この半年で初聴きした曲での選出。1位以外は特に順不同。
アーティスト / 曲名 (アルバム, 発表年, 国)の順。
Metalらしい曲
1. Circus Maximus / Abyss (Isolate, 2007, Norway)
2. Within Temptation / A Demon’s Fate (The Unforgiving, 2011, Holland)
3. Within Temptation / Iron (The Unforgiving, 2011, Holland)
4. Derdian / BURN (New Era Part.3: The Apocalypse, 2010, Italy)
5. Dragon Guardian / 暗黒舞踏会 (Drangonvarius, 2010, Japan)
6. Amorphis / Mermaid (The Beginning of Times, 2011, Finland)
7. Imaginery Flying Machine / Gake no ue no ponyo (Princess Ghibri, 2011, Japan et al)
8. Megadeth / Washington is next (United Abominations, 2007, USA)
9. Amaranthe / Call out My Name(Amaranthe, 2011, Sweden)
10. Rhapsody of Fire / I belong to the Stars (From Chaos to Eternity, 2011, Italy)
1はイントロがDream Theaterの「Beyond This Life」(Metropolis Part2: Scenes from a Memory収録)マンマなのであるが、さわやかで伸びのある声のvocalによって非metalな方々にも大いにアピールしうる曲。コンパクトでドラマティック。何故か非常に元気が出る。「尊敬しているであろう先人のおいしいところを上手く取り込んで、自分らしさを押し出した絶妙アレンジ曲」ということで1位です。
slowな曲では…
1. Silent Stream of Godless Elegy / Pramen, co vi (Navaz, 2011, Czech)
2. Sirenia / The Enigma of Life (The Enigma of Life, 2011, Norway)
3. Bibleblack / The Black Swan Epilogue (The Black Swan Epilogue, 2009, Sweden) → 4:35-5:30の慟哭ギターが…。
何度も聴いてるけどリバイバルだったのが…
1. Orphaned Land / The Warrior (The Never Ending way of OrwarriOR, 2010, Israel) → 4分以降のギターが…。
2. In Flames / Free Fall (Reroute to Remain, 2002, Sweden) → この曲がIn Flamesの最高傑作だと思う。
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2011年6月30日木曜日
2011年6月28日火曜日
(本) Books in the first half of 2011
文字を体と心のフィルターに淡々と通す日々。コンパクトな本が多いのは、読書をするのが主に電車の中で、持ち運びに便利だから。移動中に本や論文が読めるのは、自動車で移動しなくてもよいという、東京暮らしの利点の1つだと思う。
1. 最終講義 / 内田樹 / 2011年, 技術評論社
・頭がよく生まれついた人は、外国語の習得がとんと苦にならないという人は、その稀有な才能を使って、それがどんなふうに「みんなの役に立つか」を優先的に考えるべきだと僕は思います。僕が若い研究者たちの発表を聴いて、心の底の方が冷え冷えとする感じがしたのは、彼らが学術的な活動を通じて、公共的な利益をどう積み増しするかという関心がそこにほとんど感じられなかったからです(p45-6)
・医療と教育というのは、21世紀の「右肩下がりの日本」が、新たに産業を興すというかたちではなく、もともと日本人が具えているノウハウを最大限に発揮できるセクターなんです。でも、まさにこの医療と教育は、80-90年代において「医療崩壊」「教育崩壊」というかたちでメディアと政治家と産業界から集中砲火を浴びて、回復不能な傷を負った。・・・・(中略)日本のエスタブリッシュメントに哲学がなかった、ということがその理由であると言うにとどめておきます。(146)
何のために勉強するのか?研究するのか?もやもやとして言葉にならなかった思いを、内田先生が言葉にしてくれている。第2章「日本の人文科学に明日はあるか」は人文科学だけでなく、全ての研究者・学ぶ人が一度は立ち止まって聴くに値する講演内容だと思う。文章に感銘を受けたのは、「回復不能な傷を負った」とされる医療と教育に、今の自分がたまたま居合わせているためだからかもしれない。一方は提供者として、一方は受ける者として。そんなことを感じた大学院3ヶ月目の終わり。
2. 決定版 ケンタロウ絶品!おかず / ケンタロウ / 主婦の友社
我が家の肉じゃがはこの本以降、これになった。簡単すぎで、美味すぎ。
3. 向上心 / サミュエル・スマイルズ著、竹内均訳 / 知的いきかた文庫
結局は自分の人生は自分でしっかり決めないといけないんだよ、ということ。自分の不遇を誰かのせいにしてもいいけど、自分の心と体で生きていかなければいけないことを自覚するならば、それ相応の生き方を考えていかなきゃいけない。
4. 科学者という仕事―独創性はどのように生まれるか / 酒井邦嘉 / 中公新書
5. 看護研究で迷わないための超入門講座 / 西條剛央 / 医学書院
6. 哲学思考トレーニング / 伊勢田哲治 / ちくま新書
批判的にものを考えるとはどういうことか、を分かりやすく教えてくれる本。メディアの情報を鵜呑みにしてしまったり(そんな人はいないか…)、Nの多い論文を鵜呑みにしてしまったり(そんな人もいないか・・・)、その他、人の話をたやすく信じてしまわないように。
