よりはできるよね」と思われる手形になる
・上記の為に、ある程度安定した所得が期待できる
・「こんなの覚えて意味あるのかよ」という知識を、強制的にでも一度体内に取り入れることで、麻酔科学の片鱗を通じて、偉大な麻酔科医たる先人たちに思いを馳せることができる
・上記の為に、今後麻酔科学的な疑問をもったときに、その分野のこれまでの歴史、バックグランドのほんの少しだけ片鱗を取り入れておくことができ、自分の研究欲求の礎になる可能性がある
・何より恐らく目の前の患者さんの安全性向上に寄与することができる。
とか何とか思ったりもしますが、取り敢えず津波と台風15号で二重に苦しんでいる被災地の方々を思うにつけ、勉強できることの幸せさを噛みしめたいと思います。安直ですが。
2011年9月21日水曜日
(麻) 雑多な知識編 - 麻酔科専門医筆記試験対策メモ
***本番で間違えそうなところ***
@GCS score
E 4点:自発的に、または普通の呼びかけで開眼
3点:強く呼びかけると開眼
2点:痛み刺激で開眼
1点:開眼しない
V 5点:見当識が保たれている
4点:会話は成立するが見当識障害
3点:発語はあるが会話は成立しない
2点:理解出来ない発声
1点:発語なし
M 6点:指示に従う
5点:痛み刺激に対して手で払いのける(合目的的な運動)
4点:痛み刺激に対して四肢を引っ込める
3点:異常屈曲(除皮質硬直)
2点:伸展反応(除脳硬直)
1点:なし
@Hugh-Jones classificationのIIからIV度
II度:坂道や階段で健康人並みに歩けない。平地は普通。
III度:平地も普通に歩けない。でも自分のペースでなら1.6km以上は歩ける
IV度:休みながらでないと50mも歩けない(一気に重症感が漂います)
@Mallampati分類のIIとIIIとIV。
class II:前・後口蓋弓が見えなくなる
class III:口峡が見えなくなる、口蓋垂は基部しか見えなくなる
class IV:軟口蓋すら見えなくなる
@心臓生理:圧量ループ、どこで僧帽弁、大動脈弁が開閉するか
@RASS:+4~-5まで10段階評価
@Ramsay score
女性は上の式に0.85をかける
例:
68歳60kg男性のCr値が1.0mg/dlで60ml/minに、
80歳72kg男性のCr値が1.0mg/dlで60ml/minに 、
104歳60kg男性のCr値が1.0mg/dlで30ml/minになる
***以下雑駁な知識***
@凝固など
・ACT(基準値:107±13秒)に影響与えるもの…低体温、血液希釈、アプロチニン、高度の血小板減少、低フィブリノーゲン血症 *低Ca血症は影響しない
@腹腔鏡
・ガス塞栓の致死量は空気の5倍
・ガス塞栓が疑われたら、Durant体位(頭低位、左側臥位)に
・腹腔鏡と開腹胆摘では内分泌反応に有意差なし
@ミクロショックとマクロショック
・ヒトの最小感知電流は1mA
・入力フローティング回路
・外部から意図しない電圧が加わっても、患者にマクロショックやミクロショックを生じさせる危険な電流が流れ込まないように分離させる回路
・CF型(侵襲型)機器では、BF型(非侵襲型)機器より高い程度の保護機能を備えており、ミクロショックの予防に役立つ。
・CF型ME機器の患者漏れ電流は許容値として10μAに設定されている
「ミクロショック」
・体内での漏洩電流によって発生する微小電圧や微小電流が、「皮膚を通さずに」、直接心臓に作用し、更に皮膚から体外へ逃げる場合の電気ショック。
・原因:内視鏡や透析機器、圧トランスデューサ、CVCなど
・35-50μAの電流でもVFを起こしうる
