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2015年10月13日火曜日

(麻) 「ビジュアル麻酔の手引」発売されました

「The Anesthesia Guide」の翻訳本が発売されました。
「ビジュアル麻酔の手引」というタイトルになっています。


シンプルな装丁です。
幾つかの章で、私も翻訳を分担させていただきました。

臨床麻酔の広い範囲をカバーする本になっています。
手にとっていただければ幸いです。

2013年11月20日水曜日

(旅) 秋の小トリップ其の六 (東京都八王子市) 〜 マーラーの第9番と高尾山の紅葉とICUブックと

いつの間にか11月も3分の2が終了です。クリスマスらしい雰囲気を、街のあちこちで感じられるようになってきました。


既に相当昔のことのように感じられますが、アレクサンドル・ラザレフ指揮、日本フィルハーモニー交響楽団による以下の楽曲の演奏を体験しました。

・チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲(Vc:横坂源)
・マーラー:交響曲第9番ニ長調

金聖響氏、玉木正之氏による「マーラーの交響曲」(講談社現代新書)でこのような文字に出会えば、期待が高まらないはずがありません。


「これは永遠という別の世界からやって来た作品」といったのは、指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤンで、音楽教育者や音楽解説者としても有名なバーンスタインとは対照的に、あまり言葉を駆使しない彼も、この作品だけは珍しく凝った表現で評価しています。p280

あの、最終楽章の、最期の「音」。途切れ途切れになって、死に絶えるような消え方、そして消えたように感じられた後も60秒近くタクトを持った手を下ろさなかったラザレフ氏。

その音を体験した後、暫くの間、歩くことがようやく可能な程度に、放心状態になりました。

***

ということで、香川県の大窪寺、小豆島の寒霞渓についで、高尾山の紅葉を狩りに行く機会に恵まれましたので、記録しておきます。


新宿から京王新線に乗って「高尾山口」まで50分程度…で高尾山の麓に到達できました。もっと遠いと思っていたのですが、あっという間です。ここ最近、麻酔の仕事でお世話になっているどの病院よりも近くに、高尾山はありました。
それだけ近くにある山ですから、当然のように沢山のひとひとひとです。ケーブルカーに乗れば、山頂の手前40分ほど(徒歩でおよそかかる時間です)の場所まで6分で連れて行っていただけるのですが、ケーブルカー乗車まで60分以上待ちます、と言われては、待っていられません。自分の2本の足で歩いて登った方が早かったのです。

以下、撮影した順番に並べておいておくことにします。









これは山頂から、西の方角の山々を撮影したものです。正午くらいだと大気が霞んで、しかも逆光になってしまい、遠くの方まで見えませんでした。条件が良いと富士山がくっきり見えるらいいのですが。


これはリンドウ…でいいと思うのですが。もし間違っていたら教えて下さい。




これは北原白秋の歌碑です。

我が精進 こもる高尾は 夏雲の 下谷(したたに)うずみ 波となづさふ

と詠んだものです。



下山したのは14時ころでしたが、その後もあちこち歩き続けていたら、この日の歩数は珍しく20000歩を超えました。

***

 そういえば注文していたICUブック第4版が先日届きました。私は第2版からICUブックを読み始めましたが、今回はじめて原著を購入しました。iPhoneやiPadで読めるe-Bookつきバージョンです。10000円くらいで買えますし、英語は平易ですので、翻訳を待っている時間があれば原著で買うことをおすすめいたします。


p217からp237まで、crystalloidかcolloidか、という章があります。
p234では、このようにまとめられています。簡単に日本語に意訳しますと

1.  normal saline (0.9% NaCl)はノーマルではなく、代謝性アシドーシスの原因になる。
2. 等張の晶質液は血漿容量より間質容量を増加させるし、大量投与によって厄介な浮腫が引き起こる。
3. 血漿容量を増加させるという点では、膠質液は晶質液より優れている。
4. 生命の危機的状況にある患者(severe sepsisやseptic shock状態など)では、高張膠質液(ハイドロキシエチルスターチ)の使用により腎傷害の危険性が高まる。ただし、腎傷害は、より軽傷な患者(術後の患者など)では通常見られない。
5. 「膠質液か晶質液か」論争は不毛である、なぜなら、単剤でどんな循環血液量減少患者も蘇生できるような魔法のような輸液製剤はない。

無難といえば無難なまとめですが、手術室で麻酔を担当する麻酔科医としては、誰にでも通用する術中輸液のレシピなんかない、ということだけ思い出せればいい気がします。
個人的には○○ml/kg/hという輸液法はとうの昔にやめてますし、ヘスなどの膠質液にも以前ほど有用性を見いだせなくなっています。
それは今そんな気分だから、と言ってしまえばそれで終わりなのですが、「この状態ならこれ!」みたいなことを、おいそれと口にできなくなるくらいに麻酔科医として成長したのではないか、と思い込むことにしています。成長の伸びしろはまだまだあるでしょうし、麻酔科医を辞めるその瞬間まで、毎日毎日なにか新しいことを学ぶでしょう。この第4版は、そんなことに改めて思いを馳せることを可能にしてくれた1冊でした。

2013年5月27日月曜日

(麻) Clinical Anesthesia 7th edition (Paul Barash, et al. LWW, 2013年)

学会会場でいろんな新刊が並べられていたので、色々買おうとも思ったのですが、ぱらぱらめくって面白そうだったこれを購入しました。会場で買わずに、結局、Amazonで注文しました。私はamzon studentに登録しているので(大学院生なので可能なのです)、10%のポイント還元されるのです。2600ポイントも還元されたので、他の本を買おうと思います。

注文したら、昨日の夜、早速届きました。今年改訂された版です。

Clinical Anesthesia, 7e: Print + Ebook with Multimedia

他にもどなたか注文されたのか、今日現在、品切れになってますが・・・。

 
最新の知識も大事ですが、成書になっている知識も大事です。何が書いてあるのか楽しみにしつつ、ちょっとずつ読んでいこうと思います。それにしても分厚い。

2013年4月24日水曜日

(本) 麻酔マニュアル本ですが、濃厚な出来です- The Anesthesia Guide (2013年,米)

久しぶりに麻酔科医的な本の紹介です。

先日H先生に教えてもらい、ぱらぱら捲ってみると、カラフルなイラストや写真がたくさん掲載されており、衝動買いしたくなる本でした。
GlidescopeやAirtraqでの挿管、超音波ガイド下末梢神経ブロックの項目も網羅しています。勿論基本的な呼吸機能や心電図、カプノグラム、術前合併症についての記載も網羅されております。術式も移植、心臓、小児、呼吸器、産科、その他。ひと通りの分野を網羅してます。

本のサイズは「MGH麻酔の手引」と同程度ですが、960ページありますので、それなりに重たいです。


 下はKindle版の、とあるページですが、本書ではこのようなイラストが随所に掲載されています。気管支の分岐の写真も載ってます。


Amazon.co.jpでは紙は5000円台、Kindle版は3000円台で買えます。Kindle版は、私はiPadでしか確認してませんが、読むのに問題ないです。私は紙版を仕事先用に、Kindle版を持ち運び用に購入しました。
Kindle版では、単語を入力すると検索もできます。

英語は簡単で、箇条書きですので、麻酔科研修を始めたばかりの先生方には是非おすすめしたい一冊です。そのうち誰かが訳書を作るのかもしれませんね。
でも9年前じゃないんですから、翻訳を待っていてはダメです。9年前でもアウトだったと思いますが。私は長いこと、日本語の教科書ばかり読んでいたので英語で未だに苦労苦労です。
私より若くて優秀な麻酔科の先生たちには英語で初めから学ぶことを切に希望いたします。

2012年11月24日土曜日

(雑) 周誕生日期

LiSAの編集会議に参加させていただきました。2回目です。医局の歓送迎会に参加できず申し訳ありませんでした。
FacebookのLiSAのページにいいね!しておくと、いつ編集会議があるか分かりますし、「参加したいです!」と連絡すると(簡単に?かどうかはよくわかりませんが)させてもらえるようです。
 
私は実験の予定がずれ込む可能性が否定出来ないので、参加表明したことがなかったのですが、その日は朝7時前からノンストップで実験を続けていたため、何とか目処が付いて行くことができました。といっても主目的は編集会議の参加ではなかったのですが、成り行きでそうなりました。ぺいぺいのイチ麻酔科医ですし、ましてや編集委員でもありません。
 
結果的には、参加させてもらうことで色々と得るものがありました。臨床麻酔よりベンチで実験している時間のほうが長い自分ですが、「その場で取り上げられている麻酔に関する話題から取り残される感」というものはありませんでした。むしろ、あれ、それって有名な話題なんじゃないだろうか、とかあぁやっぱり自分の周りで語られているようなことと同じ様なことでディスカッションになるんだな。という親近感を強く感じました。編集委員の先生方が、どんな話題でもどんどん話を膨らませていくところを目のあたりにするのはいい刺激でした。こういうのをブレインストーミングっていうんでしょうか。
症例検討・徹底分析特集のネタについての意見を求められたので、参加した記念に2つほど提案してみました。編集委員の先生方に興味を持ってもらえたので、そのうち紙面にしてもらえるかもしれません。
 
LiSAは最近になって漸く自分で買うことにしました。
大学病院で働いてたときは麻酔科控え室に置いてありましたし、外勤先にも置いてあるのでタダで読むことはいくらでも出来るのですが、自分で買わないと読まないということが分かり、買うことにしました。買い始めて3ヶ月になりますが、読みたい記事いくつか読んで、全部読みきる前に次の月が来ます。結局自分で買っても読みきれません。読み切れないといえばIntensivistも読みきれません。本を端から端まで読むっていうのは、今の自分にはとても贅沢なことのように思えます。
 
*** 
だいぶ色づいてました。
 
 

Live as if you were to die tommorrow .
Learn as if you were to live forever .
 