7. 理性の限界 / 高橋昌一郎 / 講談社現代新書
こんなに知らない言葉が乱舞する世界があるということで、自分のもつ知識が極めて限定的なことを再確認した1冊。難しいことが語られている筈なのであるが、読み物としても一気に読めるところが凄い。
8. つまらない人生入門<鬱屈大全> / 春日武彦、吉野朔実 / アスペクト
なんでこれほどまでにいろんなことの描写が細やかなんだろう。
9. 心は孤独な数学者 / 藤原正彦 / 新潮文庫
驚嘆するしかない。
10. 続・麻酔科臨床の書 / 内藤嘉之、吉田和則、井出雅洋 / MEDSi
LiSAでの連載時から本当にお世話になったシリーズが書籍化。心臓外科麻酔始めた頃、こんな本があったらよかったなぁ、という一冊。勿論、今の私でも知らないことが多くて本当に勉強になる。感謝。
11. もっとよくわかる!免疫学 / 河本宏 / 羊土社
12. 絵ときシグナル伝達入門 第2版 / 服部成介 / 羊土社
「全く」訳の分からなかった世界が、訳の分からない世界くらいにはなった。恐らく今後もお世話になるんだろうなぁという一冊。
13. 麻酔科専門医認定筆記試験問題解説集 2005-2010年度(6冊) / 克誠堂出版
期間限定モノではありますが、怠惰な私は、こんな機会でもないと呼吸生理の勉強をしないと思う。
14. Pocket Anesthesia / Richard D. Urman / LWW
当直にはこの本と「麻酔と救急のために」をお守り代わりに。second halfも手術室が平和でありますよう。
1. 最終講義 / 内田樹 / 2011年, 技術評論社
・頭がよく生まれついた人は、外国語の習得がとんと苦にならないという人は、その稀有な才能を使って、それがどんなふうに「みんなの役に立つか」を優先的に考えるべきだと僕は思います。僕が若い研究者たちの発表を聴いて、心の底の方が冷え冷えとする感じがしたのは、彼らが学術的な活動を通じて、公共的な利益をどう積み増しするかという関心がそこにほとんど感じられなかったからです(p45-6)
・医療と教育というのは、21世紀の「右肩下がりの日本」が、新たに産業を興すというかたちではなく、もともと日本人が具えているノウハウを最大限に発揮できるセクターなんです。でも、まさにこの医療と教育は、80-90年代において「医療崩壊」「教育崩壊」というかたちでメディアと政治家と産業界から集中砲火を浴びて、回復不能な傷を負った。・・・・(中略)日本のエスタブリッシュメントに哲学がなかった、ということがその理由であると言うにとどめておきます。(146)
何のために勉強するのか?研究するのか?もやもやとして言葉にならなかった思いを、内田先生が言葉にしてくれている。第2章「日本の人文科学に明日はあるか」は人文科学だけでなく、全ての研究者・学ぶ人が一度は立ち止まって聴くに値する講演内容だと思う。文章に感銘を受けたのは、「回復不能な傷を負った」とされる医療と教育に、今の自分がたまたま居合わせているためだからかもしれない。一方は提供者として、一方は受ける者として。そんなことを感じた大学院3ヶ月目の終わり。
2. 決定版 ケンタロウ絶品!おかず / ケンタロウ / 主婦の友社
我が家の肉じゃがはこの本以降、これになった。簡単すぎで、美味すぎ。
3. 向上心 / サミュエル・スマイルズ著、竹内均訳 / 知的いきかた文庫
結局は自分の人生は自分でしっかり決めないといけないんだよ、ということ。自分の不遇を誰かのせいにしてもいいけど、自分の心と体で生きていかなければいけないことを自覚するならば、それ相応の生き方を考えていかなきゃいけない。
4. 科学者という仕事―独創性はどのように生まれるか / 酒井邦嘉 / 中公新書
5. 看護研究で迷わないための超入門講座 / 西條剛央 / 医学書院
6. 哲学思考トレーニング / 伊勢田哲治 / ちくま新書
批判的にものを考えるとはどういうことか、を分かりやすく教えてくれる本。メディアの情報を鵜呑みにしてしまったり(そんな人はいないか…)、Nの多い論文を鵜呑みにしてしまったり(そんな人もいないか・・・)、その他、人の話をたやすく信じてしまわないように。
7. 理性の限界 / 高橋昌一郎 / 講談社現代新書
こんなに知らない言葉が乱舞する世界があるということで、自分のもつ知識が極めて限定的なことを再確認した1冊。難しいことが語られている筈なのであるが、読み物としても一気に読めるところが凄い。
8. つまらない人生入門<鬱屈大全> / 春日武彦、吉野朔実 / アスペクト
なんでこれほどまでにいろんなことの描写が細やかなんだろう。
9. 心は孤独な数学者 / 藤原正彦 / 新潮文庫
驚嘆するしかない。
10. 続・麻酔科臨床の書 / 内藤嘉之、吉田和則、井出雅洋 / MEDSi
LiSAでの連載時から本当にお世話になったシリーズが書籍化。心臓外科麻酔始めた頃、こんな本があったらよかったなぁ、という一冊。勿論、今の私でも知らないことが多くて本当に勉強になる。感謝。
11. もっとよくわかる!免疫学 / 河本宏 / 羊土社
12. 絵ときシグナル伝達入門 第2版 / 服部成介 / 羊土社
「全く」訳の分からなかった世界が、訳の分からない世界くらいにはなった。恐らく今後もお世話になるんだろうなぁという一冊。
13. 麻酔科専門医認定筆記試験問題解説集 2005-2010年度(6冊) / 克誠堂出版
期間限定モノではありますが、怠惰な私は、こんな機会でもないと呼吸生理の勉強をしないと思う。
14. Pocket Anesthesia / Richard D. Urman / LWW
当直にはこの本と「麻酔と救急のために」をお守り代わりに。second halfも手術室が平和でありますよう。
2011年6月27日月曜日
(雑) 終"診"刑
通院すること10回。 307日の刑期を無事に終えて、今日で終診となった。
当初は27本中10本だった齲歯(うし)が、9本目の治療中に「あ~、ここにも2箇所ありますね~」といわれ、計12本。手遅れになる前に全て治療が出来たのは、本当に幸運であった。
「次の予約はどうしますか」と歯科衛生士さん。「もう今日で終わり」とドクター。