・人体での安全限界最大許容電流は10μA
「マクロショック」
・電流が「皮膚を通して」生体に流れ込み、もう一方の皮膚に抜け、一部が心筋に流れて心調律に障害を及ぼす電気ショック。
・交流50-60Hzでは100mA(0.1A)以上でVFを生じうる(100-2500mAで呼吸中枢は正常。6000mA<で呼吸停止、電流密度100mA/cm2で熱傷) 47A92
・電流が10-15mAに達すると筋肉の痙攣生じ、随意運動困難に。(離脱限界電流 49A79)
@感染
・A型肝炎は針刺しでは感染しない
・HBVは37%、HCVは2%、HIVは0.3%
・HBV針刺し事故:受傷者のHBs抗原・抗体が陰性ならば抗HBsヒト免疫グロブリン製剤投与。
・HIV汚染の針刺し事故では受傷部の十分な洗浄後、1-2時間以内に予防薬内服(ジドブジン、ラミブジン、ネルフィナビル)を開始
@消毒
・0.5%クロルヘキシジン含有消毒アルコールは眼毒性や聴毒性があるため、顔面の消毒に使わない
・経食エコープローブ:グルタラールやフタラールが第1選択
・床上のウイルス汚染血液:0.5-1%次亜塩素酸ナトリウムやアルコールで拭きとる
・ポピドンヨード:正常皮膚や粘膜はOKだが、胸腔内腹腔内、膀胱内関節内は用いない
・結核菌に対して効くもの、効かないもの
◯グルタラール、消毒用エタノール、ポピドンヨード、フェノール、クレゾール
×塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン(49A91)
・HIVに有効なのは:グラタラール、次亜塩素酸Na、ホルムアルデヒド、消毒用エタノール
・真菌に有効なのは:グルタラール、次亜塩素酸Na、ポピドンヨード
@BLS,ACLS
・心拍再開後の換気補助は10-12回/min。気管挿管されていて2人の救助者なら胸骨圧迫と非同期に8-10回/minの換気でよい
・換気量は500-600ml/回程度
・人工呼吸は1秒かけて。
・胸骨圧迫は胸骨の下半分、4-5cm沈むように。
・デューティサイクル(胸骨圧迫・解除の1サイクル中の圧迫時間)は50%。胸骨圧迫が130-150/minだと冠灌流や脳灌流は増加
・胸骨圧迫の中断を10秒以上してはダメ
・小児の除細動は初回2J/kg(単相性・または2相性)、2回目以降は4J/kg (10kgなら40J)
・・・以上は過去問から。
guideline2010ではC→A→B。
・「呼吸がないか、もしくは正常な呼吸ではないか」を確認する。しかも確認は目視のみで、「見て聞いて感じて」の確認は不要。気道確保も行わない。
・呼びかけ刺激に反応なく、呼吸がないor正常な呼吸でない → 脈拍触知(プロバイダのみ)。
・10秒以内に脈が触れなかったら胸骨圧迫30回(5cm以上、100回/min以上)と人工呼吸2回
・PEAとAsystoleにルーチンなアトロピン使用はなくなった
このあたりは実技試験でやるってことで、筆記試験には出ないかな・・・。
@腰部交感神経節ブロックの合併症
・陰部大腿神経炎、腰部神経根損傷
・臓器穿刺(腎・尿管穿刺)
・血管穿刺(腰動静脈、根動脈)
・射精障害(両側のL1ブロックで生じる)
・椎間板炎
@腹腔神経叢ブロック
・刺入部位:第一腰椎棘突起中央から外側6-7cm離れた点、
・局麻で疼痛軽減得られたら神経破壊薬(50-99.5% エタノール15-20ml or 6-10%フェノール水10ml )
・腹腔神経節はT5-T12。 49B5
@内臓神経ブロック
・大内臓神経はT5-T9の胸部交感神経節から生じる。
・ブロック針は横隔膜後脚の背側を狙う位置から