マハトマ・ガンジーの言葉のようですが、全くその通りです。
誕生日のお祝いの言葉をたくさんいただきました。新しい1年もどうぞよろしくお願いします。

2012年8月7日火曜日

(麻) 久しぶりに経食道心エコーの本の紹介


最近、TEEはご無沙汰なので、ちょっと復習しようと思って買いました。8月号のBritish Journal of Anaesthesiaで紹介されていました。Amazonで5000円ちょっと。200ページちょっとで小さめサイズ。それほど重くないです。

Perioperative Two-Dimensional Transesophageal Echocardiography: A Practical Handbook

Amazonで中身見られますので、興味が有る方は見ていただきたいのですが、カラフルな図が沢山掲載されており、診断やJB-POTで覚えるべき公式やら数値もふんだんにつめ込まれております。これが日本語だったらさぞかし売れるだろうな…という本です。あるいは既にどなたか翻訳中でしょうか?
おすすめです。














2012年7月4日水曜日

(本) 医師のためのモバイル仕事術、買いました

最近Appleの手先かってくらいApple製品を推奨するような記録ばかりの拙ブログです。
初版も持っているのですが、こちらのブログに「ほとんど書き直しました」とあったので、盲信して購入。医者向けの本でこれだけの情報量で3150円って安すぎます。私は初版購入時はiPadは持っていなかったのですが、今はこの本をもっと役に立てることができそうです。

ついでに、ではないですが、なんだか大改訂されたという帯に騙されてこちらも購入の「STEP麻酔科」。もう第4版ですか。緑色になってる!パラパラめくると、筋弛緩薬の項目でカギとカギ穴による説明が。あぁ、懐かしいです。自分は初版を読んで(いや、読んだ記憶はあまりない…)いた世代なのです。これを読んで学生に必要な知識?を復習して研修医の先生の指導の一助にしたいと思います。

***
そういえば先日のNEJM。HES対酢酸リンゲルの90日死亡率の多施設比較研究。HESは敗北ですか?この論文で使われてるHESは日本では発売すらされてない第3世代のもので、早く使えるようにならないかなーと思ってただけに、この論文をぱっと見たときはがっかりしちゃいました。

Hydroxyethyl Starch 130/0.4 versus Ringer's Acetate in Severe Sepsis (June 27, 2012 (10.1056/NEJMoa1204242)

Supplementary Appendixが長すぎる…。もう少しきちんと読んで結果を解釈したいと思います。

2012年6月30日土曜日

(本) 医療系iPad/ iPhoneアプリ本、読んでみました



偶然手にとって面白そうだったので購入。

当直の合間にパラパラ見てますが、眺めてるだけでも面白いです。海外だと血圧や血糖値が測れるアプリもあるんですね。初めて知りました。こちらの本のタイトルには「iPad」としか書かれてませんが、iPhone用のアプリも多数紹介されています。紹介アプリごとにiPad/ iPhoneどちらで手に入るかの表記もあります。ですのでiPhoneだけのユーザーさんにも役に立ちそうな1冊です。ヘヴィユーザーの方々には既知の情報も多いのかもしれませんが、ヘヴィユーザーではなくiPad使用歴(所持歴)2ヶ月な私には有用な1冊でした。

本当はこっちをお目当てに本屋さんに行ったのですが、発売日前日だったためか入荷されてませんでした。またの機会ということで。


***


医療系アプリ。今のところ、私のiPhoneに入れて実際に使ってるのはこれ位です。というか殆ど「AnestAssist」しか使ってません。あとは、小児の麻酔を担当する機会が少ないので「Pedi Safe」を時々見て、チューブのサイズとか薬液量を確認するくらいでしょうか。
もし他にも「これあると超便利ですよ~」というのがあったら是非とも教えてください。

因みに画面右上の「Anesthesia101」というアプリは「Laryngospasm」とか「Myasthenia Gravis」など、麻酔科医が出くわすだろう項目がずら~っと並んでて、症例提示→Q&A形式になっているというものです。ちょっとした隙間時間、移動時間での麻酔科専門医試験の口頭試問対策の一助くらいにはなるかもしれません(勿論これだけでは合格できないと思います)。英語なのでそれが難点とも利点とも言えそうです。私は電車で読んでたら酔っちゃいましたけど。

2012年6月21日木曜日

(本) 2012年上半期、買ってよかった気がする本のまとめ

麻酔・仕事・研究関係と、それ以外の本に分けました。記載順に意味は無いです。
150冊くらい読んだ中での19冊なので上位12%くらいになるでしょうか。これまでに当ブログで紹介したものも多くありますし、他のブログなんかで紹介されているものもあるでしょう。これは今の私の役に立った(もしくはこれから役立つ気がする、もしくは役に立たないけど、なんだかいいなぁこれ、というもの)というだけですので、あんまり真に受けないでくださいね。半年後には売ってしまっているかもしれませんし(書いた方には申し訳ないですけれど)。
それにしてもマニュアル人間だなぁ…「何この本?これなんの役に立つの?」という本の比率が上がってくることが当面の目標です。目標に掲げてる時点でダメか。

@麻酔とか
・心肺蘇生/克誠堂出版/2011年
・研修医のためのリスクマネジメントの鉄則:日常臨床でトラブルをどう防ぐのか?/医学書院/2012年
・バイオ研究のための実験デザイン/MEDSi/2011年
・Practical Manual of Thoracic Anesthesia/Springer/2011年
・集中治療医学文献レビュー2012-2013年版/秀潤社/2012年
・産科麻酔ポケットマニュアル/羊土社/2012年
・周術期コミュニケーション技法/MEDSi/2012年
・スティーブ・ジョブズに学ぶ英語プレゼン―聞き手の心をつかむストーリーと50表現/日経BP/2012年

@仕事以外で
・名著「代表的日本人」を読む: 日本とは何か、そしてどう生きるか/知的生きかた文庫/2011年
・科学嫌いが日本を滅ぼす―「ネイチャー」「サイエンス」に何を学ぶか/新潮選書/2011年
・夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる5つの物語/ハヤカワepi文庫/2011年
・一年でクラシック通になる/生活人新書/ 2003年
・変身,掟の前で,他2編/光文社古典新訳文庫/2007年
・「処方せん」的読書術 心を強くする読み方、選び方、使い方/角川oneテーマ21/2012年
・世界クッキー/文春文庫/2012年
・純粋ツチヤ批判/講談社文庫/2012年
・毒舌身の上相談/集英社文庫/1994年
・ことばを旅する/文春文庫/2011年
・なぜ古典を読むのか/河出文庫/2012年

2012年6月12日火曜日

(麻) 産科麻酔ポケットマニュアル (羊土社, 2012年) 、これはありがたい1冊です

FacebookでY先生が教えてくれたので、自分も実物を手にとって見ました。学会会場で売られていたようなのでもう既に手元にある人も多いのかもしれませんが。大学の生協でぱらぱらめくると読みやすかったので、とても気に入り、即購入。そして結構読んでしまいました。私のように、時々しか帝王切開に関わらない状態で、まとまった勉強時間をとれなくて、専門の施設に研修に行けないような状態の大学院生麻酔科医にはとても役に立ちます。妊婦さんの合併症別に麻酔科医の取るべき対応法がコンパクトにまとまっていますし、産科救急への対応にもページが割かれていますし、参考文献も項目別に適度に掲載されていますので、知識の穴を埋めるのに役立ちそうです。麻酔科専門医試験の口頭試験対策にも役立つような気がします。この本だけで学習を終えてはいけないんでしょうが、知識の棚を作るのには非常に便利な一冊です。実践的な内容ですし、麻酔研修開始したばっかりのレジデントの先生たちにもおすすめです。私は当直のお供として愛読させていただきます。今度の当直前にひと通り目を通そうと思います。羊土社のマニュアル。心臓麻酔、産科麻酔ポケットマニュアルと来たから、次は小児麻酔マニュアルでしょうか?安直すぎですか?私はまた買っちゃいそうですけど。

