iPadで2012年9月号が読めるのを待っていたのですが…これってもう無料お試し期間終了なんでしょうか?
大学の医局でも紙のBJAを購入してくださっているのですが、オンラインで早く読みたいので結局自腹で購読することにしました。金払ってるんだからちゃんと読むぞ~という自分へのプレッシャーも込めて。
まさか英語のジャーナルを自分で買う日が来るなんて思ってもみませんでした。
このブログを検索
2012年8月27日月曜日
2012年8月25日土曜日
(本) Work Shift (リンダ・グラットン著、池村千秋訳) 〜 多分僕は死ぬまでモラトリアムです〜
この本を読んで本当にそう思いました。ほぼ同時に読んだ森博嗣氏の「相田家のグッド・バイ」の影響もあるかもしれませんが。
この1週間、考えることが非常に多く、そしてそれは文字にすると陳腐すぎることばかりでブログに文字を入力する気も殆ど起こらず。まぁ、ブログとはそういうものといえばそういうものでしょう。書きたくない時に無理に書く必要なんか全くですし、誰かのレスポンスを期待するような方は他のSNSを使った情報交換の方が向いていると思います。
***
Facebookでも本書を紹介してしまったので、諄(くど)いと思われる方が私のブログを読んでくださっている方の中に何人かいるかも知れませんが、それでも本書を読んだことをここに記録する価値があると思うので書いてみたいと思います。
世の中2030年の原発ゼロに向けての議論が活発なようですが、この本では2025年には世界中の人々がどんな働き方をしているだろうか。それについての悲観的な側面、楽観的な側面双方からシミューレーションされています。単なる想像妄想でのシミューレーションではなく、いろんな統計や著者らがフィールドワークで様々な人から調査したことなどを基にしているようですのでそれなりに信憑性がある話になっています。それは著者自身が研究者であるからでしょう。大した分析や理論的根拠もなく自分の経験談から「これからの世の中はこうなるからこうすべきだ」という仕事論の本は世の中に本当にたくさん出まわっています。私はそういう本を立ち読みするたびに、自分の身の程もわきまえずげんなりして辟易するのです。げんなりする理由は「なぜこの著者は、この私より遥かに賢いはずなのにこんなことしか書けないんだろう」ということです。
しかし、本書はそういう本とは一線を画していると思います。著者自身がお金にまったく困っていないはずなのに、お金に困っていくだろう階層の人の2025年もリアルに分析的に予測しているところは本当に脱帽します。きっと著者のこの女性は、大脳皮質が非常に発達している上に、自分と違う意見が星の数ほど存在することを心から認識し、そしてその相違を心から受け入れている―そういう人なんだろうと僕は思います。
これからは人と人との繋がりが大事で、皆の集合知で様々な困難な問題を解決していく…そうだと思います。大脳をあまり使わなくてもいい仕事はどんどん人間から機械に置換される…そうでしょう。というかもう既に世の中そうなってます。僕が20代を過ごした2000年代を、僕の眼から観察した日本ですらそうでしたから。僕はこの著者が言うところのY世代です。
遊ばなければ高度な専門技能を磨けない。自分のやっていることに胸躍らせ、学習と訓練につきものの苦労を楽しみ、手ごわい課題に挑むことにやりがいを感じてはじめて、私たちは本当に高度な専門技能を習得できる。(p270)
麻酔科医でありながら、自分の仕事のあり方に疑問を持っている人は世の中に少なからずいると想像します。麻酔科医でなくても他の科を専門とする医師でも。
医師として何を極めるのがいいのか、という疑問は多くの若い医師が考えていると思いますが、そういうこと以前に数十年後の自分の生き方を考える。そのために本書は、少なくと2100円の価値はあると思います。私は英語の勉強したくて、ついつい原著も注文してしまいました。早く届かないかなぁ。
2012年8月18日土曜日
(雑) ウルトラミニマウス〜Logicool Cubeきた
FacebookでS先生がおすすめされていたので、それ以来気になっていたのですが、今日届きました。持ち運びに超便利で重宝しそうです。
iPhoneの右側の消しゴムみたいなヤツがそれです。マウスです。
左クリックと右クリック、上下画面スクロール、パワーポイントでスライドを進めたり戻したりすることができます。じっくり勉強したり調べ物したりするよりは、カフェなどでのちょっとした調べ物なんかで十分使えそうです。
(音) ローリング・ストーンズ事始め
これまでヘヴィメタルほぼ一辺倒だった(尤もメタルもまだまだ上には上が上がいるのですけど)ので、ロックがとても弱い私。
それを補強すべく、いや別に補強する必要もないだろ…とか思いつつも、時々近所のお店でCDをレンタルするのですが、いつも洋楽コーナーの片隅で気になっていたのがThe Rolling Stones。音楽興味ない人でもバンド名くらいは知っている人が多いはずの超有名バンド。
これまできちんと聴いたことなかったので、暇に任せて聴いてみることにしました。
んでもスタジオ・アルバムだけで20作品以上!いったい、どれ選んだらいいのやら…ということでロックを愛する麻酔科医のオススメに従いまして、下記3作品ゲットしました。
半ば変色した背表紙のCDに手を伸ばすと埃がパラパラ舞ってゲホゲホ咳き込んでしまいました。誰にも借りられずにじっと待ち続けていたんですね…。
こうしてみるとピンぼけじゃん…。
ということで和洋新旧問わず、あなたのオススメのアルバムがあれば教えてください。
このままだと今年聴いた260余の作品のベストアルバムが「ももいろクローバーZ」の「バトルアンドロマンス」(2011年)になってしまいます!