・造影剤は横隔膜脚後方で椎体の前外側面を上下に広がる
・腹部内臓癌の痛みに適応。術後痛ではない。
@ドラッグチャレンジテスト 46C31
・フェントラミン、レセルピン:交感神経性
・バルビツレート:中枢性、心因性
・モルヒネ:侵害受容性
・リドカイン:異所性興奮
・ケタミン:神経因性
@三叉神経痛
・頻度:II>III>II+III>I
・三叉神経領域の知覚障害はない、あっても軽度
・日常活動で疼痛誘発。入浴中に誘発されやすい、ということはない。
・以下の随伴症状はない:顔面紅潮、鼻閉、流涙
・肩こりは随伴しうる
・カルバマゼピンが有効
@再膨張性肺水腫
・虚脱期間が3日以上だと発生頻度が高い
・通常片側発症
・64%で再膨張から1時間以内、残りは24時間以内(多くは3-5時間以内)に発症
・気道内肺水腫液細胞分画では好中球が優位。
・死亡率20%
@神経障害
・DM自律神経障害では発汗低下、安静時頻脈(副交感神経が交感神経より先に障害される)
・虚血性視神経障害は開心術、頭頚部手術、脊椎手術で多い。男性に多い。
・末梢神経障害ベスト3
1. 尺骨神経 2. 腕神経叢 3. 腰仙部神経根
・尺骨神経は術後3日~発症が多い。男が多い(3:1)。心臓手術後で胸骨牽引を受けた人で頻度高い。極度の肥満やるい痩者に多い。因みに解剖学的良肢位にしても尺骨神経障害の頻度が減るエビデンスはない、らしい。
・虚血30分以上で神経麻痺が生じうる。
@統計
・標準誤差=標準偏差/√n= √{Σ(Xi-Xの平均)^2} / N
・感度:病気(+)の人のうち、検査も(+)の人の割合
・特異度:病気(-)の人のうち、検査も(-)の人の割合
・陽性的中率:検査(+)の人のうち、病気(+)の人の割合
・独立した20の検査を行うとき、すべての検査が基準値に入るのは0.95の20乗で=36%程度
・自由度を定義に含む統計分布:F分布、t分布、χ2分布
@その他
・CEAの時の脳神経モニタリングにMEPは使用しない。(MEPは主に脳幹や脊髄機能のモニタリングに使用→側弯症や胸腹部大動脈瘤の手術時に)
・高齢者の血中ノルアドレナリン濃度は若年者より高い。
・ノルアドレナリンは交感神経終末でATPと結合している。49A29
・副腎髄質は交感神経節の一部が変化したもの。交感神経節前線維のAChの刺激で反応。アドレナリン分泌↑
・敗血症ではストレスホルモン(コルチゾン、アドレナリン、グルカゴン)↑、甲状腺ホルモン(トリヨードサイロニン)↓
・敗血症におけるインスリン抵抗性は、受容体の感受性低下ではなく、細胞内グルコース代謝異常によるものとされる
・wide QRSの多形性心室頻拍→循環が比較的安定していればアミオダロン静注→同期化カルディオバージョン
・グラム染色陽性-紫色、グラム染色陰性-紅
・IABPのバルーンはヘリウムガス
・カルボキシヘモグロビンの半減期は3-4時間。禁煙後8時間で動脈血中酸素含有量↑
・禁煙後、明らかな術後合併症低下は4週間以降
・クリーンルームの清浄度は単位体積あたりの塵埃数と細菌数で示される。
NASA基準のクラス100:層流型無菌手術室
クラス10000:通常手術室
・脳性塩分喪失症候群の治療に用いる輸液は生理的食塩水 (低Na血症と、脱水、尿中Na排泄増加、が病態)
・旅客機の気圧は0.75気圧(この気圧で吸入酸素分圧は118mmHg程度に)以上。高度は8000ft(2438mt)以上にならないよう規定されている。10000ft(3048m)を超えると緊急用酸素系統が自動的に作動。
・地上100kmまでの大気組成はほぼ一定。
・除皮質硬直、除脳硬直も脳死ではみられない 47B42