産科麻酔ポケットマニュアル~帝王切開(予定・緊急)、産科救急、無痛分娩、合併症妊婦などの麻酔管理の基本とコツ

2012年6月5日火曜日

(本) 周術期コミュニケーション技法 (MEDSi, 2012年)、 (麻) 非侵襲的COモニタのレヴュー、(走) 膝は故障気味だけど・・・


周術期コミュニケーション技法

原著は2010年の本です。慈恵医大の先生たちが翻訳されています。
手術室入室時に「がんばりましょうね!!」とやたらめったら患者さんに声をかける外科の先生がいます。
全身麻酔導入時に「点滴の入っている場所がびりびりしますよ~」とやたらとプロポフォールの血管痛を強調したり、麻酔覚醒後に患者が穏やかな表情をしているのに「痛くないですか?!気持ち悪くないですか?!」と元気いっぱいに声をかける看護師さんと麻酔科医がいます(なのに術中の患者さんの状態変化には結構無頓着だったりします)。
それらの声かけが適切な場合もあるのかもしれませんが、相手が患者さんじゃなかったらそんなコミュニケーションしないだろ、って場面にこれまで多く出くわしてきました。だからといって、初めてお世話になる病院で、外回りの看護師さんを捕まえて「やたらと痛いですよ、とかちくっとしますよ、とか言わないで下さい」なんて言ったら、その日から私がコミュニケーション不全の烙印を押されるんだろうな・・・。
勿論、患者さんに投与するフェンタニルやスガマデクスを「なぜ投与したのか」と同じ位に、自分の口から発せられる言葉を逐一振り返らないといけませんが、それを逐一教えてくれるような親切な(お節介な)人はいません。
自分の発している言葉が適切なのか、について考えを深めることは、麻酔科学の知識を身につけることと同じかそれ以上に大事なことなんだと思います。この本は間違いなくその一助となります。主な想定読者は麻酔科医ですが、外科の先生や看護師さんにも役立つでしょう。masuiメーリングリストでも流れてましたし、もう結構売れて読み終わった方も多いのかもしれませんが、私にとってもよい本でした。感謝です。

***
こないだ書いたAnesthesiology2012年6月号のcase scenarioと同じ方向性ですが、
Noninvasive Cardiac Output Monitors: A State-of the-Art Review

が出てます。雑誌は「Journal of Cardiothoracic and Vascular Anesthesia」ですがこちらもfreeです。noninvasiveとか言ってVigileoとかPiCCOが紹介されてるんですが・・・非侵襲的じゃないじゃん。その中で、以前自分のブログのここに記載したNICOM(totally noninvasiveなCOモニター装置)についても結構行数が割かれていて、なお且つそれを使った術中循環管理プロトコールのfigureもあって、それなりに面白いです。

***
運動不足ですがしつこくできることを試行錯誤中。
・其の百四十八:5/20 1.3km, 8min 8km/h
 muscle: 大胸筋、腹斜筋、腹直筋、上腕二頭筋
・其の百四十九:6/3 2.0km, 16min 8km/h
 muscle:臀筋、腸腰筋、大胸筋、腹直筋、腹斜筋
先日、整形外科で教わったリハビリ法を毎晩試しつつ、おっかなびっくりスローペースで走ってみたら2kmまでは無痛で走れました。そこで止めました。しばらく筋トレ中心にします。水泳にもチャレンジしてみようと思います。

***
やることに意味があるのかよくわからないまま、必要にせまられて始めた禁酒も今日で31日目です。アルコールはなければないで、特に困らないってことがわかりました。この間、ノンアルな飲み会というのも体験してみましたが、特に問題ありませんでした。寧ろ酔っ払ってるんじゃないかってくらい饒舌な自分がいました。引き続きチャンスがあれば、ノンアル飲み会に参加してみようと思います。

2012年5月31日木曜日

(本) 麻酔関連何冊か と (雑) iPhoneかえてみました

「オピオイド 基礎を知って臨床を使いこなす」新・超音波ガイド下区域麻酔法が入荷されていたので、買おうと思ったのですが、
結果的に
「周術期コミュニケーション技法」
自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン
Powerful医学英会話独習法をカウンターにもっていってしまいました。

こういう本が自分の書棚に並んでいるところを想像すると「~~の能力を高めたいんだ!」という即物的すぎる自分になんだか軽く落胆しますが、新しい気づきが得られるかもしれないので、読んでみることにします。

***
毎月固定で支払う通信費。これが家計に一定に負荷をかけ続けている現実にメスを入れようと、ソフトバンクのホワイト学割に加入。
これまでiPhone3GSを使っていたのですがこちらは解約。iPhone4Sに新規加入扱いになりました。4Sも早いもので発売から7ヶ月半経ったのですね。
いつからだろう、新しいものを誰よりも早く手に入れたい!と思わなくなったのは。小学生の頃、ファミコンやってた頃のような気もする。国家試験の前にドラゴンクエストVIIを友人に借りてやったことを思い出すと、その頃にはもうどうでも良くなっていたような気がします。大学生の頃、単にお金がなかっただけかもしれませんが。そうでもなくなった今でも、身の回りのものを購入したり変更したりする場合、それがないととても困るか、それを使ったほうが経済的に楽になるかの場合が殆どな気がします。でもiPhone4Sは3GSより軽い感じで、操作性も向上しているような気がするのでよい買物でした。
ホワイト学割は基本使用料が980円/月×36ヶ月 → 0円/月になるだけですが、いろいろ計算すると経済効果は3年間で1万円ちょっと。まぁそれだけ浮くので助かりますが。
ついでに電話として使用しているDocomoの携帯電話を解約したかったので、ソフトバンクでの通話プランの話も聞いたのですが、今現在ドコモに支払っている使用料金と大した違いがなかったので、電話機としてiPhoneを使う案は今回も却下となりました。
手続きの相手をしてくださった店員さんは新人の方のようで、一連の手続きには恐ろしいほどの時間を要しました。手続きの最中に私の質問に対して答えられないことがあるたびに(って別に嫌がらせの質問ばかりしていたわけじゃないですよ、そんなことしても楽しくないです)、店長の方へ聞きにいかれていました。勿論わからないことを聴きにいってくれることはありがたいことです。その新人さんにやっつけ仕事されて、私にとって最適でないプランに誘導されてしまったり、新規に購入した商品が正常に設定されていないとそれはそれで結構困るし。
こういう図式では、術前外来や手術室で研修医がいちいち上級医に聞きにはいけないよなぁ、目の前で研修医にそんな事されたら、患者さんはとても不安になるし困るし、信頼できないよなぁ、とぼんやり考えました。接客業において新人をどの段階で客の前に出すかって難しいなぁ、でも客の前に出さないと仕事にならないしなぁ。
いずれにせよ、たまに店で店員さん相手に怒りまくっているお客さんを見かけることがありますが、何であんなにお怒りになることがあるんだろう、って思ってしまいます。大抵の場合、怒ったっていいことないのになぁ。

2012年4月11日水曜日

(本) 知識の整理にとっても役立ちました…集中治療医学文献レビュー―総括・文献紹介・展望と課題(秀潤社,2012年)

既に読んでいる方も多いんでしょうが・・・この本です。
一度書店でスルーしたんですが、結局数日後に購入してしまいました。
単なる文献紹介ではなく、著者らの思想なり気合なりが伝わってくる本です。おそらく、著者らが各章に挙げている参考文献を自分なりに吟味しながら読み解き、実際の臨床に還元するのが正しい作法なのでしょうが、私のような麻酔をするより実験をしている時間が長い者にとっては、このようなまとめが大変助かります。ここで紹介されている新しい論文ですら、次々と新知見で塗り替えられていっているんでしょうが・・・。などと、落胆してる暇があったら、せめて知識だけでも仕入れ続けていこうと思います。

2012年3月17日土曜日

(麻) だからSVCが困ったことなんだって ~前縦隔腫瘍とSVC症候群メモ

前縦隔腫瘍(AMM)によるSVC syndrome(上大静脈症候群)の患者さんの麻酔ってかけたことありますか?私はなかったので、今回勉強してみました。ワタクシ、バイト麻酔科医なんですが・・・。

自分が経験したことないような合併症をもった患者さんの担当をするときの作法
・上でも下でも経験したことのある麻酔科医に聞く(できれば麻酔にも立ち会ってもらったり、術中に来てもらえるとなおよい)。
・とにかく騒いでおく。静かに「明日、大丈夫かなぁ…」とか、ひとりよがりな麻酔計画していないで、いろんな人の力を借りる
・教科書や雑誌、論文に可能な限りあたり、自分なりのプランを立てておく。1個だけ(それも症例報告だけ)読むのは危険である。まぁ読まないよりはいいだろうけどさ。
・危険に陥らない(=患者さんを死に至らしめるような目にあわせない、の意)を第一に考える

ほかにもいろいろとあるんでしょうが、私が今思いつくのはこれくらいです。
そして論文を探してみたのですが、いざ探してみると意外にいいものが見つからなかったです。
最近のものとしては下のCJAの論文でしょうか。
Anesthetic management of patients with an anterior mediastinal mass: Continuing Professional Development. Canadian Journal of Anesthesia. Volume 58, Number 9, 853-867, 2011