2012年8月15日水曜日
(雑) どこで勉強すると1番はかどるか??
誠にくだらなく、誰に向けての記載なのかまるで分かりませんが、書いてみたいと思います。
勉強する場としては、ぱっと思いつくだけで下記が選択肢としてあります。
1. 自宅
2. 職場(医局なり控え室の自分の机)
3. 図書館
4. 街の喫茶店やファーストフード店
5. 有料の自習室
6. その他の長時間滞在可能な商業施設
7. 移動の電車の中
8. 新幹線や飛行機の中
1. 自宅
これは一人暮らしか、伴侶がいるか、はたまた子どもがいるか、そして子どもがどれくらいの大きさなのかによって千差万別でしょう。一人暮らしであれば、周りにおいてあるものに時間を奪われなければ好きなだけ集中できると思います。羨ましいです。いや、本当に。嫌味では全くありません。
伴侶がいる人は伴侶の理解度によるでしょう。こちらが集中したくともそうさせてくれないことはままありそうです。況や子どもをや。両親と一緒に暮らしている方も少なからず注意力散漫になるでしょう。ましてや要介護の親御さんであれば家で集中して勉強するのは不可能かもしれません。
2. 職場(医局なり控え室の自分の机)
麻酔に入っていない時に、どれくらい集中できるか。周りの同僚先輩後輩とおしゃべりに興ずることなく集中できるか。または周りの人達にどれくらい「今話しかけて来ないでよオーラ」を出せるか、というところでしょうか。本人の努力というより、「どれくらい人にどう思われても気にしないでいられるか」だと思います。後は「あいついつも勉強してるよな」という言葉をどれくらい気にせずいられるか。
麻酔中に本や論文を読む人を見かけることがありますが、私には不可能です。せいぜい薬剤なんかのマニュアルを見る程度です。論文はとてもじゃないけど読めません。患者さんが命がけなのに論文なんか読んでていいのか?!という批判もどこからか聞こえてきそうですが、麻酔中に居眠りするのと論文熟読したり専門医試験の問題集開いたりするのとではどちらがいけないことなんでしょうか。
3. 図書館
街の図書館は意外と混んでいます。中高齢者が熱心に本を見ながらノートを取る姿をよくみかけます。勉強スペースがあっても仕切りがなかったり、席が少なかったりするので気が散って勉強できないかもしれません。また、パソコンのキーボードを打つ音が嫌がられる可能性(もしくは不可)が高く、ネットで何かを調べながら勉強するには不向きでしょう。大学病院勤務なら大学の図書館が使用可能なので、一番落ち着いて勉強できそうです。私はMacBook ProとiPadとWiFiルータとiPod classic等々をリュックいっぱいにして持ち込んで勉強して、図書館から出ようとしたところ、出口ゲートのアラームに引っかかったことがあります。それ以来、軽装で行く事にしています。
4. 街の喫茶店やファーストフード店
これは完全に客層によります。ノイズキャンセルヘッドホンや耳栓や爆音ヘヴィメタルで外界をシャットダウンできる人ならば、壁に向かって座れば1−2時間くらいは勉強可能です。小学生〜高校生が都会のファーストフード店には多くたむろしており視界の端のほうでチラチラと気を散らせてきますので、それが気にならなければ学会準備なんかも結構はかどります。但し、分煙の店で禁煙席に座っても多くの場合服やアタマにタバコの匂いがつきます。そうすると「ちょっとどこ行ってきたの?!」と妻にお咎めを受けることもあるでしょう。
5. 有料の自習室
東京に来てからそういうものがあることを知り、1度だけ使用してみました。東京に限らず大きな都市にはこのような商業施設があり、社会人の資格試験取得者向けに需要があるようです。ですが高いです。私が使用したところでは630yen/hでした。5時間やると3150yenです。105円の文庫本なら30冊買えてしまいます。なんで勉強するのにお金を払わなきゃならないんだ、というのが正直なところですし、1−2時間くらいならスターバックスとかの方が美味しいコーヒーが付く分お得です。ただし静かで清潔ですので、気合を入れてやるにはおすすめなのかもしれません。お金かけた分やるぞ~という貧乏根性があれば頑張れそうです。
6. その他の長時間滞在可能な商業施設
ぱっと思いつくのはカラオケです。ただしカラオケを使用する場合は室内の明るさがどれくらいなのかに注意する必要があります。私は昨年、専門医試験前日に早めに神戸入りしてしまったので、ホテルチェックインまでの時間を使って勉強しようとカラオケに入ったのですが、その部屋があまりに暗くて勉強になりませんでした。すぐ部屋を出ればよかったのでしょうが、数時間熱唱してしまいました。
もう1つ挙げられるのはマンガ喫茶です。ただしこちらも室内の明るさが問題になりますので、そこがクリアできれば、ですが。漫画の魅力に打ち勝つ精神力があればそもそもどこでも勉強できそうですので、そういう方はわざわざマンガ喫茶に行く必要はないかもしれません。また、マンガ喫茶は勉強するためのテーブルというか机というか、スペースが広いところはあまり無いように感じます。マンガ喫茶備え付けのデスクトップパソコンにOfficeが入っていることはありますが、医学用語の変換に時間がかかりすぎるため思わず「Google日本語入力」をダウンロードしたくなります。ということでマンガ喫茶に滞在中、その欲望に抗する気持ちでいっぱいのため、やりたい学習作業は全く捗りません。なのでマンガ喫茶に行く事はだいぶ前にやめました。
