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2012年3月11日日曜日

(雑) 今年度の生活ざっと振り返ってみた ~麻酔を中心に

まだ3週間ありますが、今年度も終わりです。学生の頃は毎年1学年上がるので、妙に緊張したものでしたが、働き始めるとそういった感覚はなくなります。目標も誰かにセットしてもらうことはなく、なんとなく自分で設定します。そんな生活が始まってもうすぐ8年目。あっという間に時間ばかりが過ぎていきますが、学生の頃に戻りたいと思うことがないっていうのは素晴らしいことなのかも。

およそ費やした時間配分
実験38%、睡眠25%、麻酔17%、それ以外の食う、読む、遊ぶ、走るなど:20%
大風邪を引いた回数:2回

@今年度の麻酔症例まとめ
最年少:1歳7ヶ月
最高齢:93歳
最短手術時間:5分
最長手術時間:9時間50分
最短麻酔時間:38分
最長麻酔時間:11時間6分
一日最高麻酔症例数:6症例
ハイリスク:抗凝固療法中の急性硬膜下血腫、uAPで胸痛ありの非心臓手術、その他何件か
 緊急手術の麻酔率:32%
脊麻入らなかった率:4.3%
硬麻入らなかった率:0%
研修医の先生と一緒に担当した率:39.8%
主なポンピング症例
 1:RCC 10u, FFP 8u
 2:RCC 14u, FFP 15u, PC40u
 3:RCC 20u, FFP 14u, PC10u
夜間の緊急手術で夜一睡も出来なかった率:15%


こうして列挙して振り返ってみると、麻酔科医としては一番平和な1年だったんだなぁ、と思います。一人当直でオンコールなし、という状態は今年度が人生初でしたが、まぁ何とかなりました。頼めばくる輸血と患者さんの状態が自分の手におえる程度の重症具合だったということには取り敢えず感謝。
麻酔科医2年目の時には麻酔科オンコールを週3回やってました。あの時よりも麻酔科医としては今のほうが多少は上達している筈ですが、どんどん小心者になっている自分がいます。手術室から当直室まで歩いて3分くらいですが、夜間はその距離すら長く感じて手術室近くの部屋で眠れぬ使途不明な夜の時間を過ごしたこともありました。それで人間的な成長でもあれば良いのですが、同じところをぐるぐると回っているだけのような気がします。
クリーンベンチとオペ室の間に戸惑うことの多かった一年ですが、どっちでも少しは上達が実感できるような新しい年度になるよう、じみ~に生きていこうと思います。

***
「増補 iPS細胞」
知らないことをいっぱい教えてくれる良書でした。一般の方向けとしては難しい記載もあるかもしれませんが、凄く読みやすい文章です。医者が読んでも眼から鱗は結構いっぱい落ちると思います。私が無知なだけかもしれませんが知識欲は満たされました。

2012年3月7日水曜日

(本) 異邦人 - カミュ (窪田啓作訳、新潮文庫、1954年)とThe Outsider - Albert Camus (translation by Hamish Hamilton 1982)

何故か気になったのは下記。

・もはや私のものではない1つの生活、しかし、そのなかに私がいとも貧しく、けち臭い喜びを見出していた1つの生活の思い出に私は襲われた。夏のにおい、私の愛していた街、夕暮れの空、マリイの笑い声、その服。この場で私のした一切のことのくだらなさ加減が、そのとき、喉もとまでこみ上げて来て、私はたった1つ、これが早く終わり、そして独房へ帰って眠りたい、ということだけしかねがわなかった。(p.111-2)

友人に絡んできたアラビア人を銃殺。逮捕され法廷では殺害した理由を、太陽のせいだ、という。その場面が有名な作品なので、ストーリーテリングは不要でしょうか。今更ですが、私自身は人生で初読了。薄い文庫本なのに、日本語がちょっと読み難い。半世紀以上前の訳だから仕方ないのかな。そう思って英訳版を注文。だって原著のフランス語版は私には読めません。届いた英語版で、早速同じ箇所をチェックすると、

I was assailed by memories of a life which was no longer mine, but in which I'd found my simplest and most lasting pleasures: the smells of summer, the part of town that I loved, the sky on certain evenings, Marie's dresses and the way she laughed. And the utter pointlessness of what I was doing here took me by the throat and all I wanted was to get it over with and to go back to my cell and sleep.

