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2010年5月15日土曜日

冠動脈狭窄に悩んだ秋田県人の叫びの1例

火曜日11日。
月1回お世話になる外勤の病院。居宅から片道100分以上かかる。最寄駅からタクシーを使えばもうちょい時間短縮できようが、小さい頃から「タクシーはお金持ちが乗るもの!」と洗脳されて育った私にはタクシーは容易には使うこと能わざる乗り物なのである。

その1:Duration of Dual Antiplatelet Therapy after Implantation of Drug-Eluting Stents NEJM 2010, Volume 362:1374-1382
これはクロピドグレル(日本で商品名はプラビックス)+バイアスピリン群とアスピリン単剤群で比べたときにDES患者の死亡率はどうなるのかを2701例で19ヶ月followした研究である。結果は2剤併用群でMI,脳卒中、全死因死亡の複合リスクが有意ではないがアスピリン単剤群より上昇した。というものであった。心筋梗塞や全死因死亡等の各々のリスクは両群間で有意差はない。

その2:血管外科患者対象のCARP trial(J Vasc Surg 2006, 43: 1175-82)やDECREASE-V Pilot Study(J Am Coll Cardiol. 2007;49(17):1763-9)では術前の予防的血行再建を行っても短期死亡リスクや心筋梗塞のリスクは変わらないとしているし、最近のスタディでは術前PCIが術後30日以内の死亡率をむしろ上昇させるというものもある。

何でこれらの論文を思い出したかというと外勤先での任務はかねてから予告されていた通り、泌尿器科の手術の中でも1、2を争う長さの大手術の麻酔管理である。しかも高血圧、糖尿病、冠動脈3枝病変、肺気腫の合併症あり。3枝病変に対しては何故か2ヶ月程前にステント治療がなされており、しかもご丁寧に上記2剤の抗血小板薬はストップされている。もちろんヘパリン化はされていない。1年は継続しなきゃまずいんじゃなかったっけ?あ、でも最近NEJMに出た韓国のスタディでは逆の結果だったような……。という流れでのことである。上記の論文は「プラビックスとバイアスピリン」か「アスピリン」だけか、で比較しているのであり、抗血小板薬をやめていいとは一言もいってくれていない。とにかく目の前の患者さんの薬は中止されているのである。

術中にステント再狭窄だけは勘弁願いたい。施設により求められる麻酔のゴールが異なるのはよく実感することだが、この手術における最悪のゴールは 出血→頻脈、PVC散発→VT、VF→死 である。私の前だけでは心臓よ止まってくれるな!と赤血球をポンピングしているときに流れていた曲
Pain of Salvation「Ending Theme」

この曲のコーラス部ばかりが頭に流れ「え~んでぃんしぃ~、え~んでぃんしぃ~」と、映画のスタッフロールを迎えるかのごとき満ち足りた気分になれる手術の終結を心待ちにしていた。10時間の麻酔を終えた後には爽やかな開放感があった。

エビデンスを臨床に還元するのは難しい・・・と開放感に満たされて帰りのバス停で久しぶりに聞いた曲
友川かずき-生きてるって言ってみろ

2010年5月10日月曜日

ライン確保や採血に関連した末梢神経傷害

・肘で採血するときは上腕動脈の内側で行うべきではない(正中神経が通過するため):肘正中皮静脈や橈側正中皮静脈が適する
・手関節から12cm以内もライン確保、採血時に要注意(橈骨神経の皮枝が絡まりあっているため)
・神経傷害の頻度:採血において6-7千人に1人、重篤な神経傷害は150万人に1人
・治療:1.アミトリプチン他100mg眠前から増量、2.ガバペンチン200mg眠前から増量、3.神経ブロック

神経傷害回避を意識した場合、ライン確保の第1選択は手背もしくは12cm以上離れた前腕橈側皮静脈ということになろうか。   
***
手術室の総監督(当科ではインチャージと呼んでいる。総監督というより麻酔科管理手術症例の入退室コーディネーターといった意味合いが強い?)をやらせてもらうのは非常に面白い。毎日だとぐったりする程疲れるが、時々やることで身が引き締まる。全症例を自分が担当する症例だと考えると勉強になることが多い。色んな麻酔科医の管理方法のよい所を見学できるのがよいところ。PHSが鳴りまくるのが悪いところ。普段は11時前には空腹を感じてくるが、インチャージの日は10時前にはお腹が空いてしょうがないこともしばしば。それ位緊張しているせいなのだろうか?
20人程の患者さんの手術リスクを判断し、それぞれの管理に大きな間違いが生じないように全体を俯瞰する力(或いは自分でそう思っているだけかもしれないが)というのは、1つの手術室に1日中こもって、1人の患者さんに向き合って麻酔を行うのと同じ位大事なことのように感じた1日だった。