7. 移動の電車の中
これはインプットにほぼ限られるでしょう。私は無理ですが、得意な人は得意なようです。英語の論文を公共交通機関で移動中に読むだけでも気持ち悪くなる事が多い私は読書や耳英会話かヘヴィメタルかクラシック鑑賞か睡眠に当ててます。膝の上にノートパソコン置いて一心不乱にキーボードを打つビジネスパーソンを時々見かけますがあれは何をしていらっしゃるんでしょうか?iPadで論文読むという選択肢もありますが、あれはあれで結構重いので、眠い時には重くて落っことしそうになります。
車で移動される方はオーディオブックとかPodcast、iTunes U、各種動画などによる学習になるんでしょうかね。
8. 新幹線や飛行機の中
ネット環境がいまいちなので、ウェブで調べ物をしなくて済む勉強なら捗ります。勿論周りに座っている人が静かでマナーある人ならば、ですが。一度長距離旅行中に新幹線内学習を試みましたが、後ろに座っていた高校生くらいの男の子が「ねぇ、この席に座ってたらまずいんじゃないお母さん。他の席に移ろうよ〜」と1時間以上母君に訴えていたのが気になって全く捗りませんでした。
・・・
ということでいろいろあげてみましたが、大学なりの図書館、もしくは邪魔が入らない医局の机が一番集中できそうです。勉強することが割と習慣化している(尤もそれが仕事とも言えますが)医師は勉強しやすい環境があって、他職種のビジネスパーソンよりも恵まれているのかもしれません。もし皆さんのおすすめ勉強場所があったら是非教えて下さい。お願いします。
あと必要なのは、勿論やる気ですよね…。
***
最近、本も気が散って読めないです。三島由紀夫の「金閣寺」にも人生初挑戦してみたのですが100頁ちょっとで頓挫しました。ということで別の本から。
***
勉強する場としては、ぱっと思いつくだけで下記が選択肢としてあります。
1. 自宅
2. 職場(医局なり控え室の自分の机)
3. 図書館
4. 街の喫茶店やファーストフード店
5. 有料の自習室
6. その他の長時間滞在可能な商業施設
7. 移動の電車の中
8. 新幹線や飛行機の中
1. 自宅
これは一人暮らしか、伴侶がいるか、はたまた子どもがいるか、そして子どもがどれくらいの大きさなのかによって千差万別でしょう。一人暮らしであれば、周りにおいてあるものに時間を奪われなければ好きなだけ集中できると思います。羨ましいです。いや、本当に。嫌味では全くありません。
伴侶がいる人は伴侶の理解度によるでしょう。こちらが集中したくともそうさせてくれないことはままありそうです。況や子どもをや。両親と一緒に暮らしている方も少なからず注意力散漫になるでしょう。ましてや要介護の親御さんであれば家で集中して勉強するのは不可能かもしれません。
2. 職場(医局なり控え室の自分の机)
麻酔に入っていない時に、どれくらい集中できるか。周りの同僚先輩後輩とおしゃべりに興ずることなく集中できるか。または周りの人達にどれくらい「今話しかけて来ないでよオーラ」を出せるか、というところでしょうか。本人の努力というより、「どれくらい人にどう思われても気にしないでいられるか」だと思います。後は「あいついつも勉強してるよな」という言葉をどれくらい気にせずいられるか。
麻酔中に本や論文を読む人を見かけることがありますが、私には不可能です。せいぜい薬剤なんかのマニュアルを見る程度です。論文はとてもじゃないけど読めません。患者さんが命がけなのに論文なんか読んでていいのか?!という批判もどこからか聞こえてきそうですが、麻酔中に居眠りするのと論文熟読したり専門医試験の問題集開いたりするのとではどちらがいけないことなんでしょうか。
3. 図書館
街の図書館は意外と混んでいます。中高齢者が熱心に本を見ながらノートを取る姿をよくみかけます。勉強スペースがあっても仕切りがなかったり、席が少なかったりするので気が散って勉強できないかもしれません。また、パソコンのキーボードを打つ音が嫌がられる可能性(もしくは不可)が高く、ネットで何かを調べながら勉強するには不向きでしょう。大学病院勤務なら大学の図書館が使用可能なので、一番落ち着いて勉強できそうです。私はMacBook ProとiPadとWiFiルータとiPod classic等々をリュックいっぱいにして持ち込んで勉強して、図書館から出ようとしたところ、出口ゲートのアラームに引っかかったことがあります。それ以来、軽装で行く事にしています。
4. 街の喫茶店やファーストフード店
これは完全に客層によります。ノイズキャンセルヘッドホンや耳栓や爆音ヘヴィメタルで外界をシャットダウンできる人ならば、壁に向かって座れば1−2時間くらいは勉強可能です。小学生〜高校生が都会のファーストフード店には多くたむろしており視界の端のほうでチラチラと気を散らせてきますので、それが気にならなければ学会準備なんかも結構はかどります。但し、分煙の店で禁煙席に座っても多くの場合服やアタマにタバコの匂いがつきます。そうすると「ちょっとどこ行ってきたの?!」と妻にお咎めを受けることもあるでしょう。
5. 有料の自習室