残念ながらフリーではないのですが、よくまとまった論文でした。大学などにいて読める環境にある人は読んでもよさそうです。

前縦隔腫瘍はとにかく気道管理が大事です。昔の自分のブログの記載を見直すとこんなメモがありますが、こちらの内容は論文にしてくださってます。

ほかには、最近買った本Practical Handbook of Thoracic Anesthesia のp335-353にはよくまとまってます。
・右側を上にした仰臥位。患者さんが仰臥位になってもdyspneaの症状でないか聴いておく
・前縦隔腫瘤による気道圧迫には自発呼吸が大事…特にハイリスク症例(and/ or 小児)では。自発呼吸がなくなると気道がぺちゃんこに潰れて換気できなくなるかも。
・特に起座呼吸がある場合は、全身麻酔ハイリスク。超要注意。
・無症状成人で麻酔関連心肺合併症の危険性が上昇するかは不明
・画像所見、ファイバー所見が安全ならば、無症状AMM成人患者に全身麻酔導入は大丈夫だろう。
等々。
上記CJAの論文と、おんなじような内容の記載でした。教科書にはフローチャートも載っており、それも参考になります。それはそうと、この教科書の当該ページの参考文献を眺めると1970年代とかかなり古いものが多い。それでいて2011年の論文とあまり大差ない内容というのは…。

@SVC症候群で麻酔上注意すること
・気道の浮腫~挿管も抜管も慎重に
・気道圧迫と出血
・静脈路は下肢にとる、手術がSVCに及ぶようなら大出血に対応できるように大口径のものを。CVCを大腿静脈から確保するか、末梢なら18G以上のものを2本とったほうが良い気がする(1本つまっても大丈夫なように)。ということは予定手術ならCVCの同意書も取っておいたほうがよさそうだ。
・仰臥位やトレンデレンブルグ位は病態増悪するかも。重症度をきちんと評価。問診大事。
・麻酔前の気管拡張薬やエピネフリンは有用かも。

SVCを切除するような手術では術式をきちんと術者と確認しておくことも大事です。静脈還流不可能になると脳や頭頚部の浮腫が起こります。人工血管によるバイパスを置くとか色々すると思うのですが、それについて「だいたいこんな感じ」ではなく、外科医に手順をしっかり教わるとよさそうです。脳は予後に直接影響しますからね…。

書き散らかしてしまいましたが、次回に同じような状況になった時に色々と思い出せるように、ここに記しておこうと思います。

2012年1月11日水曜日

(本) 心肺蘇生 (2011年、克誠堂出版)

この本

内容が広範囲に渡っていて、ためになる。このシリーズの「脳保護・脳蘇生」頃の、カバーを外した本の表面の手触りが結構好きだったのだが、近刊はツルツルになってしまっているので、ちょっと残念である。

2011年12月14日水曜日

(本) 読んでみた~SICU Pearls 外科ICUで困った時に開く本

この

マニュアル本

は、マニュアルとしての機能を十分すぎるくらいに果たしてくれそうです。
麻酔科研修医は患者さんを術後ICUに入室させる時に、p6-7の事項を申し送ることを目標にすればよいでしょう。
第2章の図表は秀逸。第3章の、各病態ごとの管理についての文章も肝を外さずに、それぞれよく練られています。第4章にはTrouble Shootingが記載されていますが、マニュアル本にありがちな鑑別診断の羅列でないところがよい。と、偉そうなことを書いてしまいましたが、目一杯利用しようと思います。勉強になるなぁ。
いい買い物をしました。

・そういえば…来年から麻酔科専門医試験の日程が変更になるようですね。口頭試験と実技試験は神戸、筆記はあちこちの都市で?と学会HPに提示されてますが。
・これまたそういえば…レミフェンタニルの副作用に「全身痙攣」が追加されていますね。

2011年10月16日日曜日

(旅) Anesthesiology 2011 ~ASA day 0~1 海外初ポスター発表

Chicago Tribune紙の創業者Robert McCormickから名前をとった”McCormick Place”は、迷子になるなという方が難しいような巨大な建物群で成り立っています。シカゴのガイドブックを真剣に読み始めたのが出発前日…という私でもそれだけは知っていました。気を抜くとすぐに迷子になる私は、発表の前日、学会参加登録証を貰いに来るついでに下見に。と言っても巨大すぎるので、自分のポスターを貼り付ける場所が会場全体のうち、どのあたりに位置するのか、を把握しただけ。Metraという電車を使って会場まで来たのですが、券売機の読み方に苦戦したり、ホームで待っていたら「次の電車何時にくんの?University Park行き?(in English)」と黒人のお姉さんに聞かれたり、ちょっとドキドキします。何処からどう見てもasianな私に聞いても分かる筈ないと思うのですが。乗車時間はほんの数分。電車の窓が埃で薄汚れていてあまりよい眺めではありませんでした。


という下準備の元、発表の朝を迎えます。まだ暗い中、6:30にホテル前の迎えに来るシャトルバスに乗って会場へ。朝もはよから、バスには数十人の麻酔科医らしき人たちがいました。
空を見上げるとまだお月様が。
会場内はまだガラガラです。遠くに「ANESTHESIOLOGY 2011」と掲げられております。一応ちゃんと行って来ましたよ、という証拠写真です。 昼間に同じ場所を通ったら…まぁ凄まじい混雑具合。東京から来たのに、また東京の通勤ラッシュの中に戻ってきたような気分になり具合が悪くなりました。
 ポスター会場は、企業ブースの隅っこの方にありました。巨大ラリマ。
同じく巨大モニタ。

発表についてです。
座長の先生(2人)がポスターを1枚ずつ回り、演者はその先生方(+聴きに来た聴衆)の前でプレゼンをするという、日本の学会と同じスタイルです。私の発表の順番は早めの時間だったため、聴衆は疎らでしたが、こちらとしてはそのお陰で、過度の緊張を強いられることなくプレゼンを終えることができました。いきなり座長の先生に握手を求められ、おぉアメリカン!と一人感動。私の英語が本当に聞き取って貰えていたのかについては、今となっては闇の中。ですが、プレゼンの最中に座長が適切なタイミングで、内容に即した適切な質問をしてくださっていたので、まずまず伝えたいメッセージは伝えられたのではないかと思います。あぁよかった。小さなメモ用紙にプレゼン内容を書いていったのですが、結局それは見ず、ポスターを指し示しながら喋り、そして、聴いている方々がちゃんと内容に着いてきて下さっているのかを確認しながら話すことができたので、目標は達成されたということにしたいと思います。5-6個質問もされましたが、何故か応答することができました。奇跡です。
そして、日本の学会と大きく異なるのはポスターセッションの時間が3時間もあることです。その3時間は自分のポスターの前(もしくはその付近)に立っていなくてはならず、それが結構大変です。夜中には全然眠れなかったのに、今頃になって眠くなってきます。そうこうしていると時間が経って無事終了。会場に来て下さったI先生、ありがとうございました。

*** 
学会はまだ続いていますが、発表までにどんなことをしてきたのかの記録を残しておこうと思います。
このブログを読んでくださる方の中に、もしかしたら今後、アメリカ麻酔学会に初めて抄録を提出し(させられ)、採択され、ポスターをつくり、発表原稿をつくり、念仏のように原稿を口に出して練習し、渡米し、発表する、ということにチャレンジされる方がいらっしゃらないとも限らないので、私がこの半年でやったことを記しておきたいと思います。まぁ、こんな人間もいるんだな、という程度にでもご参考になれば。

***
4月:抄録を作成する。指導医と何度かメールのやりとりをして完成にこぎつける。 
4月29日:抄録をオンラインで提出。締切日、締切時間の超直前は避けないと。
7月4日:演題登録時には6月中に採択の可否がメールで送られてくると通知があったのですが一向に来ない。しびれを切らしてメールで問い合わせると、すぐさま返事が来ました。流石ASA!と思ったらauto replyで「The ASA office will be closed on July 4th.」あぁそうか独立記念日だから。
7月5日:メールの返信が来て「2週間以内には通知します」
7月9日:当直中、眠気まなこにメールチェックしたら採択されていました。
7月11日:更に英語リスニングに力を入れようと思い、iPod nanoを英語リスニング強化仕様にした途端に故障。オンラインで修理を依頼したところ、手元に戻ってくるまで1週間かからず驚嘆。
7月12日:ポスター作成規定を読む。ふむふむ…と作成開始
毎日暑い
7月25日:麻酔科専門医試験が1日早く開始になる、という情報にちょっと動揺
本当に暑い
7月30日:研究室の英語抄読会を終え、ストレスが1つ減り安堵
8月1日:飛行機とホテルと、学会参加登録をする。1ドル77円で円高がちょっとありがたい。学会のホームページからホテルを選ぶ。あぁなんでこんなにホテルの値段が高いんだ。しかもどこも結構会場から遠いぞ。予約可能なホテルの中で1番会場に近そうなところを予約。
何でこんなに暑いんだ
8月27日:連日の暑さに、やる気の低値更新中だったが、漸く底値を脱した気持ちになってくる。モーツァルトのレクイエム「Rex Tremendae」を無限リピートしつつ、ちまちまとポスター作成。
9月5日:作ったポスターを指導医にみてもらう
(9月29日~10月1日:麻酔科専門医認定試験)
10月1日~:試験が終わった直後からポスターと発表原稿の手直しを再開。
10月3日:思いだしたかのようにASAのリフレッシャーコースの申し込みをオンラインでする。どれも$0で申し込めるようになっている。どうやら今年は無料で席も早い者勝ちのようだ。
10月5日: ポスター発注。原稿の喋り練習をスキマ時間に行う。ぶつぶつぶつぶつ
10月12日:大学で予演会。もっとブラッシュアップしなきゃダメか。ぶつぶつぶつぶつ練習
10月13日:ワシントンD.C.のダレス国際空港で乗り継ぎ便に間に合わずチケットの交渉。あぁ英語、全然聞き取れない。こりゃ駄目だ。もう帰ろうかな。
10月14日-15日:ホテルの部屋で最後の練習。