仕事を頼まれるのは嬉しいことであり感謝すること。…の筈だが「どこまでが責任をもって自分にできることなのか」の境界を引くのも相手に迷惑をかけないために大事なこと。その仕事が自分にとってレベルアップの機会と思えることならば、人生の原則や目標にある程度沿っているには違いないから喜んでやるほうがよさそうだ。
愚痴っぽくなってくると周囲の人々への感謝の気持ちを忘れがちになる。「我以外皆我師」だ。明日も謙虚に麻酔を行いたい。もやもやと色々なことを考えるときは思考のための思考に陥らず、目の前のやるべきことに集中しよう。

2010年5月8日土曜日

麻酔と誤嚥 aspiration

敵を知り己を知りて尚、百戦怖ろし。
しかし敵を知らずには戦うことさえ儘ならず。

定義:咽頭から気管へ何らかの物質が流入すること
適切な絶飲食時間: 軽食やスナック類(6時間)、固形物(8時間) - 1999ASAガイドライン
発生頻度:1万回の麻酔につき1-7例。平均在院日数は21日、多くがICUに入室。平均死亡率は5%
リスク:高齢、緊急手術、手術の種類(食道、上腹部、緊急開腹術)、食事摂取後、食道疾患(強皮症、アカラシア、憩室、Zenker憩室)、基礎疾患(糖尿病、通過障害、食道裂孔ヘルニア、麻薬や抗コリン薬)、外傷、妊娠、痛み・ストレス、意識レベル低下、病的肥満、difficult airway、神経筋疾患
注意点:
どんな患者がリスクが高いかを認識することが最も重要
・H2ブロッカが麻酔導入時に効果得られるようにするためには導入2-3時間前に投与。
・difficult airwayの患者は自発呼吸を保ったまま意識下挿管。局麻を併用する場合には噴霧を声門より上の気道に限る
臨床像:
・pH2.5以下の液体:0.4ml/kg以上で直ちに肺胞毛細管が破綻。間質浮腫、肺胞内出血、無気肺が起こり誤嚥して数分以内に低酸素になる。数時間後にさらに悪化することも(白血球による炎症性反応。chemical pneumonia)。
・非酸性の液体:肺サーファクタントを破壊。肺胞虚脱、無気肺で低酸素。酸ほど重篤でない。
・固形物:物理的閉塞と異物への炎症。
症状:90%以上の例で発熱。70%に頻呼吸やラ音。40%に咳、チアノーゼ、喘鳴
・2時間後に症状なく酸素投与量が増えていなければ完全に回復するだろう
治療:全ての患者にXpと数時間の観察。対症療法(気管内吸引、人工換気)、グラム陰性菌や嫌気性菌を誤嚥した場合以外は抗生剤は必要ない。

<その他の知識>
・圧:大気圧を0とするとUESは100mmHg、食道は-5mmHg、LESは20mmHg、胃内圧10mmHg
・麻酔薬:
UESはケタミン以外の麻酔薬で低下
LES低下:吸麻、PRF、チオペンタール、麻薬、アトロピン
上昇:スキサメトニウム、パンクロニウム、制酸薬
・意識レベルと気道反射は必ずしも平行しない
・輪状軟骨圧迫は第5頚椎と甲状軟骨間で食道入口部の圧迫閉塞をもたらす。100mmHgの逆流圧に耐えうる。
・挿管完了したら必ず気管内吸引して誤嚥がないことを確認。
・胃や小腸以外の手術では抜管時にも要注意。充満胃と考える。しっかり覚ます

<参考文献>
麻酔科シークレット第2版、MEDSi
麻酔科学スタンダード2-臨床各論

Training in Rena(其の二十九)、インボディ測定

ランニング:23分、3.2km(傾斜5.0で 10.0k/h 10分 → 5.0k/h 5分 → 10.k/h 8分) 計182.7km

(2月 48km, 3月 56km, 4月 63.1km, 5月 15.6km)
筋トレ:腹筋、腹斜筋、腸腰筋、広背筋
水泳:なし

トレーニング開始から3ヶ月経過したので、諸々測定してもらった。当初立てた目標では3ヶ月で脂肪量3kg減、筋肉量1.0kg増だった。
今日の結果を見ると…脂肪量は1.9kg減、筋肉量0.5kg増。隠れ肥満を示してた体脂肪率も低下しており、標準の範囲内に入った。というように目標には到達しなかったが、少なくとも悪化はしていなかった。トレーニング通りに下肢の筋肉量は増えていたが、体幹の筋肉量は3ヶ月前とほぼ同量。今後はランニングを継続しつつしっかりと筋力トレーニングを続ける必要がある。筋肉を太くするより持久力をつけるためには30回程度繰り返せる負荷で2,3セット。週2回程度トレーニングをするのがよいということだ。
トレーニングはやった行為が結果として素直に出てくるのが面白い。また3ヵ月後に測定してもらうことにした。
 