なんだかちょっぴり切なくなる。これからは自分でもしっかりケアせねば。
でもブラッシングをしっかりしているつもりでこうなったのだから、これまでと同様の習慣ではまた悲惨な目にあうこと必定。
今後の虫歯予防について、Google検索しても玉石混交でよく分からない。そのため
「ここが知りたい 歯科治療 ベストアンサー vol.1 (クインテッセンス出版)」
を読んで勉強することにした。
・・・なるほど。
読むと、私は間違いなく「虫歯ハイリスク患者」である。(p61)
対策は
・食後5分以内の歯磨き
・歯磨きごとにフッ化物を使用、食間と就眠前にもフッ化物洗口を実行
・砂糖を含む間食はゼロにするとともに、全体の砂糖摂取量を減らす
・砂糖不使用の代替甘味料で、唾液の量を増やす
・年に3,4回歯科を受診する
だそうだ。(p64-5)
地道な習慣で、何十万円もするインプラント治療、や義歯生活から少しでも遠ざかることができるのであればやってみようかな・・・。
当初は27本中10本だった齲歯(うし)が、9本目の治療中に「あ~、ここにも2箇所ありますね~」といわれ、計12本。手遅れになる前に全て治療が出来たのは、本当に幸運であった。
「次の予約はどうしますか」と歯科衛生士さん。「もう今日で終わり」とドクター。
なんだかちょっぴり切なくなる。これからは自分でもしっかりケアせねば。
でもブラッシングをしっかりしているつもりでこうなったのだから、これまでと同様の習慣ではまた悲惨な目にあうこと必定。
今後の虫歯予防について、Google検索しても玉石混交でよく分からない。そのため
「ここが知りたい 歯科治療 ベストアンサー vol.1 (クインテッセンス出版)」
を読んで勉強することにした。
・・・なるほど。
読むと、私は間違いなく「虫歯ハイリスク患者」である。(p61)
対策は
・食後5分以内の歯磨き
・歯磨きごとにフッ化物を使用、食間と就眠前にもフッ化物洗口を実行
・砂糖を含む間食はゼロにするとともに、全体の砂糖摂取量を減らす
・砂糖不使用の代替甘味料で、唾液の量を増やす
・年に3,4回歯科を受診する
だそうだ。(p64-5)
地道な習慣で、何十万円もするインプラント治療、や義歯生活から少しでも遠ざかることができるのであればやってみようかな・・・。
2011年6月25日土曜日
(音) Amaranthe ― Amaranthe (2011年, Sweden)
「ジャケットの真ん中にいる女性がヴォーカルをとるバンド」のデビューアルバムかと思ったら、3人もヴォーカルがいた。事前情報なさ過ぎ。
Elize: 女性クリーンヴォーカル
Jake: 男性クリーンヴォーカル
Andy: screams担当
ということらしい。
こんなポップなメタルは反則である。
「Embody the Invisible」や「Pinball Map」の頃のIn Flamesのようだったり「Figure Number Five」の頃のSoilworkのようだったり、場合によってはIron Maidenのようだったりするけれど、彼ら先行バンドとの決定的な違いは、「一聴しただけで歌メロが耳に残る、ポップな扇情力」の次元が違うというところ。手を出そうかどうか迷う人には、必殺悶絶ポップチューンの#8「Call out My Name」をyoutubeでも何ででも聴いてほしい(但しlive版じゃない方。私はシングル曲の#2「Hunger」よりも断然こちらが好み)。この曲を聴いて、全く琴線に触れるものがなければ、このアルバムを全編聴く必要はないだろう。歌メロが最大の武器なだけに、次作以降でこのクオリティを維持できるのかという贅沢な心配をしてしまう。畏れ入りました。
1. Leave Everything Behind
2. Hunger
3. 1.000.000 Lightyears
4. Automatic
5. My Transition
6. Amaranthine
7. Rain
8. Call out my Name
9. Enter the Maze
10. Director's Cut
11. Act of Desperation
12. Serendipity
13. Breaking Point
14. Splinter in my Soul
Elize: 女性クリーンヴォーカル
Jake: 男性クリーンヴォーカル
Andy: screams担当
ということらしい。
こんなポップなメタルは反則である。
「Embody the Invisible」や「Pinball Map」の頃のIn Flamesのようだったり「Figure Number Five」の頃のSoilworkのようだったり、場合によってはIron Maidenのようだったりするけれど、彼ら先行バンドとの決定的な違いは、「一聴しただけで歌メロが耳に残る、ポップな扇情力」の次元が違うというところ。手を出そうかどうか迷う人には、必殺悶絶ポップチューンの#8「Call out My Name」をyoutubeでも何ででも聴いてほしい(但しlive版じゃない方。私はシングル曲の#2「Hunger」よりも断然こちらが好み)。この曲を聴いて、全く琴線に触れるものがなければ、このアルバムを全編聴く必要はないだろう。歌メロが最大の武器なだけに、次作以降でこのクオリティを維持できるのかという贅沢な心配をしてしまう。畏れ入りました。
1. Leave Everything Behind
2. Hunger
3. 1.000.000 Lightyears
4. Automatic
5. My Transition
6. Amaranthine
7. Rain
8. Call out my Name
9. Enter the Maze
10. Director's Cut
11. Act of Desperation
12. Serendipity
13. Breaking Point
14. Splinter in my Soul
2011年6月24日金曜日
(雑) 煙草再来
麻酔科専門医試験の受験票は8月下旬頃送られてくるのか。なるほど。
***
Pediatric surgery and parental smoking behavior. Anesthesiology 2011; 115:12–7.