@役に立った本など。大変お世話になりました。
・地球の歩き方 シカゴ'10-'11. ダイヤモンド社
・タビトモ シカゴ. JTBパブリッシング (2010/12/28)
国際学会English挨拶・口演・発表・質問・座長進行. 医歯薬出版 (2007/04)
国際学会Englishスピーキング・エクササイズ口演・発表・応答. 医歯薬出版 (2010/03)
英語抄録・口頭発表・論文作成虎の巻―忙しい若手ドクターのために. 南江堂 (2006/4/17)
・ポッドキャスト: OpenAnesthesia.org ほか
・本:The Checklist Manifesto: How to Get Things Right. Atul Gawande :ASA学会での講演をぜひ聞きたかったのですが、自分の発表の時間と重なっていたので、著書を読んで我慢しました。
カラープリントショップアドテック :ポスターはこちらにお世話になりました。データを送ると翌日には届けてもらえました。筒でポスターを持っていくのはちょっと…という方は考えてもよいかもしれません。布ポスターは値が張るので若干躊躇しますが、利点としては、折りたたんでも破けたり印刷が滲んだりしないため飛行機内持ち込み用のカバンに収納できることです。海外に行くと、スーツケースが行方不明になる危険性もあるので、ポスターは肌身離さず持っていたいものです(特に私のような初心者は)。

今度発表できるのは、いつになるかな…。

2011年9月20日火曜日

(麻) 生理学や計算問題、モニタリング、解剖- 麻酔科専門医試験に関連した知識

いざこういうふうに書きだしてみると、あちこちに間違いがあるような気がしますが。あくまでも過去問based試験対策用ノートということでご了承ください。私がよく間違える問題をもとにして作成していますので、これらの知識だけでは合格できないことと想像されます。試験までは随時訂正・加筆します。早く終わらないかな。
呼吸生理は王道かつ基本でしょうが
「ウエスト呼吸生理学入門:正常肺編」(MEDSi, 2009年)
が薄くてわかりやすくて練習問題も掲載されていて必要十分な気がします。過去問だけ解いても全然理解出来ない。高校生頃までは計算問題大好きだった筈なんだけどな。

***生理学的な知識***
 @臓器血流量(ml/100g/min)
・腎(420)>>心(84)>肝(57.7)>脳(53.6)

@臓器の酸素消費量(ml/100g/min)
・心(9.7)>腎(6.0)>脳(3.3)>肝(2.0)

@心拍出量に対する割合(%)
・肝(27.9)>腎(23.3)>脳(13.9)>心(4.7)


@冠循環の生理
・安静時:50-100ml/100g心筋/min  (*因みに心臓は300g程度)
・心筋酸素消費量:6-10ml/100g心筋/min -心筋酸素供給の70%に相当。
→冠静脈洞における酸素飽和度は30%、酸素分圧20mmHg。
・収縮期の冠血流は主に心室外壁に分布。内膜側の血流は外膜側の1/4以下。
・左冠動脈血流の70-85%は拡張期に供給。拡張期早期にピークになる
・右冠動脈の血流量は収縮期に増加し、血圧のピークに相応してピークになる。
・心室充満に対する心房収縮の影響は30%。重度のASでは左室拡張終期圧が上昇しているため心房収縮の依存度が通常より高くなっている。 46B33

@肝循環 48A72, 47A66 (*肝臓は1-1.5kg程度)
・門脈(PV)にはα受容体しかない。肝動脈(HA)にはα、βともにある
・酸素供給は肝動脈・門脈で50%ずつ。肝血流量はHA30%, PV70%。
・肝静脈の酸素飽和度は60-70%。
・イソフルランで肝血流↑、ハロタンは↓
・肝血流に最も影響するのは上腹部の手術操作(60%の肝血流低下?) 。

・バゾプレシン、エピネフリン、アンギオテンシンIIは門脈収縮
・グルカゴン、エピネフリンは肝動脈拡張(エピネフリン投与初期は収縮)
・麻酔中は肝血流の自動調節能なし

@脳循環 (*脳は1300g程度。体重の2%)
・成人の酸素消費量は3.5±0.3ml/100g/min
・PaO2 60mmHg以下で急速に脳血流量↑
・CO2応答性は20-80mmHgでS字状の変化を示す。*1 Torr変化で1-2ml/100g/min変化
 20mmHgでの脳血流量は20ml/100g/min
100mmHgでの脳血流量は100ml/100g/min。高CO2血症では脳血流自己調節能のプラトーが狭くなる。
 *安静時の成人正常の脳血流量は50±5ml/100g/minで心拍出量の15%
・PaCO2 40→80Torrの上昇で脳血流量は2倍になる。 49A44
・酸素代謝率は灰白質(80ml/100g/min)で白質(20ml/100g/min)の4倍高い。( )内は安静正常値
・脳酸素代謝率:27-37℃では体温1℃↓で7%↓。脳温18℃で正常の10%未満になる。(体温20℃で平坦脳波になる。)
・軽度低体温療法(32-34°)では20-30%の脳代謝率↓
・チオペンタール投与で…鎮静濃度では脳酸素代謝率は30%↓、平坦脳波出現レベルでは50%↓。それ以上は低下しない
・デクスメデトミジンは脳血流量↓

@呼吸関連
・生理学的死腔:解剖学的死腔と肺胞死腔
・坐位→仰臥位でFRC↓、肺胞死腔↓となり、生理学的死腔は減少する
・1kPa=7.5mmHg, 1mmHg=0.1333kPa
例:PaCO2 40mmHg = 5.32kPa
・pH = 6.10 + log[HCO3- ]/0.03Pco2

@ヘモグロビン酸素解離曲線(頻出)
・P50 :酸素飽和度50%を示す酸素分圧
・正常値 大人:26.7mmHg > 胎児型HbF 20mmHg *胎児HbはSpO2に殆ど影響しない
・妊娠末期では右方移動26.7→30.4mmHg
・因みにPvO2 40mmHg → 酸素飽和度75%は覚える
・因みにHb分子(α2β2)の分子量は64500、ヘムを4つ含む。

右方偏位 (P50↑)
要因 : アシドーシス(水素イオン↑)、高体温、高炭酸ガス血症、2.3‐DPGの上昇(例:慢性低酸素症、貧血、高地環境)、多くの吸麻
作用 : 組織で酸素を放出し易く、動脈血酸素分圧が高くないとHbと結合し難い。

左方偏位 (P50↓)
要因 : アルカローシス、低体温、低炭酸ガス血症、2.3‐DPGの低下
作用 : 組織で酸素を放出し難いが、動脈血酸素分圧が低くてもHbの酸素化が可能。

注:DPG…ジホスホグリセリン酸。2.3-DPGは嫌気性解糖の中間代謝産物。
*オピオイドは解離曲線の位置に影響を与えない

@動脈血酸素含量 (頻出)
CaO2(ml/dl)=Hb×1.36×SaO2+0.003×PaO2(正常値 20=14.5×1.36×1.0+0.003×100)
混合静脈血酸素含量
CvO2(ml/dl)=Hb×1.36×SaO2+0.003×PvO2(正常値 15=14.5×1.36×0.75+0.003×40)
心拍出量
CO(l/min)=VO2/(CaO2-CvO2)
→変形すると…
酸素消費量VO2 = (CaO2-CvO2)xCO 通常は約200-250ml
全身に送り出された血液中にある酸素、から、還って来た黒い血液中の酸素、を引いて、1分あたりの循環血液量、を掛ければ、確かに酸素消費量になる・・・。

@肺胞気-動脈血酸素分圧較差 (頻出)
A-aDO2=PAO2-PaO2
ここでPAO2=(760-PH2O)×FiO2-PACO2×{FiO2+(1-FiO2)/R)
簡易式
PAO2=FiO2(PB-PH2O)-PACO2/R
FiO2=酸素濃度、PB=大気圧760mmHg、PH2O=水蒸気圧47mmHg、R=呼吸商0.8

@二酸化炭素産生量VCO2の計算問題 48C38
(VCO2)(ml/min)= VA×FACO2
 VCO2 = 二酸化炭素産生量、VA = 肺胞換気量 (L/min)、FACO2= 肺胞気CO2分圧
VCO2=(VA×PACO2)/0.863
PACO2PaCO2
VA=500×10/1000 (単位をmlLに変換するため1000で割る。ここで死腔は無視) 
・・・と500ml×10/minならば
VA=5(l/min)、PACO2 =35mmHgとして
VCO2(5×35)/0.863 = 202.8(ml/min) が二酸化炭素産生量となる。

@呼吸商(R)の計算問題 48C39
(R)VCO2/酸素消費量(VO2)
VO2は吸気・呼気間の酸素濃度較差に分時換気量をかけて求められるので、吸気酸素30%、呼気24%とするとVO2(0.30.24)×500×10300  (46C40にもあり)
上記と組み合わせて
R=202.8/300 = 0.68