どちらの訳者も同じように訳しているように見えます。

***
犯罪の加害者を断罪することに慣れてしまっているこの世界においては、疑問にすら思うことは少ないのかもしれませんが、本書を読むと、こちら側(逮捕されないで普通の生活を送っている状態)と、あちら側(法に触れて身体の自由を拘束される状態)の距離について考えます。私がこちら側にいるのは、たまたま人を殺さずにいるから、たまたま誰かのお金を盗まないから。たまたま放火しないから。たまたま、法に触れる様なことを特別に欲することなく、麻酔をしたり細胞を相手に実験して生きていられるから。こちら側にいるとあちら側が遠いのか近いのか。その距離はよくわかりません。わからないまま一生涯を終えるのが、所謂幸せってやつなのでしょうか。しかし、生まれてこの方、そういった、あちら側へのパスポートとなるようなことを本気で欲することなく、かつ、実行しないで来られたのは、よくよく考えるとラッキーだとしか思えません。生まれてくる環境が選べない以上、そもそも人の人間性の高さというものが、その人が自分の意志で努力できるようになるかどうかという以前の段階で決着がついてしまっている可能性も結構高いんじゃないだろうか。そう思うとどんなひどい事件を見聞きしても、自分が深く関わっていない状態でこの口から吐き出される言葉は虚ろなばかりのような気が。うーん、こんなことでもやもやするなんて思春期みたいだ。

2012年3月4日日曜日

(映) 今更だけどキル・ビル Vol.1 (Kill Bill: Vol.1) (2003年)

久しぶりに映画ネタを。
といってもこの映画は有名なので内容については今更語っても仕方ないので省略。見てる人はとっくに見ているだろうし、興味ない人は一生見ないでしょう。という映画。
私自身もう何年も見ていないのですが、昨日明け方に子供の緊急手術の麻酔をかけているときに、ふと「Bang Bang」が頭の中に流れてきたので、懐かしくなってサウンドトラックを引っ張り出してきた…それだけです。

Lucy Liuの頭がちょん切られたり、千葉真一の英語が面白かったり、逆にユマ・サーマンの日本語が素敵だったり、映画自体にも楽しめるポイントがいっぱいあるのですが、何といっても音楽が素敵です。

Nancy Sinatraが歌う「Bang Bang」を映画の冒頭に見て聴くだけで、この映画を映画館で見た価値があったと思います。私はどんなに好きな映画でも、同じ映画を2回以上続けて映画館でみることのないような薄ら俄か映画ファンですが、本作は複数回劇場で見たその数少ない映画の1つです。それも冒頭のたった3分弱の曲「Bang Bang」が聴きたいというだけで。

一般的には布袋寅泰の「Battle Without Honor Or Humanity」が有名ですし、CMでもこの曲ばっかり流れていた気がしますが、それはまぁ横に置いといて・・・というくらい、この映画は秀曲が多いのです。

ルーシー・リューとユマ・サーマンが雪の中で決闘するシーンに流れるSanta Esmeraldaの「Don't Let Me Be Misunderstood」(劇中ではヴォーカル抜きだけど)も最高。
Al Hirtの「Green Hornet」も最高。
梶芽衣子の「修羅の花」も最高。
Gheorghe Zamfirの「The Lonely Shepherd」もセンチメンタル。

ということで選曲のセンスが最高なので、映画の内容はどうでも良くなってしまうほど、この映画に対する思い入れが強いのでした。何でこれ程までに、日本人である私の心を揺さぶる曲ばかり一本の映画に詰め込んだんですか、タランティーノさん。

2012年2月24日金曜日

(音) 絶品バラード~Orphaned LandのRoad to Or Shalem (2011年, Israel) より

メタルを主食として音楽を聴いていると「結局どのバンドが1番好きなのか」と聞かれて答えに窮する自分がいます。そんな時に…あぁなんだ、このバンドがいたじゃないか、とほっと胸を撫で下ろす存在なのがイスラエルのバンド、Orphaned Land。

大体私はライブアルバムやライブDVDといったアイテムコレクションには殆ど興味がない人間なのですが(スタジオアルバムのCDですら、レンタルでも何でも聴けさえすればいいと思っている)、本作の購入は、その存在を知った時点でほぼ即決。というその行動が、このバンドの音楽を愛しているっていう何よりの証拠だと思います。