に対するEditorial viewを読む。
An original study in this issue of Anesthesiology shows that only 6.6% of smoking parents maintained abstinence during the period when their child underwent surgery.
とあるように「我が子の手術という一大事」でも親の禁煙行動には殆ど繋がらない様である。このeditorial viewでは以下延々と喫煙の悪が述べられ、またそれを全力で阻止すべきという文言が続いている。そして矛先はアルコール乱用や過度の肥満にもちょっとばかし向かう。
「少しでも安全に、安楽に、合併症なく、周術期の患者さんに過ごしていただくこと」を至上の目的とする麻酔科医の集団としては当然の意見であろう。
「タバコ?あー心配いりませんよ。手術当日まで吸ってていいですよ」と術前外来で私がにっこりと微笑んで患者さんに応対しようものなら、ASAのみならずJSAからも、そして勤務先の病院からも追い出されるかもしれない(ASAについては会費を払わないでいたら、いつの間にか退会扱いにされたので、そのままになっているが)。
タバコが様々な癌の、独立した危険因子であることは、広く世間一般に知れ渡っている筈である。それが取りも直さず「死期を早める」ということも同様に知れ渡っている筈である(癌が死に至る病ではない、と考えている成人は殆どいない筈である)。
術前に「禁煙できなかったこと」が原因で術後に上手く痰が出せず、肺炎等の呼吸器合併症を起こし、死亡率が高まるであろうことも、想像力をちょっと働かせれば、医学的知識が乏しい方々でも、予想がつくことであろうと考えられる。喫煙により、血管が詰まりやすくなって心筋梗塞の合併率が上がることはもしかしたら想像が難しいかもしれないが。
それにも関わらず止められないのである。
わかっちゃいるけどやめられない、のである。
特にheavy smokerに多い肺癌や食道癌の手術では、麻酔科医は片方の肺で手術中の呼吸状態を良好なものに維持しなくちゃいけない。その「換気にあずかっている片方の肺」の気管支内に、吸引すれども吸引すれども貯留する粘稠な粘稠な痰。「SpO2が保てないんで両肺換気にさせてください」と術者の手を一時的にストップさせる行為が楽しいという麻酔科医は少数派だろう。「俺の分離肺換気が下手なせいじゃなくて、この患者さんが禁煙してないのがわりぃんだよぉ」とタバコに憎しみを覚える麻酔科医が多かろうことも想像に難くない。
でも、患者さんは止められないのである。
幸いにして私は、タバコによる依存が心身にできる遥か前に禁煙し、そのままタバコにお世話にならずに今日まで生きてきている。なので、「手術が必要であるにも拘らず禁煙できない喫煙者」の気持ちに寄り添うことは非常に難しい。
だから、乏しい想像力を駆使して、自分が患者になった場合を妄想してみる。
「ヘヴィメタルを術前に8週間は止めないと、術後譫妄になるリスクが非常に高まると言われています。それで自己抜管して呼吸困難になって死んでしまったり、生命の維持に必要な薬が流れている点滴をひっこ抜いてしまったりすると最悪の場合心停止するかもしれません」と麻酔科医に説明されたら。
または
「読書を術前に8週間は止めないと、全身麻酔後にGerstmann症候群を起こす可能性が高いといわれています。今日から本は一切読まないで下さい。」と麻酔科医に説明されたら。
恐らくどちらも達成不可能である。
だとすると、自分の目の前にいる患者さんが「胃癌の術前でタバコ40本/日を40年」でも「喘息があるけどタバコ20本/日を30年」でも、「禁煙できなければ手術は中止です」と間髪いれずに進言するのは憚られてしまう。
本当に気の毒な話である。
ヘヴィメタルや読書は「現時点では周術期合併症に影響を与えることが証明されていない趣味」なのに(そして恐らく今後も証明されないだろう、証明する人もいないだろう)、かたやタバコは「周術期合併症にドカンと影響を与えてしまい、その患者さんに関わった医療関係者が誰ひとりとしてハッピーになれない趣味」なのである。
タバコを愛してやまない、そして吸うことを止められない方々に、心の底から同情してしまう。
「喫煙が手術や麻酔後に悪影響を与える」という「科学的な根拠」がたくさん出揃ってしまっている現状を考えるに、一介の麻酔科医である私にはそれを覆す論理的反論は不可能である。だから、「喫煙で術後に肺炎になる危険性が高まります、それによって死亡率も上昇するという報告もあります・・・・・・むにゃむにゃ」と、目の前の患者さんの顔色を伺いつつ麻酔科医として申し上げるべきことは勿論申し上げようとは思うけど、カルテを拝見して「この患者さんは進行癌なんだなぁ・・・・・・」だったりすると、その方がどんなにheavy smokerだったとしても「禁煙してください」とは相当な逡巡無しには申し上げられないのである。
だから、「タバコを吸うことが人生の一部分となっていて、タバコを止めないと死ぬ確率が上がります、と言われても容易にはタバコから離れられない方々」のことを思ったとき、たとえ麻酔科医としては禁煙を断固指導しなければならないとしても、私個人の心には大いなる葛藤が生じてしまうのである。
それは「禁煙を指導するのは麻酔科医として当然のつとめだ」という、現時点では科学的には何の反証もできない「正義のお言葉」」に対して素直に服するのが嫌なのだ、という偏狭な精神から発することではなく「目の前の患者さんが手術中に痰が出てきて出てきて大変だよ、術中の麻酔管理や手術終了時の抜管の判断に困るのは、この患者さんの麻酔をする私なのに」という、もしかすると患者さんのためを思って発せられた言葉が、いつの間にか麻酔科医である自分の心の平穏のための言葉にすり替わっているだけかもしれないという、半ば妄想的な発想から来るのかもしれない。
***
Pediatric surgery and parental smoking behavior. Anesthesiology 2011; 115:12–7.