@笑気の容積の問題
・笑気の肺胞濃度が60%のとき、閉鎖腔の容積は何倍になるか?
→笑気負荷分による閉鎖腔容量増分をxとすると、
x/(1+x) = 60(%) / 100  ∴ x=1.5 なので、1+1.5 = 2.5 倍になる

@換気血流比(V/Q) (頻出)
・肺尖部では3.3、肺底部では0.6。平均は0.8(95%は0.3-2.1の間に分布)
・換気血流比=0 は換気がない状態。シャントとなる。(分離肺換気時のnon dependent lung)
・換気血流比=∞ は血流がない状態。死腔となる。肺気腫で増加する。
・分布勾配(肺尖部→肺底部) :血液は0.07→1.29、換気は0.24→0.82

@HPVが抑制されるとシャントが増大する
・HPVを抑制:低CO2血症、揮発性麻酔薬、ニトログリセリン、ニトロプルシド、Ca拮抗薬(ベラパミル、ニフェジピン)、エンドトキシン、イソプロテレノール、グルカゴン、プロスタサイクリン、NO
・HPVをわずかに抑制(臨床的に有意でない):亜酸化窒素
・HPVを抑制しない:チオペンタール、プロポフォール、ケタミン、フェンタニル、ジアゼパム、ドロペリドール、ペンタゾシン
・HPVを増強する:高CO2血症、局所のアシドーシス、NSAIDs、PDEIII阻害薬、アミノフィリン

@HPVに関連した知識
・HPVは主に200μm以下の前毛細管動脈で起こる。これら細動脈が細気管支や肺胞に隣接しており、肺胞低酸素症にすぐ反応できる。
・HPVは肺気腫患者では効果少ない
・低酸素領域が70%以上ではPaO2改善の効果は少ない
・肺血管抵抗は、肺気量がFRC(機能的残気量)を示すときに最小になる
・混合静脈血酸素分圧と肺胞酸素分圧が関与する
・空気下では肺胞気酸素分圧は100mmHgだが、40mmHgに低下すると肺動脈圧は40%程度上昇する。

@肺血流(立位における)の分布(West分類) (頻出) 下線部が肺血流量を規定
zone 1:肺胞内圧>肺動脈圧>肺静脈圧
血管が虚脱して肺胞死腔を構成
・PAP低下(肺血管拡張薬、hypovolemia)や肺胞内圧上昇(PEEPやCPAP)で拡大。
・立位では殆ど存在しないか、数十ml程度

zone 2:肺動脈圧>肺胞内圧>肺静脈圧
・血流量は肺動脈圧と肺胞内圧の差に依存。zone2内では、下方に向かって肺動脈圧が上昇するが、肺胞内圧は殆ど変化しない。つまり下方ほど血流量が増加。
waterfall現象:川の流量(血流量)は、上流圧(肺動脈圧)とダム(肺胞内圧)の高低差に依存し、下流の圧(肺静脈圧)に依存しない

zone 3:肺動脈圧>肺静脈圧>肺胞内圧
・血流量は肺動脈圧と肺静脈圧の差に依存。PACを留置するのはこの部位

zone 4:肺動脈圧>組織圧>肺静脈圧>肺胞内圧
・血流量は肺動脈圧と組織圧の差に依存。

@呼吸関連問題より
・37℃、1気圧において、血漿中の溶解する酸素の量は2.3vol%。
・15μmのエアゾル粒子の一部は細気管支~呼吸細気管支まで到達し,沈着する

@flow-volume曲線から得られる指標 47C27-28
FVC(forced vital capacity):最大吸気位から最大呼気位までの努力肺活量
PEF(peak expiratory flow rate):呼気流量の最大値である最大呼気流量
MMF(maximum mid-expiratory flow rate)75%肺気量位と25%肺気量位の2点間における平均呼気流量である最大呼気中間流量
V50V25:それぞれ50%25%肺気量位における呼気流量

@スパイロメトリから得られる指標
VC(肺活量)
・一秒量(FEV1.0)、一秒率(%FEV1)
・最大換気量(MMV)

@肺活量予測式
Baldwinの式
男性:VC(ml) = (27.63 - 0.112 ×age) × Height (cm) 女性:VC(ml) = (21.78 - 0.101 ×age) × Height (cm)
こんな式は覚えられないので…せいぜい(27-0.1×年齢)×身長でいいんじゃないでしょうか。
Ex:75歳男性160cmならば3Lくらい、75歳女性150cmならば2100mlくらい。

@機能的残気量(FRC: functional residual capacity)
・定義「安静換気の呼気時に、肺内に存在する気量」簡単なスパイロメータで測定できない。
・麻酔中は15-20%↓。コンプライアンス低下による
・低下する病態:肥満、仰臥位、Trendelenburg位、腎摘位、砕石位(横隔膜頭側移動)、麻酔導入、筋弛緩薬、高濃度酸素(吸収性無気肺のため)
・上昇する病態:側臥位(ただし下側肺は低下、上側が上昇して全体としては増加)、腹臥位、高齢者(高齢者はクロージングボリュームCV>FRC *因みにCVとは…肺の下の部分の気道が閉鎖しはじめるときの肺の残気量。とくに肺気腫の早期診断に利用される。 この容積がFRCを上回ると通常の吸気でも末梢気道が閉塞する。若年成人のCVは肺活量VCの10%、65歳では40%。クロージングキャパシティCC=CV+残気量RV)

@動的肺コンプライアンス(Cdyn) 基準値は40-80ml/cmH2O
・Cdyn = VT / (Ppk - PEEP)     *Ppk:最高気道内圧。
・Cdynは気道抵抗の影響を受ける。
*気管支喘息、気道分泌物増大で低下
・静的肺コンプライアンスはPpkの代わりにPplatを代入
*無気肺、肺水腫、気胸、胸郭の外的圧迫、胸水貯留で増大

@肺の代謝
・肺循環で除去される:ノルアドレナリン、セロトニン、ブラジキニン、ATP、ADP、AMP、プロスタグランジン(E1,E2,F2α)、ロイコトリエン
・殆ど影響なし:アドレナリン、ATII、バゾプレッシン、イソプロテレノール、ドパミン、ヒスタミン、PG(A2, I2)
・生体内変化受ける:ATI(→ATIIに)

@酸素療法 47C23-24
・リザーバ付きフェイスマスクの酸素:6L60%7L70%8Lで80%9-10Lで≧80%
・単なるフェイスマスクの酸素:5-6L40%6-7L50%7-8L60%
・鼻カヌラ:1Lごとに4%6L44%

@呼吸関連過去問など
・動脈血と混合静脈血のCO2含有較差は約4vol%
・血漿中の重炭酸イオンは炭酸分子の約14000倍存在
・呼吸性アルカローシス→低カリウム血症→ジギタリス中毒

@酸塩基平衡
・α-stat:37℃で測定し体温補正を行わない方法。生物は低体温下においてpHが上昇し、Paco2
が低下するのは正常な反応であるとする考え方。
・pH-stat:患者体温に補正した後に、全ての温度でpH=7.40を正常とする管理。
・血ガス測定時のHb酸素飽和度の変化は0-42℃では2%未満
・CO2の運搬の70-80%は重炭酸イオンとして、15%はカルバミノの結合で運搬される
・動脈血と混合静脈血のCO2含量較差は4vol%
・Bohr効果:血中CO2含量↑ → HbのO2との親和性は低下、組織で酸素を遊離しやすくなる。

@反射
・Bainbridge反射:心房後壁大静脈、右心房中隔、肺静脈心臓部などで静脈還流量が増加し、機械的に引き延ばされ、伸展受容器が興奮→迷走神経心臓枝の求心性神経を介して反射→心拍数↑ 心拍出量↑
・Bezold-Jarisch反射:心機能を抑制する反射。左室伸展受容器刺激→迷走神経無髄C線維→交感神経抑制と副交感神経刺激(徐脈、血圧低下、冠動脈拡張)。脊麻時の極端な徐脈の原因と考えられている。
・Hering-Breuer reflex(肺伸展反射):肺膨張→気管支平滑筋の伸展受容器が興奮→迷走神経→延髄背側の吸気中枢の抑制→呼気が起こる
・Aschner反射:眼球心臓反射のこと。眼球圧迫刺激→三叉神経第1枝(求心路)→延髄(反射中枢)→迷走神経にふくまれる副交感神経線維(遠心路)→徐脈、血圧低下。
・頚動脈小体:主にPaO2の低下に反応して呼吸中枢刺激  (頚動脈小体についてはJ Anesth (2002) 16:298–309やN Engl J Med 2005;353:2042-55.やAnesthesiology 2010; 113:1270–9.参照)

@固有名詞がついた~~の法則
・Gay-Lussac:気体の体積が一定の時、温度上昇で圧力上昇
・Fick:分子の拡散速度は濃度勾配に比例
・Graham:分子量が小さいほど、拡散が速い
・Coulomb:2電荷間に働く力は、電荷が大きいほど強くなる
・Henry:液体に溶ける気体の量は分圧に比例
・Boyle:温度一定のとき、圧力と体積は反比例
・Charles:圧力一定のとき、体積は温度に比例
・Hagen-Poiseuille(ハゲン・ポアズイユ)の式:流量は両端の圧較差に比例する
Q=ΔPπr4乗 / 8ηl
Q:流量、ΔP:圧勾配、r:円管の半径、η(エータと読む):粘度、l:管の長さ
つまり・・・圧勾配と半径の4乗に比例、し、粘度と管の長さに反比例
注意:この式は層流の時に成立。乱流になると(Reynolds数が2000を超えると)適応できない

