amazon.co.jpより引用させていただきました。
1939年の作品です。漸く読了しました。
ずっと以前、大学卒業間近、若しくは研修医の頃に初めて購入。当時は数ページ読んでピンとこなかったので放り投げていた状態でした。その後読まなくなっていたので1度ブックオフへ旅に出し、その後それなりの時間を経てからブックオフで再度購入し、それがまた暫(しばら)く積読化していて、今回、遂に陽の目をみた・・・という私と「人間の土地」のそれなりに長い時間関係です。
結果:今回もあまりピンとこなかった。
ですが、何度かうたた寝しつつも最後まで読了できたことは収穫?です。「空のいけにえ」というタイトルで巻末に宮崎駿氏の文章が掲載されている事自体、今回はじめて知りました。本を読むより大切なことはこの世に数えきれないほどありますし、最初から最後まで読んだからといって何も得るものがない・・・それどころか「時間の無駄だった、ということがわかったのが一番の収穫だった」なんてことは、時々あります。そもそも読書によって何かを得ようなんて、そんな邪(よこしま)な考え自体が間違っているのかもしれません。
ピンとこなかった理由の1つには「郵便飛行士」というサン=テグジュペリの仕事自体についての理解が、私の頭では上手くできていないからかもしれません。「星の王子さま」や「夜間飛行」はわかりやすいストーリーがあるので、そのストーリー性に助けられて、何やら重大かもしれない大切なことがすっと心に入ってきていたのかも。(http://fragilemetalheart.blogspot.jp/2011/11/2010.html)
今の私にとって本書は、メッセージが伝わってきにくいものでした。訳文のせいかも・・・などと、自分の感性と想像力の限界を他人のせいにしてみたりもしたくなります。
44ページから引用。
このときはじめて、ぼくらの邂逅は全(また)かったのだ。長い年月、人は肩を並べて同じ道を行くけれど、てんでに自前の沈黙の中に閉じこもったり、よしまた話はしあっても、それがなんの感激もない言葉だったりする。ところがいったん危険に直面する、するとたちまち、人はおたがいにしっかりと肩を組みあう。人は発見する。おたがいに発見する。おたがいにある一つの協同体の一員だと。他人の心を発見することによって、人は自らを豊富にする。人はなごやかに笑いながら、おたがいに顔を見あう。そのとき、人は似ている、海の広大なのに驚く解放された囚人に。
こんな状況、手術室で時々見かけませんか?
これに類した、愛着の湧きやすい文章を本書の中で10箇所くらいは見つけられましたが、今はこれが精一杯。
この本をもっと味わうためには、私がもっと成長する必要がありそうです。今度は売りに出さずに書棚の片隅に置いておこうと思います。