に対するEditorial viewを読む。
An original study in this issue of Anesthesiology shows that only 6.6% of smoking parents maintained abstinence during the period when their child underwent surgery.
とあるように「我が子の手術という一大事」でも親の禁煙行動には殆ど繋がらない様である。このeditorial viewでは以下延々と喫煙の悪が述べられ、またそれを全力で阻止すべきという文言が続いている。そして矛先はアルコール乱用や過度の肥満にもちょっとばかし向かう。
「少しでも安全に、安楽に、合併症なく、周術期の患者さんに過ごしていただくこと」を至上の目的とする麻酔科医の集団としては当然の意見であろう。
「タバコ?あー心配いりませんよ。手術当日まで吸ってていいですよ」と術前外来で私がにっこりと微笑んで患者さんに応対しようものなら、ASAのみならずJSAからも、そして勤務先の病院からも追い出されるかもしれない(ASAについては会費を払わないでいたら、いつの間にか退会扱いにされたので、そのままになっているが)。
タバコが様々な癌の、独立した危険因子であることは、広く世間一般に知れ渡っている筈である。それが取りも直さず「死期を早める」ということも同様に知れ渡っている筈である(癌が死に至る病ではない、と考えている成人は殆どいない筈である)。
術前に「禁煙できなかったこと」が原因で術後に上手く痰が出せず、肺炎等の呼吸器合併症を起こし、死亡率が高まるであろうことも、想像力をちょっと働かせれば、医学的知識が乏しい方々でも、予想がつくことであろうと考えられる。喫煙により、血管が詰まりやすくなって心筋梗塞の合併率が上がることはもしかしたら想像が難しいかもしれないが。
それにも関わらず止められないのである。
わかっちゃいるけどやめられない、のである。
特にheavy smokerに多い肺癌や食道癌の手術では、麻酔科医は片方の肺で手術中の呼吸状態を良好なものに維持しなくちゃいけない。その「換気にあずかっている片方の肺」の気管支内に、吸引すれども吸引すれども貯留する粘稠な粘稠な痰。「SpO2が保てないんで両肺換気にさせてください」と術者の手を一時的にストップさせる行為が楽しいという麻酔科医は少数派だろう。「俺の分離肺換気が下手なせいじゃなくて、この患者さんが禁煙してないのがわりぃんだよぉ」とタバコに憎しみを覚える麻酔科医が多かろうことも想像に難くない。
でも、患者さんは止められないのである。
幸いにして私は、タバコによる依存が心身にできる遥か前に禁煙し、そのままタバコにお世話にならずに今日まで生きてきている。なので、「手術が必要であるにも拘らず禁煙できない喫煙者」の気持ちに寄り添うことは非常に難しい。
だから、乏しい想像力を駆使して、自分が患者になった場合を妄想してみる。
「ヘヴィメタルを術前に8週間は止めないと、術後譫妄になるリスクが非常に高まると言われています。それで自己抜管して呼吸困難になって死んでしまったり、生命の維持に必要な薬が流れている点滴をひっこ抜いてしまったりすると最悪の場合心停止するかもしれません」と麻酔科医に説明されたら。
または
「読書を術前に8週間は止めないと、全身麻酔後にGerstmann症候群を起こす可能性が高いといわれています。今日から本は一切読まないで下さい。」と麻酔科医に説明されたら。
恐らくどちらも達成不可能である。
だとすると、自分の目の前にいる患者さんが「胃癌の術前でタバコ40本/日を40年」でも「喘息があるけどタバコ20本/日を30年」でも、「禁煙できなければ手術は中止です」と間髪いれずに進言するのは憚られてしまう。
本当に気の毒な話である。
ヘヴィメタルや読書は「現時点では周術期合併症に影響を与えることが証明されていない趣味」なのに(そして恐らく今後も証明されないだろう、証明する人もいないだろう)、かたやタバコは「周術期合併症にドカンと影響を与えてしまい、その患者さんに関わった医療関係者が誰ひとりとしてハッピーになれない趣味」なのである。
タバコを愛してやまない、そして吸うことを止められない方々に、心の底から同情してしまう。
「喫煙が手術や麻酔後に悪影響を与える」という「科学的な根拠」がたくさん出揃ってしまっている現状を考えるに、一介の麻酔科医である私にはそれを覆す論理的反論は不可能である。だから、「喫煙で術後に肺炎になる危険性が高まります、それによって死亡率も上昇するという報告もあります・・・・・・むにゃむにゃ」と、目の前の患者さんの顔色を伺いつつ麻酔科医として申し上げるべきことは勿論申し上げようとは思うけど、カルテを拝見して「この患者さんは進行癌なんだなぁ・・・・・・」だったりすると、その方がどんなにheavy smokerだったとしても「禁煙してください」とは相当な逡巡無しには申し上げられないのである。
だから、「タバコを吸うことが人生の一部分となっていて、タバコを止めないと死ぬ確率が上がります、と言われても容易にはタバコから離れられない方々」のことを思ったとき、たとえ麻酔科医としては禁煙を断固指導しなければならないとしても、私個人の心には大いなる葛藤が生じてしまうのである。
それは「禁煙を指導するのは麻酔科医として当然のつとめだ」という、現時点では科学的には何の反証もできない「正義のお言葉」」に対して素直に服するのが嫌なのだ、という偏狭な精神から発することではなく「目の前の患者さんが手術中に痰が出てきて出てきて大変だよ、術中の麻酔管理や手術終了時の抜管の判断に困るのは、この患者さんの麻酔をする私なのに」という、もしかすると患者さんのためを思って発せられた言葉が、いつの間にか麻酔科医である自分の心の平穏のための言葉にすり替わっているだけかもしれないという、半ば妄想的な発想から来るのかもしれない。
2011年6月23日木曜日
(麻) サクシニルコリンとスタチン
サクシニルコリン(SCC)もスタチンも合併症に筋肉痛がある。その2つを結び付けた臨床研究で面白い。
Consequences of Succinylcholine Administration to Patients Using Statins. Anesthesiology: July 2011 - Volume 115 - Issue 1 - pp 28-35