東京に来てからそういうものがあることを知り、1度だけ使用してみました。東京に限らず大きな都市にはこのような商業施設があり、社会人の資格試験取得者向けに需要があるようです。ですが高いです。私が使用したところでは630yen/hでした。5時間やると3150yenです。105円の文庫本なら30冊買えてしまいます。なんで勉強するのにお金を払わなきゃならないんだ、というのが正直なところですし、1−2時間くらいならスターバックスとかの方が美味しいコーヒーが付く分お得です。ただし静かで清潔ですので、気合を入れてやるにはおすすめなのかもしれません。お金かけた分やるぞ~という貧乏根性があれば頑張れそうです。
6. その他の長時間滞在可能な商業施設
ぱっと思いつくのはカラオケです。ただしカラオケを使用する場合は室内の明るさがどれくらいなのかに注意する必要があります。私は昨年、専門医試験前日に早めに神戸入りしてしまったので、ホテルチェックインまでの時間を使って勉強しようとカラオケに入ったのですが、その部屋があまりに暗くて勉強になりませんでした。すぐ部屋を出ればよかったのでしょうが、数時間熱唱してしまいました。
もう1つ挙げられるのはマンガ喫茶です。ただしこちらも室内の明るさが問題になりますので、そこがクリアできれば、ですが。漫画の魅力に打ち勝つ精神力があればそもそもどこでも勉強できそうですので、そういう方はわざわざマンガ喫茶に行く必要はないかもしれません。また、マンガ喫茶は勉強するためのテーブルというか机というか、スペースが広いところはあまり無いように感じます。マンガ喫茶備え付けのデスクトップパソコンにOfficeが入っていることはありますが、医学用語の変換に時間がかかりすぎるため思わず「Google日本語入力」をダウンロードしたくなります。ということでマンガ喫茶に滞在中、その欲望に抗する気持ちでいっぱいのため、やりたい学習作業は全く捗りません。なのでマンガ喫茶に行く事はだいぶ前にやめました。
7. 移動の電車の中
これはインプットにほぼ限られるでしょう。私は無理ですが、得意な人は得意なようです。英語の論文を公共交通機関で移動中に読むだけでも気持ち悪くなる事が多い私は読書や耳英会話かヘヴィメタルかクラシック鑑賞か睡眠に当ててます。膝の上にノートパソコン置いて一心不乱にキーボードを打つビジネスパーソンを時々見かけますがあれは何をしていらっしゃるんでしょうか?iPadで論文読むという選択肢もありますが、あれはあれで結構重いので、眠い時には重くて落っことしそうになります。
車で移動される方はオーディオブックとかPodcast、iTunes U、各種動画などによる学習になるんでしょうかね。
8. 新幹線や飛行機の中
ネット環境がいまいちなので、ウェブで調べ物をしなくて済む勉強なら捗ります。勿論周りに座っている人が静かでマナーある人ならば、ですが。一度長距離旅行中に新幹線内学習を試みましたが、後ろに座っていた高校生くらいの男の子が「ねぇ、この席に座ってたらまずいんじゃないお母さん。他の席に移ろうよ〜」と1時間以上母君に訴えていたのが気になって全く捗りませんでした。
・・・
ということでいろいろあげてみましたが、大学なりの図書館、もしくは邪魔が入らない医局の机が一番集中できそうです。勉強することが割と習慣化している(尤もそれが仕事とも言えますが)医師は勉強しやすい環境があって、他職種のビジネスパーソンよりも恵まれているのかもしれません。もし皆さんのおすすめ勉強場所があったら是非教えて下さい。お願いします。
あと必要なのは、勿論やる気ですよね…。
***
最近、本も気が散って読めないです。三島由紀夫の「金閣寺」にも人生初挑戦してみたのですが100頁ちょっとで頓挫しました。ということで別の本から。
***
おまえの一番大切なことは何かと聞かれると、人によって、誠実であることが重要だとか、愛情が重要だとか、一人一人言い方が違うと言っていいくらいです。たしかにそれはどれもみんな重要でしょう。
でも、自分にとって真に重要なことは何なんだと突きつけられたなら、僕ならこう答えるでしょう。その時代時代で、みんなが重要だと思っていることを少し自分のほうに引き寄せてみたときに、自分に足りないものがあって行き得なかったり、行こうと思えば行けるのに気持ちがどうしても乗らなかったりする、その理由を考えてみることだ、と。(真贋―吉本隆明、講談社文庫、p209-10)
***
今回本書を通読した中では、この言葉だけが、何となく私の心に引っかかりました。また別のときに読めば別の言葉が引っかかるのかもしれません。
自分の心がどちらの方向に向かっているのかを客観的にみるのは、ときにとても難しいです。いや、ほとんど常に難しいです。何故なら自分が自分の心の状態を判定する時に基準となるものは、自分が経験したこと―それは本から得たものや人から聞いたうわさ話、患者さんの過去のカルテから推測できる人生なども含めますが―しかないからです。だから客観的に判定するなんてことはそもそも不可能なのでしょう。
ですが主観的に、その時に自分の心身を支配する感情に、どっぷりと浸かってしまうのが良いのか悪いのか。その判断に迷う時があります。
今がその良いときなのか、悪いときなのか。
それは後方視的にしか分からないような気がしますが、どっぷりと浸かることに抵抗する自分の心を客観的に見ようとする自分が、その自分が自分の中にいることに気づいていられるのは良いことなのかもしれません。