肺高血圧症の心電図:右軸偏位、IIとIIIの高いR波、ST低下、T波逆転、V1で高いR波
@GCS score
E 4点:自発的に、または普通の呼びかけで開眼
3点:強く呼びかけると開眼
2点:痛み刺激で開眼
1点:開眼しない
V 5点:見当識が保たれている
4点:会話は成立するが見当識障害
3点:発語はあるが会話は成立しない
2点:理解出来ない発声
1点:発語なし
M 6点:指示に従う
5点:痛み刺激に対して手で払いのける(合目的的な運動)
4点:痛み刺激に対して四肢を引っ込める
3点:異常屈曲(除皮質硬直)
2点:伸展反応(除脳硬直)
1点:なし
@Hugh-Jones classificationのIIからIV度
II度:坂道や階段で健康人並みに歩けない。平地は普通。
III度:平地も普通に歩けない。でも自分のペースでなら1.6km以上は歩ける
IV度:休みながらでないと50mも歩けない(一気に重症感が漂います)
@Mallampati分類のIIとIIIとIV。
class II:前・後口蓋弓が見えなくなる
class III:口峡が見えなくなる、口蓋垂は基部しか見えなくなる
class IV:軟口蓋すら見えなくなる
@心臓生理:圧量ループ、どこで僧帽弁、大動脈弁が開閉するか
@RASS:+4~-5まで10段階評価
@Ramsay score
| 1:不安が強い、興奮している、またはそわそわして落ち着きがない 2:目覚めており、診療に協力的、落ち着きがある 3:一応目覚めているが、指示に対してのみ応答する程度である 4:眠っているが、刺激に対してすばやく反応 5:眠っており、刺激に対してゆっくり反応 6:眠っていて無反応 @急性尿細管壊死と腎前性高窒素血症の鑑別 @クレアチニンクリアランス、Cockcroft-GaultのCcr計算式 男性:Ccr(ml/min) = [(140-年齢)×体重(kg)]/[72×血清Cr値(mg/dL)] |
例:
68歳60kg男性のCr値が1.0mg/dlで60ml/minに、
80歳72kg男性のCr値が1.0mg/dlで60ml/minに 、
104歳60kg男性のCr値が1.0mg/dlで30ml/minになる
***以下雑駁な知識***
@凝固など
・ACT(基準値:107±13秒)に影響与えるもの…低体温、血液希釈、アプロチニン、高度の血小板減少、低フィブリノーゲン血症 *低Ca血症は影響しない
@腹腔鏡
・ガス塞栓の致死量は空気の5倍
・ガス塞栓が疑われたら、Durant体位(頭低位、左側臥位)に
・腹腔鏡と開腹胆摘では内分泌反応に有意差なし
@ミクロショックとマクロショック
・ヒトの最小感知電流は1mA
・入力フローティング回路
・外部から意図しない電圧が加わっても、患者にマクロショックやミクロショックを生じさせる危険な電流が流れ込まないように分離させる回路
・CF型(侵襲型)機器では、BF型(非侵襲型)機器より高い程度の保護機能を備えており、ミクロショックの予防に役立つ。
・CF型ME機器の患者漏れ電流は許容値として10μAに設定されている
「ミクロショック」
・体内での漏洩電流によって発生する微小電圧や微小電流が、「皮膚を通さずに」、直接心臓に作用し、更に皮膚から体外へ逃げる場合の電気ショック。
・原因:内視鏡や透析機器、圧トランスデューサ、CVCなど
・35-50μAの電流でもVFを起こしうる
・人体での安全限界最大許容電流は10μA
「マクロショック」
・電流が「皮膚を通して」生体に流れ込み、もう一方の皮膚に抜け、一部が心筋に流れて心調律に障害を及ぼす電気ショック。