@アドレナリン受容体
・Gタンパク共役型受容体
アドレナリン受容体は現在α1、α2、βの三種類と、更に3つずつのサブタイプに分類
α1(α1A、α1B、α1C):血管収縮、瞳孔散大、立毛、前立腺収縮、子宮収縮
α2(α2A、α2B、α2C):血小板凝集、脂肪分解↓、インスリン分泌↓(膵臓 49A49)のほか様々な神経系作用
 ・α2刺激薬(デクスメデトミジン)によって局麻の作用時間↑、終末からのノルアドレナリン放出↓→血圧低下(延髄網様体副外側部のα2受容体を介した間接的なもの?)  49A2
*但し投与初期には血管平滑筋のα2刺激で血管収縮→血圧上昇なので注意
β1:心臓に主に存在し、心収縮力増大、脂肪分解活性化
*ドブタミンはβ1刺激が主。イソプロレノールもβ1刺激が主。ノルアドレナリンもβ1>>β2 (勿論α1激)
*エピネフリンは低濃度でβ(1も2も)刺激、高濃度でα刺激が強くなる。
β2:気管支や血管、また心臓のペースメーカ部位にも存在。気管支平滑筋の拡張、血管平滑筋の拡張(筋肉と肝臓)、子宮の平滑筋弛緩(切迫早産予防のリトドリンはβ2刺激薬)、各種平滑筋弛緩や糖代謝の活性化(インスリン分泌↑)、胆管拡張
β3:脂肪組織、消化管、肝臓や骨格筋に存在する他、アドレナリン作動性神経のシナプス後膜にもその存在が予想される。基礎代謝に影響を与えているとも。

@アセチルコリン受容体
・α2個、β、δ、εの4種5つのサブユニットから構成される
・胎児型(神経筋接合部外)ではεサブユニットの代わりにγサブユニットが存在。
・胎児型ACh受容体では、ACh放出は短時間の活性化のみ。脱分極性筋弛緩薬に感受性↑、非脱分極性筋弛緩薬に抵抗性高くなる。
・シナプス前膜のACh受容体は正のフィードバックに関与
・非脱分極性筋弛緩薬は、αサブユニット少なくとも1つをAChと競合して占拠
・ACh分子が2個のαサブユニットを占拠すると形態変化が起こりイオンチャネルが開口
・受容体が脱感作されると神経筋接合部の安全域が減少する

@ドパミン受容体
・DA1Rは交感神経末端のシナプス後に存在。DA2Rはシナプス前に存在
・DA1R:腎・腸管・冠血管の血管平滑筋に作用。拡張。尿細管のDA1RはNa利尿に関与
・DA2R:NAやおそらくAChの遊離を抑制。中枢のDA2Rは悪心・嘔吐に関係。ドロペリドールの制吐作用に関係(ドロペリドールはDA1RにもDA2Rにも作用)

@オピオイド受容体(μ、δ、κ)
・呼吸抑制:μ  *κに呼吸抑制なし 48A14
・精神刺激:κ
・鎮静:μ、κ
・利尿:κ
・消化管運動低下:μ、κ
・プロラクチン分泌↑;μ
・成長ホルモン分泌↑:μ and/or δ
・アセチルコリン分泌↓:μ
・ドパミン分泌↓:δ

@分布容積 47A2, 47A10他
Vd=X/C (X:体内薬物量…急速静注時は投与直後の薬物血漿濃度、C:血中薬物濃度)

@アンギオテンシンII
・肺で代謝受けない
・陣の輸出細動脈に作用して血管収縮
・下垂体後葉からバゾプレッシンの分泌促す
・アルドステロン分泌促す
・近位尿細管でNaの再吸収増加、塩と水の貯留もたらす。
・交感神経終末からノルエピネフリン遊離促進

***モニタリング関係***
@パルスオキシメータに関連して
一酸化炭素ヘモグロビン存在下では、940nm(赤外光)における吸光度は最低を示し、660nm(赤色光)における吸光度は酸化ヘモグロビンと類似するため、酸素飽和度は過大評価される。
・メトヘモグロビンは800-900nm付近の吸光度が高く、大量に存在するとSpO2 85%に収束。
SaO2>85%で過小評価
SaO2<85%で過大評価
・メチレンブルー:有意に↓↓↓数分
・ICGとインジゴカルミン:一過性低下
・マニキュア:青が一番影響大きい。僅かに低下

@脳波
・2.5MAC以上のイソフルランで脳波は平坦化
・低用量ケタミンでα波の消失
・フェンタニルは50‐70ug/kgで徐波化、δ波振幅増大。てんかん大発作様の神経興奮性反応を伴う場合あり(低濃度フェンタニルでは脳波は殆ど変化しない 49A31)
・バルビタールは:低濃度では・・・僅かに高振幅化、前頭葉β速波化、中等度では・・・前頭葉α紡錘波、高濃度で・・・全般性δ 高振幅→群発抑止→平坦脳波
・プロポフォール:少量で・・・α消失、低振幅前頭葉β↑、中等量で・・・前頭葉δ、waxing/waning α、大量で・・・バルビタールと同じ
・ドロペリドール(意識あり):周波数低下、ときに徐波化
・群発抑止(+)の薬剤:イソフルランとエンフルラン>1.5MAC、セボフルラン>1.2MAC、大量投与のバルビツレートとプロポフォール
・ベンゾジアゼピンで群発抑止は起こらない。
・覚醒時脳波はβ波(>13Hz)主体、閉眼でα波(8-13Hz)が後頭葉優位に。
*因みにθ波:4-7Hz、δ波<4Hz
・脳幹聴性誘発電位でV:外側毛帯、VI,VII:下丘由来。笑気はこの電位に殆ど影響なし

・ケタミン0.25-0.5mg/kgではBIS値は変化しない
・70%までの笑気はBIS値に殆ど影響なし

@神経筋モニタリング
・TOFは脱分極性筋弛緩薬では減衰なし。原則1.0を示す。phase IIブロックでは低下する
・ACh受容体占有率、は低いほど筋弛緩効果が弱い(低いほど正常な筋力に近くなる)
・受容体占有率50% ≒ TOF 0.85となる。以下の状態で占有率50%
 ・100Hzのテタヌス刺激5秒で減衰なし *50Hzのテタヌス刺激5秒間維持、は占有率70%
 ・最大吸気力が-40cmH2O
 ・仰臥位で5秒の頭部挙上
 ・ベースラインと同程度の握力
 ・舌圧子を保持できる咬力

*テタヌス刺激:通常50Hzで5秒。正常では筋収縮が維持されるが、非脱分極性筋弛緩薬投与下やスキサメトニウムによるPhase IIブロックでは減衰fadeが認められる。理由:テタヌス刺激を持続していると、それまで神経終末から大量に放出されていたAChの貯蔵が少なくなって枯渇するため。非脱分極性筋弛緩薬によりACh受容体が占拠された状態では、筋収縮の減衰が認められる。48A17

他に重要なのは…(( )内はACh占有率)
・TOF 0.7(60-70%)
・触診上double burst刺激で減衰なし(60-70%)
・触診上TOF減衰なし(70-75%)
・肺活量20ml/kg(70%)
・1回換気量 5ml/kg (80%)
・TOF70%から90% までの自然回復に15分かかる


***解剖など***

@上気道解剖
・上喉頭神経(迷走神経)内側枝:喉頭蓋頭面(喉頭蓋頭面は舌神経)や声門上粘膜の知覚
・上喉頭神経外側枝:声門下粘膜前面の知覚、と、輪状甲状筋(内転)の運動
・下喉頭神経(反回神経):声門下粘膜の知覚、声帯ヒダの知覚、甲状披裂筋等の筋肉
・声門開大:後輪状披裂筋(後筋)
・声門閉鎖:甲状披裂筋、外側輪状披裂筋(側筋)、披裂筋(横筋)
*輪状甲状筋は声帯伸展や緊張作用
・喉頭反射は上喉頭神経→中枢→下喉頭神経→主に甲状披裂筋作用により声門閉鎖
*喉頭痙攣には上喉頭神経が関係している
*上喉頭神経ブロックは舌骨両端の尾側組織より施行。喉頭蓋下面から声門までの麻酔になる 48B28


@泌尿器系の解剖 、疼痛伝導 48A73
・腎:T10-L1
・精巣:T10-L1
・尿管:T10-L2
・膀胱:T11-L2(膀胱頂部)、S2-S4(膀胱頸部)
 *閉鎖神経は膀胱下側壁、膀胱頸部、外側前立腺部尿道に隣接して走行
・前立腺:T11-L2, S2-4
・陰茎:S2-4
・陰嚢:S2-4