2012年8月11日土曜日
(麻) anesthetic management for pneumonectomy - 肺全摘術の麻酔管理メモ
肺全摘術の麻酔についてです。
意外と情報が得られなかったので、次に担当するときに右往左往しないよう、そして今回の管理よりも向上できるよう、ここにメモ書きを残しておきます。
引用文献はCurrent Opinion in Anaesthesiology 2009, 22:31-37の「Update on anesthetic management for pneumonectomy」です。今の状況にあわない箇所もあるかもしれません。もし記載に大きな間違いがあったり、こうした方がもっと良いです、というのがあれば是非と教えて下さい。よろしくお願いいたします。
***
・30日以内死亡率5−13%(術後ALIは4%)
@術前検査:大きく分けて以下の3つが大事
1. lung mechanical function: FEV1 (ppo>40%)
2. cardiopulmonary reserve: VO2 max (>15ml/kg/min)、階段2階以上、6分間歩行SpO2<4%
3. pulmonary parenchymal function: DLCO (ppo>40%)、PaO2>60, PaCO2<45
*ppoFEV1%が…
注:この値は術前FEV1% × (1-%functional lung tissue removed/100) から求める
・>40%なら患者の諸々の状態良ければ手術室抜管、
・30-40%なら抜管考慮(運動耐容能、DLCO、V/Q scan、併存合併症などを考慮して)
・<30%ならゆっくり時間かけて抜管
@手術:後側方切開が標準。血管処置後に主気管支を切離。分泌物が貯留しないようになるべく中枢で切離する。air leak test後閉胸。ドレーンの陰圧を通常の葉切除術と同様に設定して行うと、縦隔が偏移して循環虚脱が起きる可能性がある。
@麻酔
・禁忌なければ硬膜外併用。
・輸血を考慮し大口径末梢ライン。もしくはCVC。
・動脈圧ライン
・肺全摘術後は右心室の後負荷が上昇(PAP↑、PVR↑)し、右室機能低下を起こすので注意
・分離肺換気:二腔換気用チューブ(DLT)でもブロッカーでも可能。左肺全摘なら右用DLTを使う。もしくは左用DLTないし左主気管支に気管支ブロッカーを入れて気管支切離直前に適切な位置に引くことでも管理可能。術前に相談しておく。
・輸液管理:24時間以内に3L以上の輸液投与で急性肺傷害の独立危険因子(Anesth Analg 2003; 97:1558-1565)。腎機能維持を考慮しつつ制限的輸液戦略がよいようである。
・そのため、血行動態維持、酸素供給維持のために昇圧薬併用を考慮
1. 輸液バランス20ml/kgを超えない
2. 初めの24時間で3Lを超える晶質液投与をしない
3. いわゆるthird space lossの補充は術中に行わない
4. 尿量0.5ml/kg/hは必要ない
5. 術後に組織血液灌流をを上げたいならば、輸液を負荷するよりも侵襲的モニター(注:PACとか?)を参考しつつ、昇圧薬を使用するのが好ましい。
・片肺換気中の呼吸器設定
一回換気量5-6ml/kg, PEEP5cmH2O, 最高気道内圧<35cmH2O, プラトー圧<25cmH2O
*稀だが閉胸後(直後、<24h)の心ヘルニアに注意。死亡率>50%。心膜が開いていると起こる可能性あり…CVP上昇、頻脈、低血圧、で気づく。発症したら緊急手術が必要。鑑別診断は血胸、肺塞栓、不適切な胸腔ドレーンによる縦隔偏位
意外と情報が得られなかったので、次に担当するときに右往左往しないよう、そして今回の管理よりも向上できるよう、ここにメモ書きを残しておきます。
引用文献はCurrent Opinion in Anaesthesiology 2009, 22:31-37の「Update on anesthetic management for pneumonectomy」です。今の状況にあわない箇所もあるかもしれません。もし記載に大きな間違いがあったり、こうした方がもっと良いです、というのがあれば是非と教えて下さい。よろしくお願いいたします。
***
・30日以内死亡率5−13%(術後ALIは4%)
@術前検査:大きく分けて以下の3つが大事
1. lung mechanical function: FEV1 (ppo>40%)
2. cardiopulmonary reserve: VO2 max (>15ml/kg/min)、階段2階以上、6分間歩行SpO2<4%
3. pulmonary parenchymal function: DLCO (ppo>40%)、PaO2>60, PaCO2<45
*ppoFEV1%が…
注:この値は術前FEV1% × (1-%functional lung tissue removed/100) から求める
・>40%なら患者の諸々の状態良ければ手術室抜管、
・30-40%なら抜管考慮(運動耐容能、DLCO、V/Q scan、併存合併症などを考慮して)
・<30%ならゆっくり時間かけて抜管
