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2018年6月27日水曜日

腹部手術では制限輸液とリベラル輸液で1年後死亡率に差がない

Paul S. Mylesらによる論文、6月号のNEJMで発表されていました。
Restrictive versus Liberal Fluid Therapy for Major Abdominal Surgery
N Engl J Med 2018; 378:2263-2274 DOI: 10.1056/NEJMoa1801601
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1801601

オーストラリアを中心とした国における腹部手術患者約3000人ほどを対象に、制限輸液(手術開始から24時間までで3.7リットル:interquartile rangeが2.9~4.9)かリベラル輸液(同6.1リットル:interquartile range 5.0~7.4)かで、前向きに1年後の死亡率を検討しています。死亡率は両群で差がありませんが、2次評価項目のAKIの発症率で8.6%対5.0%と有意差がついています(制限輸液群の方がAKI発症率が高い)。

エディトリアルもあります。
Editorial:Finding the Right Balance
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMe1805615

コペンハーゲン大学外科のBirgitte Brandstrup先生がエディトリアルの最後で以下のように書いています。

In addition, we learn that physiologic principles remain valid: both hypovolemia and oliguria must be recognized and treated with fluid. Finally, I agree with the authors’ statement that their findings should not be used to support excessive administration of intravenous fluid during surgery. Rather, they show that a modestly liberal fluid regimen is safer than a truly restrictive regimen.

なんでもほどほどがいいってことでしょうか。周術期の輸液療法においては、そのほどほどが難しいのですが。

ちなみにこの研究にエントリーされている患者さんに対するデンプン膠質液の投与率は両群ともせいぜい1%です。