http://journals.lww.com/anesthesiology/Fulltext/2011/07000/Consequences_of_Succinylcholine_Administration_to.13.aspx
以下の4剤いずれかを少なくとも3ヶ月以上飲んでいるか(38人)、そうでないか(32人)、で予定手術挿管時SCC投与(1.5mg/kg)後の血中ミオグロビン濃度を比較。
simvastatin (リポバスなど)
lovastatin (メバコールなど)
atorvastatin (リピトールなど)
pravastatin (メバロチンなど)
SCC投与5分後、20分後はスタチン群で有意に血中ミオグロビン濃度が上昇。24時間後は変化なし。CKやカリウム、筋肉痛は両群間で有意差がなかった。
Editorial viewでA Duke University study showed that American patients were
willing to pay $33 out of pocket to avoid succinylcholine myalgia.と書いてあるのが興味深い。editorialではまた、SCCが有効だろうポイントにも言及しており
・解除出来ない喉頭痙攣(主に小児)で静注路がないときに筋注で使用
・rapid sequence intubation
・CVCI時に自発呼吸が出てくるかも
と書かれている。
だが下の2つはrocuronium→sugammadexが使える日本の状態では問題にならないだろう(米国ではまだsugammadexが使用不可能)。
修正電気痙攣療法(mECT)くらいにしかSCCを使用しないからなぁ・・・。視点が面白ければ、単一施設の臨床研究でもAnesthesiologyにacceptされるんだなーの好例。
Consequences of Succinylcholine Administration to Patients Using Statins. Anesthesiology: July 2011 - Volume 115 - Issue 1 - pp 28-35
http://journals.lww.com/anesthesiology/Fulltext/2011/07000/Consequences_of_Succinylcholine_Administration_to.13.aspx
以下の4剤いずれかを少なくとも3ヶ月以上飲んでいるか(38人)、そうでないか(32人)、で予定手術挿管時SCC投与(1.5mg/kg)後の血中ミオグロビン濃度を比較。
simvastatin (リポバスなど)
lovastatin (メバコールなど)
atorvastatin (リピトールなど)
pravastatin (メバロチンなど)
SCC投与5分後、20分後はスタチン群で有意に血中ミオグロビン濃度が上昇。24時間後は変化なし。CKやカリウム、筋肉痛は両群間で有意差がなかった。
Editorial viewでA Duke University study showed that American patients were
willing to pay $33 out of pocket to avoid succinylcholine myalgia.と書いてあるのが興味深い。editorialではまた、SCCが有効だろうポイントにも言及しており
・解除出来ない喉頭痙攣(主に小児)で静注路がないときに筋注で使用
・rapid sequence intubation
・CVCI時に自発呼吸が出てくるかも
と書かれている。
だが下の2つはrocuronium→sugammadexが使える日本の状態では問題にならないだろう(米国ではまだsugammadexが使用不可能)。
修正電気痙攣療法(mECT)くらいにしかSCCを使用しないからなぁ・・・。視点が面白ければ、単一施設の臨床研究でもAnesthesiologyにacceptされるんだなーの好例。
(麻) completely non invasive ?
Can J Anesth (Noninvasive cardiac output monitoring during general anesthesia for Cesarean delivery in a patient with severe aortic stenosis)
http://www.springerlink.com/content/t5316013037k6601/fulltext.pdf
先天性二尖弁によるAS(0.75cm2)合併の妊婦さんの全身麻酔帝王切開周術期の1例報告。stroke volume variation (SVV)出てくるしFloTrac使った症例か・・・と思って読んでたら・・・。
全く勉強不足で知らなかったのだがこんなモニターがある。
http://www.cheetah-medical.com/ourproducts
Cheetah Medical Incから販売されている。全く無侵襲にcardiac output等を測定できるようだ。追従性も高いようである。本当だとしたら、凄いことかも。
http://www.springerlink.com/content/t5316013037k6601/fulltext.pdf
先天性二尖弁によるAS(0.75cm2)合併の妊婦さんの全身麻酔帝王切開周術期の1例報告。stroke volume variation (SVV)出てくるしFloTrac使った症例か・・・と思って読んでたら・・・。
全く勉強不足で知らなかったのだがこんなモニターがある。
http://www.cheetah-medical.com/ourproducts
Cheetah Medical Incから販売されている。全く無侵襲にcardiac output等を測定できるようだ。追従性も高いようである。本当だとしたら、凄いことかも。
2011年6月22日水曜日
(音) Symphony X - Iconoclast (2011年, USA)
随分と長いこと待ってました、の2枚組83分。2007年の「Paradise Lost」以来8作目のスタジオアルバム。iTunes Storeではなぜか4000円もする。CD+歌詞対訳などが付いてる店頭盤の方が安いってどうなっているんだろ。
まだ10回弱しか全編通して聴いていないが、早くも「Paradise Lost」よりも好きになる。