2010年5月5日水曜日

Training in Rena(其の二十八), フォーム考

ランニング:29分、4.1km(傾斜6.0で 8.5k/h 15分 → 9.0k/h 10分 → 10.5k/h 3分) 計179.5km
 (2月 48km, 3月 56km, 4月 63.1km, 5月 12.4km)
筋トレ: なし 
水泳:なし

フォームはいいに越したことはないだろうから、いつでも思い出せるようにメモ書き。
走る時間がまとめて取れなくても、麻酔中の体の姿勢ですら練習につながる?かもしれない。
・前に進む以外の無駄な動きをしない
・重心は丹田(へその下の部分)にあるので、この重心部分を上手く前に運ぶフォームを心がける。左右にぶれたり、重心の上下動が激しいのはよくない。
・腰が引けていたり、背中が丸いのはよくない。そうならないように、常に身体の真下に着地することを心がける。
・上半身は力みすぎず、リラックス。
・体幹の筋肉を意識して鍛える。日常生活ではお尻と腹筋を意識する。また、猫背にならないように背筋を伸ばし、軽く胸を開く。
・これらを日頃の軽いジョギングで常に意識し、繰り返し実践する。
参考文献:3時間台で完走するマラソン―金哲彦、光文社新書

残念な人の思考法 ― 山崎将志


本書による「残念な人」の定義は「ちゃんと学校を出て、入社試験もクリア、役に立つ資格も持っている。そしてやる気も十分あり、夜遅くまで懸命に働いている。しかし、結果が出ない人」のことのようである。「結果が出ない ≒ 患者に対して当然避けうるべき合併症を起こす」の図式にすると、明日には私も残念な人に転落である。麻酔にはそのような落とし穴が無数にある。ドラゴンクエスト2の「ロンダルキアへの洞窟」など目じゃない(言い過ぎか)。
本書の読者は恐らくビジネスパーソンなので、全部を自分のいる環境に当てはめるのは無為不毛な作業だが、使える部分はたくさんある。それこそ「関心」があれば。

・一般的に、家族、趣味、夢は、仕事が上手くいってこそ得られるサブセット(p6)
・部下に仕事を頼むとき、受け手にとって少なくとも2割は創意工夫の余地があるように、できれば5割くらいは新しいスキルが身につくように依頼するのがマネジメントが留意するべき、人材育成と業績のバランスをとった仕事の頼み方(p10)
・一日が終わって「疲れた」状態になることを仕事が充実していると勘違いしてはいけない(p10)
・人生は下りのエスカレーターを逆送しているようなものだ、と考えることがある。ただ立っているだけではどんどん下に行ってしまう。普通に歩いてやっと現状維持。(p19)
・使えないシステムの陰に使えない人間がいる(p31)
・お金を持っていたら馬鹿馬鹿しくてやらないことは、やらなくていいこと。他人に対する仕返しのような行動は、自分の品格を損ねる結果になる(p133)
・転職して成功するためには、今成功していないとダメ。日本中いくら探しても自分にあう仕事なんか見つからない(p170)
・専門性を高めるのは確かに必要だが、それに固執すると後が厳しい。スキルだけで競っているといつか年下に負けるときが必ず来る。どこかのタイミングで、エンプロイアビリティ(雇用されうる能力)とは関係ないところを習得しなければならない。(p176-7)
・行動の変革を考えるにあたっては以下をなぞってみる(p204)
 ・具体的である
 ・測定可能である
 ・納得している
 ・実現可能である
 ・今やるべきことである、または期限がある
・「好き」の反対は「無関心」である(p205)

楽しい人生を過ごすためにはネガティブ思考よりプラス思考の方がよいと思うが、そういう二元論的なものの見方がそもそも問題かもしれない、とぼんやり考えた。素直な心が大事なのだ。
***
今日学んだこと
・できない約束はしない
・約束は適当にしない
・約束をした場合には期限を決める

Rhapsody of FireのThe Frozen Tears of Angels(2010)