本作ライブの演奏がスタジオアルバムのそれと遜色ないのは勿論高評価。しかしそれ以上に選曲がよい。とてもよい。ベストアルバムといってもいい。これでDVD2枚とライブの大部分の曲が収録されてるCDが入って2000円ってどういうことなんでしょう。

CDには「The Warrior」以外の私の好きな曲がほとんどすべて入ってる(DVDにはThe Warriorも収録されているけど)。何せ内省バラードな「M I?」も入ってるのである。


しかしやっぱり何百回聴いても至高のバラードなのが「New Jerusalem」。



5時間予定の手術が倍かかったって構いませんよ。これが聴けるんだったら。

2012年2月18日土曜日

(雑) 236日ぶりの歯科受診

私は「虫歯恐怖症」です。
まさか、自覚症状もないのに歯科を予約してチェックしてもらうようになるとは。

新しい虫歯はありませんでした。取り敢えず、8ヶ月ほどの間に蓄積した歯石や茶渋などを数十分かけて落としてもらう。処置の最中に睡魔が襲ってきて何度も「口をしっかり開けてくださいね~」と言われてしまった。もうちょっと痛ければ起きてるんだけど、痛くないから眠ってしまいますよ。

酸蝕症(erosion)というのに気をつけた方がいいと言われた。
文字通り酸でエナメル質が溶けるらしい。
コーラはPH2.2と強酸性、その他、柑橘系果物や、栄養ドリンクも強酸。黒酢もpH 3.1と油断できない。スポーツ飲料も3.5と酸性だ。
歯を守るためにはそれらの摂取を減らすのは勿論だが、摂取した後も水でうがいしたりすると良いらしい。コーラで歯が溶ける、ってのは本当だったんだね。

痛くなってから知っても時、既に遅し、だろうから、いいことを教えてもらいました。年をとってから歯のことで悩みたくないし、無駄なお金を使いたくないから今のうちにできることをしておこうと思う。

(麻) どきどき抜き打ちナイトメア

麻酔のアルバイトは恐ろしい。っていうか何科のアルバイトでも怖いと思うんですが。
以下、ちょこっと昔の話です。

***
開腹術。腹膜縫うところまでレミフェンタニル0.5γで投与してたとは思えないほど、早く目覚めたんですよ。80歳台後半の男性。
硬膜外麻酔は凝固異常のために出来なかったけど、フェンタニル十分量投与して、目覚めて大丈夫そうなら抜管して病棟にお帰りいただこう・・・と。
麻酔をきって数分で眼をぱちくりさせてる患者さん。まだ気管チューブは挿入されたまま。
自発呼吸できるように人工呼吸器回路を開放して、患者さんの呼吸を待ってみました。
うーん。麻薬のせいかな、ちょっと補助換気してみよっと。
・・・。

バッグが揉めない。
・・・。

全然酸素が入って行かないんですよ。患者さんの肺に。
50cmH2Oで40mlくらい。その時はこっちの換気のタイミングと患者さんの自発呼吸が喧嘩して上手く換気できないのかな・・・くらいにしか思ってなかったんですが。
みるみるSpO2が下がっていく。

んー?ブロンコスパスム??
と思って聴診。

・・・してもバッグが硬すぎて、酸素が入って行かないんだから、なんにも聞こえるわけない。
やっぱ気管支攣縮だ…。
てことはアナフィラキシーか喘息発作?
しかし血圧は170もあるし、皮膚は・・・顔はちょっと赤くて浮腫んでるけど、もとから赤ら顔のお爺さまだったような気もするし。いや、アナフィラキシーだけどまだ循環虚脱してないだけか?いずれにせよ喘息だ。治療せな。
んーと、あれあれ、βの。なんだっけ。・・・ないの?
看護師さん「ないっす」
えー?あーじゃぁアドレナリンだ!でも血圧高すぎだしペースメーカーはいってるし、心不全の既往あるし、これ以上血圧上がったらまずいかも。ちょっと使えないよな。
んーじゃぁステロイドとテオフィリン。あーセボフルランも使えるじゃないか!・・・患者さん、申し訳ありません、ちょっとお休み下さいね・・・。
そうこうしているうちにちょっとずつ換気できるようになってカプノメータも表示されるように・・・ETCO2が・・・あらら高すぎ。脳外科の手術じゃなくてよかった…ってこともないか。