ゴリゴリッとしてそれでいてネオ・クラシカルなギター旋律を嫌味なく鏤(ちりば)めつつ、ヴォーカルは相変わらずの暑苦しさ。かと思えば#7「When All is Lost」のようなBalladを完璧に歌い上げる。これまでのSymphony Xの系統をしっかりと受け継いだ作品である。
大学受験時に死ぬほど聴いた「Out of the Ashes」や「Candlelight Fantasia」、その後に続いた「Smoke and Mirrors」などの、バンド黎明期の傑作楽曲群が霞んでしまうかのような勘違い(?)を起こさせたのは、この2枚組がとても緻密に緻密にしっかりとしっかりと丁寧に創り込まれた為なんだと思う。
とは言うものの、はじめの何回かは聴きながら不覚にも何度か意識消失してしまった(恐らく昨日のあまりの暑さと、読んでいた論文が意味不明だったせいもあるだろうけれど)。しかしこれは私とSymphony Xの関係においてよくあることで、何故か最低でも何度か聴かないと楽曲のよさが分からないのである。今のところはfastかつcatchyな#4~#5の流れやballadの#7がお気に入りではあるが・・・。バンドを長年フォローしていると「あーあ、昔の曲はよかったのになー」と思うことが少なからずあるけれど、本作はそんな虚脱感とは無縁。未だに私の金字塔となっている3作目「The Divine Wings Of Tragedy」に迫る(超えた?)1枚、ならぬ2枚でした。
ディスク:1
1. Iconoclast
2. The End of Innocence
3. Dehumanized
4. Bastards of the Machine
5. Heretic
6. Children of a Faceless God
7. When All is Lost
ディスク:2
8. Electric Messiah
9. Prometheus (I Am Alive)
10. Light Up the Night
11. The Lords of Chaos
12. Reign in Madness
聴けば聴くほど全曲が赤く染まっていくような予感。
まだ10回弱しか全編通して聴いていないが、早くも「Paradise Lost」よりも好きになる。
ゴリゴリッとしてそれでいてネオ・クラシカルなギター旋律を嫌味なく鏤(ちりば)めつつ、ヴォーカルは相変わらずの暑苦しさ。かと思えば#7「When All is Lost」のようなBalladを完璧に歌い上げる。これまでのSymphony Xの系統をしっかりと受け継いだ作品である。
大学受験時に死ぬほど聴いた「Out of the Ashes」や「Candlelight Fantasia」、その後に続いた「Smoke and Mirrors」などの、バンド黎明期の傑作楽曲群が霞んでしまうかのような勘違い(?)を起こさせたのは、この2枚組がとても緻密に緻密にしっかりとしっかりと丁寧に創り込まれた為なんだと思う。
とは言うものの、はじめの何回かは聴きながら不覚にも何度か意識消失してしまった(恐らく昨日のあまりの暑さと、読んでいた論文が意味不明だったせいもあるだろうけれど)。しかしこれは私とSymphony Xの関係においてよくあることで、何故か最低でも何度か聴かないと楽曲のよさが分からないのである。今のところはfastかつcatchyな#4~#5の流れやballadの#7がお気に入りではあるが・・・。バンドを長年フォローしていると「あーあ、昔の曲はよかったのになー」と思うことが少なからずあるけれど、本作はそんな虚脱感とは無縁。未だに私の金字塔となっている3作目「The Divine Wings Of Tragedy」に迫る(超えた?)1枚、ならぬ2枚でした。
ディスク:1
1. Iconoclast
2. The End of Innocence
3. Dehumanized
4. Bastards of the Machine
5. Heretic
6. Children of a Faceless God
7. When All is Lost
ディスク:2
8. Electric Messiah
9. Prometheus (I Am Alive)
10. Light Up the Night
11. The Lords of Chaos
12. Reign in Madness
聴けば聴くほど全曲が赤く染まっていくような予感。
(本) 本物の医師になれる人、なれない人 - 小林公夫
本書では「本物の医師」の、7つの能力・資質が挙げられており、それ以外にも、現役医師に訊いて回答が得られた「本物の医師の条件」(p.187)が掲載されている。
著者の提示する7つの能力・資質とは以下。
・利益衡量(こうりょう)能力
・情報収集能力
・生命倫理への目配り
・人間性
・人権への配慮
・空間把握能力、推理力
・不確実性に立ち向かう姿勢を持ち続けること
私は、おそらくどれもこれもほんのちょっとずつしか満たしておらず、しょんぼりする。
本書には、現場の医師の端の端のそのまた端くれである私にも「まぁ、確かにそうですよね、そんなことすれば敗訴になりますよね」と思える事例が多く書かれている。これから医師になろうとする人、または医学部に来ようとする人たちが読んだら、少なからず怯(ひる)んでしまうのではないかと思う。場合によっては医師を志すこと自体をやめてしまうんじゃないかと心配してしまう。医学部受験前の13年前の私が、もし本書に触れていたら「こんなのとてもじゃないけどできないし素質もない、やっぱり自分には向いてないだろ。やーめた」と思っていたに違いないのである。だって今でもそう思う。でも、それは私が「本物の医師」ではなく、偽物の医師であるか、或いは「本物の医師」になる中途の道を万が一にも辿っているか、はたまた、あさっての方向に歩を進めているかということだろうけど。
率直に申し上げるならば、本書読了後、医師の大事な資質の中に
何があってもめげない心
がないのが不思議だった。
予想される治療結果が得られずに患者さんが亡くなってしまったり、当直中に集中力を欠いて、インシデントを起こしてしまったり。そういったことを真摯に振り返りつつ、けれども、のめり込みすぎずに「次、がんばろ!」と言えないと(言えなくてウジウジしながらでも行動できないと)、やっていけない気がする。恐らく、著者が言及するまでもないくらい、「本物の医師」になるためには当たり前の素養だろうし、恐らく「普通の医師」になるために必要な素養だろうと思う。