@手術:後側方切開が標準。血管処置後に主気管支を切離。分泌物が貯留しないようになるべく中枢で切離する。air leak test後閉胸。ドレーンの陰圧を通常の葉切除術と同様に設定して行うと、縦隔が偏移して循環虚脱が起きる可能性がある。
@麻酔
・禁忌なければ硬膜外併用。
・輸血を考慮し大口径末梢ライン。もしくはCVC。
・動脈圧ライン
・肺全摘術後は右心室の後負荷が上昇(PAP↑、PVR↑)し、右室機能低下を起こすので注意
・分離肺換気:二腔換気用チューブ(DLT)でもブロッカーでも可能。左肺全摘なら右用DLTを使う。もしくは左用DLTないし左主気管支に気管支ブロッカーを入れて気管支切離直前に適切な位置に引くことでも管理可能。術前に相談しておく。
・輸液管理:24時間以内に3L以上の輸液投与で急性肺傷害の独立危険因子(Anesth Analg 2003; 97:1558-1565)。腎機能維持を考慮しつつ制限的輸液戦略がよいようである。
・そのため、血行動態維持、酸素供給維持のために昇圧薬併用を考慮
1. 輸液バランス20ml/kgを超えない
2. 初めの24時間で3Lを超える晶質液投与をしない
3. いわゆるthird space lossの補充は術中に行わない
4. 尿量0.5ml/kg/hは必要ない
5. 術後に組織血液灌流をを上げたいならば、輸液を負荷するよりも侵襲的モニター(注:PACとか?)を参考しつつ、昇圧薬を使用するのが好ましい。
・片肺換気中の呼吸器設定
一回換気量5-6ml/kg, PEEP5cmH2O, 最高気道内圧<35cmH2O, プラトー圧<25cmH2O
*稀だが閉胸後(直後、<24h)の心ヘルニアに注意。死亡率>50%。心膜が開いていると起こる可能性あり…CVP上昇、頻脈、低血圧、で気づく。発症したら緊急手術が必要。鑑別診断は血胸、肺塞栓、不適切な胸腔ドレーンによる縦隔偏位
2012年8月7日火曜日
(麻) 久しぶりに経食道心エコーの本の紹介
最近、TEEはご無沙汰なので、ちょっと復習しようと思って買いました。8月号のBritish Journal of Anaesthesiaで紹介されていました。Amazonで5000円ちょっと。200ページちょっとで小さめサイズ。それほど重くないです。
Amazonで中身見られますので、興味が有る方は見ていただきたいのですが、カラフルな図が沢山掲載されており、診断やJB-POTで覚えるべき公式やら数値もふんだんにつめ込まれております。これが日本語だったらさぞかし売れるだろうな…という本です。あるいは既にどなたか翻訳中でしょうか?
おすすめです。
2012年8月6日月曜日
(麻) 当科のホームページがリニューアルされました
いろいろあってブログの更新が滞っていました。もう8月ですか。この1ヶ月、毎日のように5:00 ± 0:10に起床してしまいます。早起きで勤勉な人間だからではなく、毎晩熱帯夜だからです。
http://www.tmd.ac.jp/med/mane/mane-J.html
リンク先にもありますが、来月9月1日に医局説明会を行いますので、興味のある方は是非リンク先の医局長のメールアドレスまでご連絡下さい。初期臨床研修修了後の麻酔研修の相談は勿論、それ以上に経験を積まれた先生方もぜひお越しください。
なんていう宣伝はさておき、食べて飲んで話をするだけで楽しい筈ですので、それだけでよいですね。
***
最近読んでいる本から。
構造と診断 ゼロからの診断学(医学書院)
愚鈍、バカ、アホ。どんな言葉を使ってもよいけれど、ここでぼくの言う愚鈍という言葉はしたがって、知識の多寡をもって判断される基準ではない。百科事典的な博覧強記を誇っていてもバカ、ということはあるものなのだ。問題なのは知識の多寡ではない。自分が何を知っていて、そして何を知らないか。その分水嶺を見据えることができるか、が、その基準である。自分が知らないこと。それを教えてくれるのは他者だけである。他者の言葉や振る舞いだけが、自分の知らない地平を教えてくれる。だから、他人の言葉に一切耳を貸さない頑迷な性格の持ち主は自然「バカ」ということになる。性格と知性は案外、相関しているのである。換言すれば、バカとは他人の言葉に耳を貸そうとしない者のこと、と言い切ってもそんなに間違ってはいないだろう。(p28)
というような感じで、すいすい読めます。
***
塩野七生『ローマ人の物語』スペシャル・ガイドブック (新潮文庫)
***
当科のホームページです。最近、Y先生が新しくしてくださいました。http://www.tmd.ac.jp/med/mane/mane-J.html
リンク先にもありますが、来月9月1日に医局説明会を行いますので、興味のある方は是非リンク先の医局長のメールアドレスまでご連絡下さい。初期臨床研修修了後の麻酔研修の相談は勿論、それ以上に経験を積まれた先生方もぜひお越しください。
なんていう宣伝はさておき、食べて飲んで話をするだけで楽しい筈ですので、それだけでよいですね。
***
構造と診断 ゼロからの診断学(医学書院)
