このブログを検索

2014年2月11日火曜日

(音) シンフォニックメタル、トップランナーの矜持〜 WithinTemptation のHydra (2014年、Netherlands)


Sharon Den Adel(シャロン・デン・アデル)による美麗な歌唱と交響曲の如き華美なバックミュージックを骨の髄まで堪能できる贅沢極まりないオランダのシンフォニックメタルバンド、Within Temptation(ウィズイン・テンプテーション、以下WT)の6作目のフルアルバムが発表されました。

下の曲は4作目「The Heart of Everything」収録の「The Howling」。私がWTで1番好きなのは「The Truth Beneath the Rose」なのですが、貼るのに適当な動画がなかったのでこちらを。


同アルバム収録の「Hand of Sorrow」も良作です。下の動画は映像作品「Black Symphony」でオーケストラと共演した時のものですね。


似て非なるものを創るのって大変だと思います。同じものを創り続けると創り手も聴き手も飽きるだろうし、アルバムだって売れなくなるだろうしライブの動員数だって減る。アルバムっていう形態自体、もう過去の遺物みたいになりつつある…というか既になっていうのかもしれないけれど。
メタリカやアイアンメイデンのように過去の遺産だけで食べていけるバンドやアーティストってほんの一握りだろうし、WTはこのニッチなジャンル(シンフォニック・メタル、っていうジャンルね)ではもう大成功したアーティストの1つだろうけれど、もっともっとファンを増やさなきゃいけない、もっともっと売れてほしい。

シンフォニックメタル、ゴシックメタルというと、もう色んなスタイルが提示されてしまっていて、音楽的な新しい可能性が非常に限られてしまっていると思っていたし、私の中ではWTというバンドが作り出す音楽自体、前前作の「The Heart of Everything」で1つの頂点に到達してしまったと思っていたし、それによる方向転換?の前作「The Unforgiving」でのシンフォニック色の減退そしてロックへの曖昧な接近をかいま見てうーん微妙かも…と本作には、大した期待をしていなかったのですが(IronとA Demon's fateの2曲は未だによく聴きますが)、これはいい作品です。

1. Let Us Burn
2. Dangerous (feat. Howard Jones)
3. And We Run (feat. Xzibit)
4. Paradise (What About Us?) (feat. Tarja)
5. Edge Of The World
6. Silver Moonlight
7. Covered By Roses
8. Dog Days
9. Tell Me Why
10. Whole World Is Watching (feat. Dave Pirner)

頭の4曲が、4曲の曲順が悶絶。音楽性全然違うけれどArch Enemyの3作目「Burning Bridges」のThe Immortal ~ Dead Inside ~ Pilgrim ~ Silverwingの、あの流れみたい。

#1「Let Us Burn」の湿った歌メロ、大好き。シャロンの歌声がこれでもかって活かされてる。3:35-の流れとかもいい。シンプルながらパワフルな#2はライブで盛り上がりそう。公式動画が公開されているのでここに貼っておきます。


YouTubeで前々から聴いていた#4には、Tarjaが参加しているけどうーん微妙、と思っていたのにここに置かれるとぴったりはまって輝いてるのが不思議。まぁ歌姫2人が共演するとこうなるのか…次回があるのならば、もっと冒険してほしいなぁ。商業性ゼロのレクイエムみたいな曲を2人で歌っているところを聴いてみたい。
これも公式動画が公開されているので貼っておきます。


このアルバムで1番の良曲は#3の「And We Run」ですね。ふわふわと舞って天高く飛翔するシャロンの歌唱にラップが絡むと至高のものができるんですね。この曲でプロモーションビデオ作ればよかったのに。流石に、ラップに拒絶反応を示す(かもしれない?)保守的なファンからの批判を怖れたのかも。

頭4曲が素敵出来すぎる上に後半はしっとりな曲が多く、アルバムとしては若干物足りないですが、それは私のWTへの期待が高過ぎるからですね。もう少し聴き続けてみよう。

来日してくれないかなぁ。