また、
正当化の基準の一つである法は、医師に決して不可能を要求しません。また、手を尽くした医師を断罪することもありません。(p184)
と著者は書いているが、これは
「ただし、著者が挙げた能力や資質をもった医師に対しては」
という言葉を付け加えねば成立しないと思った方がよいだろう。
私のような「本物でない」医師から見て、「こりゃ(敗訴になった医師にとって)あんまりな判決だ。」という事例は既に結構出ていると思う(日経メディカルの「医療訴訟の「そこが知りたい」―注目判例に学ぶ医療トラブル回避術」を読むだけでも小心者の私には、医師を続けていくことが恐ろしくて仕方ない)。
だからといって、医師になること自体はとんでもなくハイリスクでも、とんでもなく敷居が高いものでもないと思う。
本書を読んで怯んだ学生さんたちには「大学生」や「研修医」になってからでも開発される能力が多く潜んでいるんだよ、と現場の片隅から励ましてみたい。たかだが20年弱で上記の能力や資質が育まれるような環境で育つ人間なんて、稀だと思う。そして臨床の現場を支えているのは、「本物」かどうかは別として、多くの「普通」の臨床医たちである。医学部受験を乗り越えられるだけの気力と体力があれば、上記の能力・資質はトレーニングによって身につくだろう。多分。
取り敢えず、「こないだの模試の数学、最悪の出来だったぜ」とか「また志望校がE判定だったよ~」を乗り越えた先に、医学部での実験、実習、数多の試験、そしてその後の研修医としての現場において、医師として身に着けるべき能力や資質は、十分身についてくるのではないかと思う。
著者の提示する7つの能力・資質とは以下。
・利益衡量(こうりょう)能力
・情報収集能力
・生命倫理への目配り
・人間性
・人権への配慮
・空間把握能力、推理力
・不確実性に立ち向かう姿勢を持ち続けること
私は、おそらくどれもこれもほんのちょっとずつしか満たしておらず、しょんぼりする。
本書には、現場の医師の端の端のそのまた端くれである私にも「まぁ、確かにそうですよね、そんなことすれば敗訴になりますよね」と思える事例が多く書かれている。これから医師になろうとする人、または医学部に来ようとする人たちが読んだら、少なからず怯(ひる)んでしまうのではないかと思う。場合によっては医師を志すこと自体をやめてしまうんじゃないかと心配してしまう。医学部受験前の13年前の私が、もし本書に触れていたら「こんなのとてもじゃないけどできないし素質もない、やっぱり自分には向いてないだろ。やーめた」と思っていたに違いないのである。だって今でもそう思う。でも、それは私が「本物の医師」ではなく、偽物の医師であるか、或いは「本物の医師」になる中途の道を万が一にも辿っているか、はたまた、あさっての方向に歩を進めているかということだろうけど。
率直に申し上げるならば、本書読了後、医師の大事な資質の中に
何があってもめげない心
がないのが不思議だった。
予想される治療結果が得られずに患者さんが亡くなってしまったり、当直中に集中力を欠いて、インシデントを起こしてしまったり。そういったことを真摯に振り返りつつ、けれども、のめり込みすぎずに「次、がんばろ!」と言えないと(言えなくてウジウジしながらでも行動できないと)、やっていけない気がする。恐らく、著者が言及するまでもないくらい、「本物の医師」になるためには当たり前の素養だろうし、恐らく「普通の医師」になるために必要な素養だろうと思う。
また、
正当化の基準の一つである法は、医師に決して不可能を要求しません。また、手を尽くした医師を断罪することもありません。(p184)
と著者は書いているが、これは
「ただし、著者が挙げた能力や資質をもった医師に対しては」
という言葉を付け加えねば成立しないと思った方がよいだろう。
私のような「本物でない」医師から見て、「こりゃ(敗訴になった医師にとって)あんまりな判決だ。」という事例は既に結構出ていると思う(日経メディカルの「医療訴訟の「そこが知りたい」―注目判例に学ぶ医療トラブル回避術」を読むだけでも小心者の私には、医師を続けていくことが恐ろしくて仕方ない)。
だからといって、医師になること自体はとんでもなくハイリスクでも、とんでもなく敷居が高いものでもないと思う。
本書を読んで怯んだ学生さんたちには「大学生」や「研修医」になってからでも開発される能力が多く潜んでいるんだよ、と現場の片隅から励ましてみたい。たかだが20年弱で上記の能力や資質が育まれるような環境で育つ人間なんて、稀だと思う。そして臨床の現場を支えているのは、「本物」かどうかは別として、多くの「普通」の臨床医たちである。医学部受験を乗り越えられるだけの気力と体力があれば、上記の能力・資質はトレーニングによって身につくだろう。多分。
取り敢えず、「こないだの模試の数学、最悪の出来だったぜ」とか「また志望校がE判定だったよ~」を乗り越えた先に、医学部での実験、実習、数多の試験、そしてその後の研修医としての現場において、医師として身に着けるべき能力や資質は、十分身についてくるのではないかと思う。
2011年6月19日日曜日
(走) Training in Rena (其の百十二と百十三)
5/15 9.0km, 60min (8-12km/h, 傾斜0)
6/19 3.0km, 18min (9-12km/h, 傾斜0)
total distance: 791.2km (Jan 21.1km, Feb 37.0km, March 58.1km, Apr 9.0km, May 19.0km, June 3.0km)
total time: 4984min = 83h04m
5月の学会以降で初ランニング。この1年数ヶ月の間で、1ヶ月も走らない期間が空いてしまったのは初めて。こりゃまたイチからやり直しだな。
6/19 3.0km, 18min (9-12km/h, 傾斜0)
total distance: 791.2km (Jan 21.1km, Feb 37.0km, March 58.1km, Apr 9.0km, May 19.0km, June 3.0km)
total time: 4984min = 83h04m
5月の学会以降で初ランニング。この1年数ヶ月の間で、1ヶ月も走らない期間が空いてしまったのは初めて。こりゃまたイチからやり直しだな。
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