愚鈍、バカ、アホ。どんな言葉を使ってもよいけれど、ここでぼくの言う愚鈍という言葉はしたがって、知識の多寡をもって判断される基準ではない。百科事典的な博覧強記を誇っていてもバカ、ということはあるものなのだ。問題なのは知識の多寡ではない。自分が何を知っていて、そして何を知らないか。その分水嶺を見据えることができるか、が、その基準である。自分が知らないこと。それを教えてくれるのは他者だけである。他者の言葉や振る舞いだけが、自分の知らない地平を教えてくれる。だから、他人の言葉に一切耳を貸さない頑迷な性格の持ち主は自然「バカ」ということになる。性格と知性は案外、相関しているのである。換言すれば、バカとは他人の言葉に耳を貸そうとしない者のこと、と言い切ってもそんなに間違ってはいないだろう。(p28)
というような感じで、すいすい読めます。
***
塩野七生『ローマ人の物語』スペシャル・ガイドブック (新潮文庫)
いつも本屋に行くたびに見かけていたんですが、「ローマ人の物語」シリーズってず〜っと小説だと思っていました。全43巻も読めないよ…と思っていたので、本書を当直明けの駅の本屋で購入。写真がいっぱいで楽しい。読むというより眺めてるだけで大満足の1冊。
そして遂に全43巻のうち、第29−31巻に手を出しました。マルクス・アウレリウスが登場する箇所です。ということで29巻から読み始めましたが、全く問題ありませんでした。なんだ、もっと早く気付いてればなぁ。
2012年7月30日月曜日
(音) 昨日聴いた楽曲〜スメタナとブラームス
昨日のことですが、当科の先生も2人参加されているオーケストラのコンサートを聴きに行ってきました(曲目は下記。スメタナが先に演奏されました)。西洋芸術音楽のコンサートに行くと、大体毎回中途中途で数秒ほどの意識消失を起こすことがある私ですが、こんなこと初めてかも…ってくらい全編覚醒してました。多分13年前に聴いたヴェルディのレクイエム以来です。この分野の音楽については素人ですので批評は差し控えますが、忙しい麻酔の合間にいつの間に練習してたんだってくらいの完成度であるように感じました。
「わが祖国」は第4曲の「ボヘミアの森と草原から」が一番好きなので、それがなかったのは残念でしたが。
夏バテ気味ですが、素晴らしいものを体験させていただきました。西洋芸術音楽もこういう風に、楽しめた時の感情を大事にして、これから先も楽しんでいければいいかなぁ。
感謝です。
「わが祖国」は第4曲の「ボヘミアの森と草原から」が一番好きなので、それがなかったのは残念でしたが。
夏バテ気味ですが、素晴らしいものを体験させていただきました。西洋芸術音楽もこういう風に、楽しめた時の感情を大事にして、これから先も楽しんでいければいいかなぁ。
感謝です。
2012年7月28日土曜日
(本) 街場の文体論 - 内田樹 (2012年、ミシマ社) ~ 今年1番熱心に読んだ1冊です
氏の著作を読むのは久しぶりです。「最終講義」以来です。本書は地味な装丁ながら、いやむしろその地味な装丁故に本屋で目に止まり、買って読むことにしました。麻酔の日当直にいく90分の電車の中と、予定手術終了後緊急手術麻酔の連絡でPHSで呼ばれる前までと、緊急手術後に少し転寝(うたたね)した後と、家に帰る電車の中と、お昼ご飯を食べて研究室に細胞の培地交換に行く前迄で読み終えました。この間、他の本を全く読みませんでした。最近の私にはとても珍しいことです。ある本をどのくらいの時間をかけて、そしてどこで読んだかという情報は、人さまにとってはどうでもよいことだと想像しますが、私はこの本に出会えたことにとても感謝しているのでこのように記します。
本書は「言葉にとって愛とは何か?」と帯に書かれている通り、それを様々な形にして伝えようとしている本です。全14講の講義録に加筆したものですが、最後の第14講。私は感動してしまいました。
私は氏の著作を読むのは本書で27冊目です。本書にはこれまでの著作で語られた言葉もそれなりにあります。ですがそれらも「あぁ、またおんなじこと言ってるよ」と食傷気味な感触を読者に覚えさせるのではなく、なぜか本書の中では有機的に機能している気がします。それは恐らく、本書におさめられる元となった講義が、本当に氏が、魂を震わせて、目の前の学生たちに伝えたかったことだったからなのではないか。そう思います。
以下、後々自分が読みたい文章なのでここに引用させていただきます。
***
自分が何を知らないか、何ができないのかを正確に言語化し、自分に欠けている知識や技能や情報を有している人を探し出して、その人から教えを受ける。「知りません。教えてください。お願いします」。学びという営みを構成しているのは、ぎりぎりまで削ぎ落として言えば、この三つのセンテンスに集約されます。自分の無能の自覚、「メンター」を探り当てる力、「メンター」を「教える気」にさせる礼儀正しさ。その三つが整っていれば、人間は成長できる。一つでも欠けていれば、成長できない。社会的上昇も同じです。学ぶ機会をシステマティックに退ける人に階層上昇のチャンスは訪れません。「オレは知っている」「オレはできる」「オレは誰にもものを頼まない」「オレは誰にも頭を下げない」ということを生き方の規律にしている人はそうすることによって階層下位に自分を呪縛しているのです。階層社会の怖いところは、そういう「学ばない」構えが階層下位に向けてのみ選択的に勧奨されていることです。(p128)