・交流50-60Hzでは100mA(0.1A)以上でVFを生じうる(100-2500mAで呼吸中枢は正常。6000mA<で呼吸停止、電流密度100mA/cm2で熱傷) 47A92
・電流が10-15mAに達すると筋肉の痙攣生じ、随意運動困難に。(離脱限界電流 49A79)
@感染
・A型肝炎は針刺しでは感染しない
・HBVは37%、HCVは2%、HIVは0.3%
・HBV針刺し事故:受傷者のHBs抗原・抗体が陰性ならば抗HBsヒト免疫グロブリン製剤投与。
・HIV汚染の針刺し事故では受傷部の十分な洗浄後、1-2時間以内に予防薬内服(ジドブジン、ラミブジン、ネルフィナビル)を開始
@消毒
・0.5%クロルヘキシジン含有消毒アルコールは眼毒性や聴毒性があるため、顔面の消毒に使わない
・経食エコープローブ:グルタラールやフタラールが第1選択
・床上のウイルス汚染血液:0.5-1%次亜塩素酸ナトリウムやアルコールで拭きとる
・ポピドンヨード:正常皮膚や粘膜はOKだが、胸腔内腹腔内、膀胱内関節内は用いない
・結核菌に対して効くもの、効かないもの
◯グルタラール、消毒用エタノール、ポピドンヨード、フェノール、クレゾール
×塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン(49A91)
・HIVに有効なのは:グラタラール、次亜塩素酸Na、ホルムアルデヒド、消毒用エタノール
・真菌に有効なのは:グルタラール、次亜塩素酸Na、ポピドンヨード
@BLS,ACLS
・心拍再開後の換気補助は10-12回/min。気管挿管されていて2人の救助者なら胸骨圧迫と非同期に8-10回/minの換気でよい
・換気量は500-600ml/回程度
・人工呼吸は1秒かけて。
・胸骨圧迫は胸骨の下半分、4-5cm沈むように。
・デューティサイクル(胸骨圧迫・解除の1サイクル中の圧迫時間)は50%。胸骨圧迫が130-150/minだと冠灌流や脳灌流は増加
・胸骨圧迫の中断を10秒以上してはダメ
・小児の除細動は初回2J/kg(単相性・または2相性)、2回目以降は4J/kg (10kgなら40J)
・・・以上は過去問から。
guideline2010ではC→A→B。
・「呼吸がないか、もしくは正常な呼吸ではないか」を確認する。しかも確認は目視のみで、「見て聞いて感じて」の確認は不要。気道確保も行わない。
・呼びかけ刺激に反応なく、呼吸がないor正常な呼吸でない → 脈拍触知(プロバイダのみ)。
・10秒以内に脈が触れなかったら胸骨圧迫30回(5cm以上、100回/min以上)と人工呼吸2回
・PEAとAsystoleにルーチンなアトロピン使用はなくなった
このあたりは実技試験でやるってことで、筆記試験には出ないかな・・・。
@腰部交感神経節ブロックの合併症
・陰部大腿神経炎、腰部神経根損傷
・臓器穿刺(腎・尿管穿刺)
・血管穿刺(腰動静脈、根動脈)
・射精障害(両側のL1ブロックで生じる)
・椎間板炎
@腹腔神経叢ブロック
・刺入部位:第一腰椎棘突起中央から外側6-7cm離れた点、
・局麻で疼痛軽減得られたら神経破壊薬(50-99.5% エタノール15-20ml or 6-10%フェノール水10ml )
・腹腔神経節はT5-T12。 49B5
@内臓神経ブロック
・大内臓神経はT5-T9の胸部交感神経節から生じる。
・ブロック針は横隔膜後脚の背側を狙う位置から
・造影剤は横隔膜脚後方で椎体の前外側面を上下に広がる
・腹部内臓癌の痛みに適応。術後痛ではない。
@ドラッグチャレンジテスト 46C31
・フェントラミン、レセルピン:交感神経性
・バルビツレート:中枢性、心因性