@頭蓋底の孔
中頭蓋窩
・視神経管:II,眼動脈
・上眼窩裂:V1、III,IV,VI,眼静脈
・正円孔:V2上顎神経
・卵円孔:V3下顎神経、小錐体神経(舌咽神経→鼓室神経の延長)
・棘孔:中硬膜動脈、下顎神経硬膜枝
・破裂孔:上行咽頭動脈硬膜枝、導出動脈
・頚動脈管:内頚動脈
・茎乳突孔:顔面神経、後耳介動脈
後頭蓋窩
・内耳道:VII,VIII(内耳神経)、迷路動静脈
・頚静脈孔:S状静脈洞、下錐体静脈洞、IX、X、XI
・舌下神経管:XII、上行咽頭動脈硬膜枝

@成人の気道解剖 49A69他
・甲状軟骨上縁:C4 下縁:C5
・輪状軟骨:C6
・気管:C6(声門)からT4-5の気管分岐部まで。成人では15cmある。C型の軟骨20個
・声門から輪状軟骨下縁まで2cm。気管は10-13cm。 *満期産新生児の気管長は4cm。 47B26
・右主気管支は2.5cm(角度25°)、左主気管支は5cm(45°)
・気管分岐部前には肺動脈がある。

@腕神経叢ブロック
・母指尺側側副靭帯損傷の修復術の麻酔:
前腕橈側は筋皮神経の枝(前腕外側皮神経)が支配。手関節より末梢側まで支配していることがあるので、同部の手術時には筋皮神経をブロックしたほうが良い。(鎖骨下ブロックで外側神経束である)
・ちなみに正中神経(手のひらの第1指から薬指の橈側まで、と背側は第1指~4指の先端部分)は:外側、内側神経束が合流
・橈骨神経(母指球部と背側の手の皮膚環指半分まで):後神経束


@その他の雑駁な知識
・Le Fort I型骨折は上顎骨骨折
・Le Fort II型は上顎骨+眼窩底+鼻骨骨折 → 気道閉塞や複視
・Le Fort III型は上記+前頭蓋底 → 髄液漏、 気道確保問題に 
・舌の支配神経:
温痛触覚の前2/3は三叉神経、後1/3は舌咽神経
味覚の前2/3は顔面神経、後1/3は舌咽神経

2011年6月28日火曜日

(本) Books in the first half of 2011

文字を体と心のフィルターに淡々と通す日々。コンパクトな本が多いのは、読書をするのが主に電車の中で、持ち運びに便利だから。移動中に本や論文が読めるのは、自動車で移動しなくてもよいという、東京暮らしの利点の1つだと思う。

1. 最終講義 / 内田樹 / 2011年, 技術評論社

・頭がよく生まれついた人は、外国語の習得がとんと苦にならないという人は、その稀有な才能を使って、それがどんなふうに「みんなの役に立つか」を優先的に考えるべきだと僕は思います。僕が若い研究者たちの発表を聴いて、心の底の方が冷え冷えとする感じがしたのは、彼らが学術的な活動を通じて、公共的な利益をどう積み増しするかという関心がそこにほとんど感じられなかったからです(p45-6)
・医療と教育というのは、21世紀の「右肩下がりの日本」が、新たに産業を興すというかたちではなく、もともと日本人が具えているノウハウを最大限に発揮できるセクターなんです。でも、まさにこの医療と教育は、80-90年代において「医療崩壊」「教育崩壊」というかたちでメディアと政治家と産業界から集中砲火を浴びて、回復不能な傷を負った。・・・・(中略)日本のエスタブリッシュメントに哲学がなかった、ということがその理由であると言うにとどめておきます。(146)  

何のために勉強するのか?研究するのか?もやもやとして言葉にならなかった思いを、内田先生が言葉にしてくれている。第2章「日本の人文科学に明日はあるか」は人文科学だけでなく、全ての研究者・学ぶ人が一度は立ち止まって聴くに値する講演内容だと思う。文章に感銘を受けたのは、「回復不能な傷を負った」とされる医療と教育に、今の自分がたまたま居合わせているためだからかもしれない。一方は提供者として、一方は受ける者として。そんなことを感じた大学院3ヶ月目の終わり。

2. 決定版 ケンタロウ絶品!おかず / ケンタロウ / 主婦の友社
我が家の肉じゃがはこの本以降、これになった。簡単すぎで、美味すぎ。

3. 向上心 / サミュエル・スマイルズ著、竹内均訳 / 知的いきかた文庫
 結局は自分の人生は自分でしっかり決めないといけないんだよ、ということ。自分の不遇を誰かのせいにしてもいいけど、自分の心と体で生きていかなければいけないことを自覚するならば、それ相応の生き方を考えていかなきゃいけない。

4. 科学者という仕事―独創性はどのように生まれるか / 酒井邦嘉 / 中公新書

5. 看護研究で迷わないための超入門講座 / 西條剛央 / 医学書院

6. 哲学思考トレーニング / 伊勢田哲治 / ちくま新書
 批判的にものを考えるとはどういうことか、を分かりやすく教えてくれる本。メディアの情報を鵜呑みにしてしまったり(そんな人はいないか…)、Nの多い論文を鵜呑みにしてしまったり(そんな人もいないか・・・)、その他、人の話をたやすく信じてしまわないように。

7. 理性の限界 / 高橋昌一郎 / 講談社現代新書
 こんなに知らない言葉が乱舞する世界があるということで、自分のもつ知識が極めて限定的なことを再確認した1冊。難しいことが語られている筈なのであるが、読み物としても一気に読めるところが凄い。

8. つまらない人生入門<鬱屈大全> / 春日武彦、吉野朔実 / アスペクト
 なんでこれほどまでにいろんなことの描写が細やかなんだろう。

9. 心は孤独な数学者 / 藤原正彦 / 新潮文庫
 驚嘆するしかない。

10. 続・麻酔科臨床の書 / 内藤嘉之、吉田和則、井出雅洋 / MEDSi
 LiSAでの連載時から本当にお世話になったシリーズが書籍化。心臓外科麻酔始めた頃、こんな本があったらよかったなぁ、という一冊。勿論、今の私でも知らないことが多くて本当に勉強になる。感謝。

11. もっとよくわかる!免疫学 / 河本宏 / 羊土社

12. 絵ときシグナル伝達入門 第2版 / 服部成介 / 羊土社
「全く」訳の分からなかった世界が、訳の分からない世界くらいにはなった。恐らく今後もお世話になるんだろうなぁという一冊。

13. 麻酔科専門医認定筆記試験問題解説集 2005-2010年度(6冊) / 克誠堂出版
期間限定モノではありますが、怠惰な私は、こんな機会でもないと呼吸生理の勉強をしないと思う。

14. Pocket Anesthesia / Richard D. Urman / LWW
 当直にはこの本と「麻酔と救急のために」をお守り代わりに。second halfも手術室が平和でありますよう。

2010年11月4日木曜日

(麻) Tokushima (day 2), 口頭発表と「麻酔科エラーブック」

発表15分ほど前。「アスティとくしま」の会場にある書籍販売コーナーを物色していたら出会いました。
「麻酔科エラーブック」です。同シリーズ既刊の「ICUエラーブック」が面白かったので、中身もろくに吟味せずに購入してしまいました。
私はMEDSiの回し者ではありませんが、本書の内容は非常に秀逸です。700ページもあるので、とても一度には読みきれませんが、680-705頁の「ヒューマン・ファクター」の章だけでも7350円の価値はあります。

第174項目『先輩の話を聞こう:経験的エピソードは知識の宝庫』は先輩の話を聴かなくなってくる、私のような小生意気な「認定医以上専門医」の世代に有用な薬と言えます。(普段から先輩医師の言うことを素直に聴いて謙虚に学んでいる方には必要ないかも)
中でも、上記、第174項目内の692頁の表174-1「麻酔の臨床に関連する言い伝え」は白眉です。
・「自分の体に載せないようなものは、患者の上に載せない。」
・「術野の切迫を感じたときには立つこと」
なんて書いている教科書、私は今まで読んだことがありません。

この本をざっと読んだ印象ですと、対象は初期研修医というより、「周りにあまり麻酔の雑談をする相手がいない、市中病院の標榜医~専門医になりたて程度の麻酔科医」という気がします。本書の内容を知ることで「初期研修医が日ごろ思う、コレって何でこうやるの??、系」の質問に愛と勇気と自信をもって回答できるのではないでしょうか。
翻訳してくださった先生方に感謝の気持ちでいっぱいです。当分は私の愛読書になりそうです。

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そしてポスター発表をしました。6席の発表者のうちで私がトップバッターで皆さん元気だったからか、突っ込みどころ満載だったからなのかは不明ですが(恐らく後者)、3分の質疑応答時間内に5人も質問してくださいました。私の周りにはよく「誰からも質問されなきゃいいな~」とぼやく方がいらっしゃいますが、何も質問がない発表など、私には面白くもなんともありません(勿論回答を持ち合わせていない質問に直面したときの窮屈さはよくわかりますが)。それは発表する価値があるのでしょうか?
発表して質問がないときには、
・声が小さくて何を言っているかわからない
・内容が平凡すぎる
・内容が散漫で、どこに突っ込んでいいかわからない
・内容が聴衆の知識レベルに比して高尚すぎる
・内容に、聴衆の関心がない
などなどのうちのどれかが当てはまるのではないでしょうか。
会場の端っこでの発表だったので、ポスターへの日当たりは非常に悪かったですが、実りの多い時間になりました。聴衆の皆様のお陰で、発表内容を文章としてまとめるときのヒントをいっぱいいただきました。