***
結局上記何かの薬の影響で気管支攣縮が解除されたので、挿管のまま一晩ICUにお帰りいただき、その後大丈夫な経過だったのですが。

喘息ではありませんが、

こちらの鑑定意見書

に身につまされることが記載されていました。

「失敗しないために最も効果的な方法は失敗してみることである:The only way to avoid mistakes is to gain experience. The only way to gain experience is to make a mistake.」

麻酔科医になって数年、気道系の重篤なトラブルに見舞われることがなかったのはラッキーとしか思えない。リバーシブルな失敗(失敗といっていいのか疑問だけど)を糧にして同じ轍だけは踏まないようにしないと。日々何かを学ぶことができる仕事って幸せな仕事だ、って言いたいけど、あんまりドキドキしたくない。

2012年2月16日木曜日

(麻) 久しぶりに抄読会準備

8割がた終了。後は喋りの予行練習何回かと突っ込まれそうなところの知識武装かな。半月後に自分の当番が回ってくるのですが、日本語でよいので少し気が楽…。

抄読会の参考に読んだ本

地味な装丁だったので今まで本棚に置いてあるばかりだったけど、なんとまぁ、良書でした。この分野って自分にはとっつきにくいのですが、その機序から臨床実践まで多くのevidenceとともにわかりやすく書かれております。今さらながらおすすめ…っていうかよく読んでちゃんと勉強しよっと。

2012年2月8日水曜日

(雑) 人間だもの。

麻酔科医になった。
その1番の理由は手術室で内科医になりたかったから。
どんなに侵襲の強い、手術自体が患者さんを死に至らしめる可能性があったとしても、そのpainを少しでも和らげることができれば。
自分にどんな力があるかも、何も出来ないかもしれないけど。そう思って、麻酔科医であることを生涯のライフワークにしようと思った。

それがおよそ6年前の、初期レジデントだった時の、私の思い。

今はどうだろう。
Perioperative intensive physicianとしての私。
それは殆ど理想とするレベルから見れば、奈落の底のような状態かもしれない。

恐らく今のように大学院で基礎研究をするよりも、産科麻酔、小児麻酔、心臓外科麻酔、集中治療室、末梢神経ブロック、ペインクリニック、et al。
そういった環境で徹底的に集中して、何らかの「目に見えて即、病める人たちのお役に立てるような」研修を積んだ方がよかったのかもしれない。いや、間違いなくそうだろう。
という葛藤がありつつも、大学院で研究しようと思ったのは、この人生における巡り合わせ、周りにいらっしゃる様々な方々とのご縁、そしてもう、この機会を逃したら、この人生において研究というものに全く触れられなくなってしまうという、第三者的には理解しづらいかもしれない得体のしれない焦燥感。
そういったものが、今日の私を作っている。

それでいいんじゃないかと思う。
何でもかんでもはできない。これは諦観ではなく、本当に。少なくとも私の能力では。いろんなものの本質めいたものに気づくのに、いつも遅すぎる私にとっては。

だとしたらそういう、自分の人生で諦めたことは、もっと得意でそれが好きな方々にお任せしたいと思う。そして、そういう先達に、自分が幾つになっても教えを請えたらいいと思う。
まだ31年しか生きてないけど、そして生涯現役で働かないと野たれ死ぬかもしれないこの時代に生きている私の今現在の思うこと。

***
やっぱり何百回聴いても名曲ですね。伊藤君子さんの「follow me」

2012年2月3日金曜日

(音) メタル耳にはビートルズが新鮮だった、という話


曲がりなりにも洋楽を主食としている私としては、ビートルズくらい全部聞いとかなきゃ!とか全く思わないのですが、アルバイト先の手術室。研修医の先生との会話。

音楽聞かないの?なにが好き?洋楽聞く?
―そうですねー。いろいろ。
じゃぁQueenは?
―好きですよ。
どの曲が好きなの?
―ベストアルバムの1曲目とかいいんじゃないですかね。

がーん。
それってボヘミアン・ラプソディのことですよね??