・モルヒネ:侵害受容性
・リドカイン:異所性興奮
・ケタミン:神経因性
@三叉神経痛
・頻度:II>III>II+III>I
・三叉神経領域の知覚障害はない、あっても軽度
・日常活動で疼痛誘発。入浴中に誘発されやすい、ということはない。
・以下の随伴症状はない:顔面紅潮、鼻閉、流涙
・肩こりは随伴しうる
・カルバマゼピンが有効
@再膨張性肺水腫
・虚脱期間が3日以上だと発生頻度が高い
・通常片側発症
・64%で再膨張から1時間以内、残りは24時間以内(多くは3-5時間以内)に発症
・気道内肺水腫液細胞分画では好中球が優位。
・死亡率20%
@神経障害
・DM自律神経障害では発汗低下、安静時頻脈(副交感神経が交感神経より先に障害される)
・虚血性視神経障害は開心術、頭頚部手術、脊椎手術で多い。男性に多い。
・末梢神経障害ベスト3
1. 尺骨神経 2. 腕神経叢 3. 腰仙部神経根
・尺骨神経は術後3日~発症が多い。男が多い(3:1)。心臓手術後で胸骨牽引を受けた人で頻度高い。極度の肥満やるい痩者に多い。因みに解剖学的良肢位にしても尺骨神経障害の頻度が減るエビデンスはない、らしい。
・虚血30分以上で神経麻痺が生じうる。
@統計
・標準誤差=標準偏差/√n= √{Σ(Xi-Xの平均)^2} / N
・感度:病気(+)の人のうち、検査も(+)の人の割合
・特異度:病気(-)の人のうち、検査も(-)の人の割合
・陽性的中率:検査(+)の人のうち、病気(+)の人の割合
・独立した20の検査を行うとき、すべての検査が基準値に入るのは0.95の20乗で=36%程度
・自由度を定義に含む統計分布:F分布、t分布、χ2分布
@その他
・CEAの時の脳神経モニタリングにMEPは使用しない。(MEPは主に脳幹や脊髄機能のモニタリングに使用→側弯症や胸腹部大動脈瘤の手術時に)
・高齢者の血中ノルアドレナリン濃度は若年者より高い。
・ノルアドレナリンは交感神経終末でATPと結合している。49A29
・副腎髄質は交感神経節の一部が変化したもの。交感神経節前線維のAChの刺激で反応。アドレナリン分泌↑
・敗血症ではストレスホルモン(コルチゾン、アドレナリン、グルカゴン)↑、甲状腺ホルモン(トリヨードサイロニン)↓
・敗血症におけるインスリン抵抗性は、受容体の感受性低下ではなく、細胞内グルコース代謝異常によるものとされる
・wide QRSの多形性心室頻拍→循環が比較的安定していればアミオダロン静注→同期化カルディオバージョン
・グラム染色陽性-紫色、グラム染色陰性-紅
・IABPのバルーンはヘリウムガス
・カルボキシヘモグロビンの半減期は3-4時間。禁煙後8時間で動脈血中酸素含有量↑
・禁煙後、明らかな術後合併症低下は4週間以降
・クリーンルームの清浄度は単位体積あたりの塵埃数と細菌数で示される。
NASA基準のクラス100:層流型無菌手術室
クラス10000:通常手術室
・脳性塩分喪失症候群の治療に用いる輸液は生理的食塩水 (低Na血症と、脱水、尿中Na排泄増加、が病態)
・旅客機の気圧は0.75気圧(この気圧で吸入酸素分圧は118mmHg程度に)以上。高度は8000ft(2438mt)以上にならないよう規定されている。10000ft(3048m)を超えると緊急用酸素系統が自動的に作動。
・地上100kmまでの大気組成はほぼ一定。
・除皮質硬直、除脳硬直も脳死ではみられない 47B42
肺高血圧症の心電図:右軸偏位、IIとIIIの高いR波、ST低下、T波逆転、V1で高いR波
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