この言葉づかいはそれ自体が階層形式的に機能しているんです。「これむずかしくて、意味わからない」という読者は「パーティに呼ばれていない」ということなんです。あなたがたは自分たちの仲間うちのパーティで楽しみたまえ。ここは君の来るところじゃないよ、って。バルトにしてもフーコーにしてもデリダにしてもラカンにしても、「なんで皆さんはこんなにむずかしく書くんですか?」と訊かれたら、さぞびっくりすると思いますよ。「あれがむずかしいと思うなら、君は読者に想定されていないということなんだから、読まなくていいよ」って。
そう言われると反論のしようがない。でも、そう言われると、僕は腹が立つわけですよ。なんだよ、って。こっちは一億三〇〇〇万の同胞のためにできるだけ質の高い学術情報をお届けしようと必死になっている「輸入業者」なんですからね。(p158-9)
額縁を見落とした人は世界をまるごと見誤る可能性があるということです。(p163)
今の日本では出産も育児も、親の社会的活動に大きな障りとなります。育児負担は経済的にも重いし、就業形態も制約されるし、自由時間もなくなる。独身者との競争では、あきらかなハンディを背負う。
出産育児はさまざまな発見をもたらし、親の人間的成熟に資する「愉快な経験」であるということをアナウンスする人はきわめて少数派です。とりあえず政府は言わない。出産育児を行政が支援するというのは、「さぞお困りでしょう」ということが前提になっている。子育てをしている人たちには「たいへん不愉快なことを受忍していただいている」ということが前提になっている。
幼児虐待の悲惨な事例がしばしば報道されますけど、あれだけ子どもを残酷に扱えるのは、加害者たちが異常に暴力的であったからというよりはむしろ、「子どもというのは親にとって『不愉快なもの』である」という考えがこの親たちに刷り込まれていたからだと思います。(p188)
僕たちにできるのは、せいぜい自分の思考も感覚も、すべて一種の民族誌的偏見としてかたちづくられているという「病識」を持つことだけです。それしかできない。でも、それができたら上等だと僕は思います。(p259)
そのために有効な方法が一つ知られています。それは母語の古典を浴びるように読むということです。古代から現代に至るすべての時代の、「母語で書かれた傑作」と評価された作品を、片っ端から、浴びるように読む。身体化するというのは理屈じゃありません。ただ、浴びるように読むだけです。それが自分の肉体に食い込んでくるまで読む。
身体化した定型は強い。危険だけれど、強い。というのは、母語の正則的な統辞法や修辞法や韻律の美しさや論理の鮮やかさを深く十分に内面化できた人にはどのような破格も許されるからです。(p262)
受験勉強の勝者になるということを知的達成のモデルに擬した人は、いつのまにか、自分以外のすべての人ができるだけ愚鈍かつ怠惰であることを無意識のうちに願うようになる。学会での論争を見ていると、それが集団的な知のレベルを上げるためになされているのか、目の前にいる人の知性の活動を停滞させるためになされているのか、わからなくなるときがあります。論争相手を怒鳴りつけたり、脅したり、冷笑したりする人は、彼らを含む集団の集合的な知性を高めることをほんとうにめざしているのか。(p270-1)
フランス語のテクストが読めて訳せるというのは、メカに強いとか、料理がうまいとか、音感がいいとか、そういう種類の能力と同じものだと思います。だから、その能力を備えていない人の役にたちたいと思った。料理の上手な人が、美味しいご飯を作ってさしだすことを誰も「啓蒙」とは言わないでしょう。(p274)
***
比較的重症な状態にある患者さんの麻酔を担当しました。患者さんの家族からしてみたら外科医・麻酔科医から怖い話を唐突にされるわけです。昨日まで元気だった家族が、なぜか今日は「死ぬかもしれません」(と私たち医師はオブラートに包んで「命にかかわることがあります」とかなんとか言うわけですが)という状態になっている。これは何だか悪い夢なんじゃないか。なんでこんな目にあわないといけないんだろう。きっともっともっと負の感情で押しつぶされそうになっているはずです。患者さんや患者さんの家族からしてみたら。
そして突然死ぬかもしれませんと冷酷なことを告げに来る医療者に対して「先生方にお任せいたします」と言ってくださるわけです。きっとその心のなかには「本当に目の前のこの人間を信頼していいんだろうか」とか「私が手術や麻酔ができるなら、こんな目の前の何処の馬の骨ともわからない奴に頼むもんか」とかの感情が渦巻いているわけです。
そんな方々を目の前にして私ができることは、自分の良心にしたがって、私が最善と思えることを精一杯やることだけです。そういうふうにしか、私は私のもっている、私が学んできたものを社会に還元できないのです。
でも、きっと恐らく、私の今現在の限られた経験と想像力で書きますが、皆さんそうやって自分の得意とするもので、自分の置かれた場所で生きているはずです。私も自分が得てきたもの、これから得るだろうもの(それは今はわからないですが)、そういったもので社会のお役に立てればいいと思います。
と書くと綺麗事いってんじゃねぇよ、って怒られそうですが、でもやっぱり自分がそうするのが気持ち良いからそうやるわけです。きっと。
なんてことを、おそらく著者の意図しないところで勝手に思わせて下さった1冊でした。感謝です。
興味がある方がいらっしゃいましたら下のリンクから、もしくは書店でどうぞ。
登録:
投稿 (Atom)