いや、ボヘミアン・ラプソディは私も好きだし、すんごく有名(だってQueenは世界で最も売れたアーティストランキング第5位 by wikipedia)だし、あれを嫌いっていう人ってあんまりいないと思うんだけど、さ・・・。もしかしたら私に気を使ってくれたのかもしれないけれど、Queenが好き、って言うんだったら、もうちょっとマニアックな答えを期待してしまうのは、私の身勝手でしょうか?(Queenについて教えを請いたかったのに)
そんな研修医の先生のお気に入りだと教えてくれたのが、世界一売っているアーティスト、ビートルズの「Revolver」(1966年, 7枚目のスタジオアルバム)。

これまで恥ずかしながらビートルズはベストアルバムと12作目のオリジナルアルバム「Let It Be」しか聴いたことがなかったので、早速手にとって見ました。んで、気に入ったのが上のEleanor Rigby。ビートルズファンには今更かよ、でしょうけど。
ありがとう、M先生。こうなると他の10枚のオリジナルアルバムも聞かないといけない気分になって来ました。

それに続く"I'm only sleeping"も好き。

Please don't wake me, no
don't shake me
Leave me where I am
I'm only sleeping
と歌っている。
ということで、当直はゆっくり眠らせて下さい。

2012年2月2日木曜日

(麻) 雪國再訪と局麻中毒時のlipid rescue

麻酔科学会の事前参加登録が始まっているので、久しぶりにDaturaに入ると「2011 年度第50 回麻酔科専門医認定試験 講評」が掲載されていました。
要約すると・・・基本的な問題ばっかりだったんだから、もっとがんばれよ、って書いてるように読めます。厳しいなぁ。

***
ということで大雪警報の出ていた昨日、再度雪國へ麻酔をしに行って参りました。県境を越えたあたりから車窓の外は白一色でしたが、新幹線は完全に予定通りの運行時間で到着。凄すぎます。
聞いてみると、私が到着する前の3時間ほどで10cmくらい雪が積もったとのこと。幹線道路はかろうじて除雪されていましたが、その他の道は完全に雪道。雪國でも結構苦戦している様子でした。
駅からバスに乗ろうと・・・待てども待てども来ない・・・でも、来たとしても普段の2-3倍の時間はかかるだろうと踏んで、結局、病院まではタクシーを使ってしまいました。タクシーの運転手さんも雪道だとノロノロ運転で大して儲からないんだよ、と嘆いておりました。

こちらの病院にお世話になるのは2回目でしたが、外科の先生や看護師さんへの気の遣い方がわかってきたので、随分楽に仕事ができました。

オペ室でエフェドリン吸ってる時に、流れてきたのはJourneyのOpen Arms。
久しぶりに聴いたけどやっぱりいい曲。聴いたのは、ヴォーカルなしのピアノ版インストでしたが。

***
The Anesthesia Blog にありましたので、復習。専門医試験にも出題されてました。

20% Intralipid:
1.Administer 1.5 mL/kg as an initial bolus; the bolus can be repeated 1- 2 times for persistent asystole.
2.Start an infusion at 0.25 mL/kg/min for 30-60 minutes; increase infusion rate up to 0.50 mL/kg/min for refractory hypotension.

大体、大人(60kgとして)なら初回100mlボーラス、心静止続くなら1-2回ボーラスをリピート。15ml/minの速さで30分か1時間。治療に反応しない低血圧に30ml/minまで増量ってところでしょうか。10%イントラリピッドなら2倍量に。

以下2/28追記。
Anesthesiology - Issue: Volume 115(6), December 2011, p 1219–1228
Lipid Resuscitation of Bupivacaine Toxicity: Long-chain Triglyceride Emulsion Provides Benefits over Long- and Medium-chain Triglyceride Emulsion
によれば中/長鎖脂肪酸製剤より長鎖脂肪酸製剤のほうが心拍再開後の再心停止率は低いようですね。今のところ日本では長鎖脂肪酸製剤しか使えないようですが。このラットのモデルでは、数十分後に再度心停止をきたしているケースもあるようですから、ヒトにおいても心拍再開後の持続投与って重要なのかな。拡大解釈かもしれませんが、脂肪酸製剤の半減期を考えると使ったほうがいいんでしょうね、きっと。脂肪酸製剤は肝代謝だから、肝硬変患者さんだったら持続する必要がないのかも。全部推測ですが。

The exact mechanism of lipid rescue remains unclear. Currently, the most favored theoretical mechanism is the “lipid sink” theory, in which the lipophilic local anesthetics are bound by lipid, thus reducing tissue content of the toxin. An alternative mechanism is the “lipid flux” theory, whereby lipid emulsions supply the mitochondria with sufficient substrate to enable energy production, which counters the impaired fatty acid delivery caused by local anesthetics.

この論文の結果はlipid sink theoryをより裏付ける結果だったようです。