今年はメタルの新譜の当たり年のようだ。

バンド8作目のアルバム。
このバンドの作品を聴くのは「Symphony of Enchanted Lands II: The Dark Secret」(2004)以来。恵比寿の駅近にある普段ならば足を踏み入れないようなちょっとお洒落な雰囲気のCDショップを覗いてみたら偶然発見したので、即購入。

CDの歌詞カード内にアルバムの世界地図が描かれるという徹底ぶりに衝撃を受けたデビュー作の「Legendary Tales」が1997年。現在まで既に13年経過。にも関わらず、本作で描かれる世界はデビュー当初から何ら変化していない。大仰であるが故に飽きられてもおかしくないこの種の音楽を表現し続けている。継続は力なりとは使い古された言葉だが、まさに彼らのためにあるようなもの。驚きを通り越して尊敬に値することである。映画のサウンドトラックになるかのような世界観からハリウッド・メタル、とかシネマ・スコア・メタルなどと称されるようになっているが、本作も「The Lord of the Rings」の世界であり、ドラゴンが空を舞い、勇者が剣で敵を薙ぎ倒していくロールプレイングゲームの世界を連想させるものでもあり、それは本作でも全く変わりない。俳優クリストファー・リーがナレーションをつとめる#1「Dark Frozen World」に導かれる#2「Sea of Fate」は普通の出来。#3「Crystal MoonLight」はコーラスが印象的な佳曲。単調ながらコーラスの畳みかけが圧倒的な破壊力をもち是非とも大音量で聴きたい#4「Reign of Terror」は本作の1つのハイライト。#6「Raging Starfire」や#8「On the way to Ainor」と疾走曲が多いのは非常に嬉しいところ。
 大大大傑作だった5作目「Power of the Dragonflame」には及ばないものの歌メロはよいしクオリティは高く丁寧な作りの作品。

2010年5月4日火曜日

Training in Rena(其の二十七)

5月初ランニング。

58分、8.3km(傾斜3で40分: 8.5k/h 30分 → 9.0k/h 10分、
 傾斜5.0で10分: 9.5k/h 5分 → 10.0k/h 5分
 傾斜3.0で8分: 12.0k/h 5分 → 6.0k/h 3分) 計175.4km
 (2月 48km, 3月 56km, 4月 63.1km, 5月 8.3km)
筋トレ: 腹筋、脊柱起立筋 
水泳:なし

2010年5月3日月曜日

長瀞日記

この日は電車、バス、舟、ロープウェイといろんな乗り物に乗った。

電車に乗ること延べ2時間30分ほど。西武線の西端までやってきた。途中の芦ヶ久保駅からは妙な存在感を放つ銅の仏像が拝める。芦ヶ久保大観音(埼玉県横瀬町、2000年建立、18.5m、倭座り)だそうだ。正座した観音は珍しいらしい。

終点まで乗る人が多いのかと思いきや、直前の横瀬駅で8割方の乗客が降車した。皆「芝桜」を鑑賞しに来たようであった。芝桜は美しいが、毎年見たいとは思わない。数年前に見た栃木県芳賀郡市貝町の芝ざくら公園での美しさが未だ鮮明なので、取り敢えず無視することにした。

この日の最高気温は25.5℃。
てくてくと宝登(ほど)山を登り、ロープウェイで山頂に着いた頃には汗ばむ陽気。ロープウェイはちょこっと人が並んでいたので待っている間に「2009年第5回埼玉B級ご当地グルメ王1位」というキャッチコピーで売っていた「みそポテト」を食べる。ふかしたジャガイモを天ぷらにし、甘みそをからめるというシンプルさがまさにB級だが、味は見た目から想像される通りであった。

ロープウェイは乗ったかと思うとあっという間に終点についてしまう。ロープウェー内でのナレーションでは宝登山と神社の由来を説明してくれた。「山麓の宝登山神社は西暦110年、今から1900年前、第12代景行天皇の時代に創立されたと伝えられている。皇子日本武尊が勅命によって東国平定の時、遥拝しようと山頂に向っている折、巨犬が出てきて道案内をしてくれた。その途中、東北方より猛火の燃えて来るのに出遇い、尊の進退はどうすることもできない状態になってしまった。その折巨犬は猛然と火中に跳入り火を消し止め、尊は無事頂上へ登り遥拝することができた。尊は巨犬に大いに感謝したところ、忽然と姿を消した。このことから「火止山」の名が起きたという。また巨犬は大山祇神の神犬であった事を知り、また防火守護のため火産霊神を拝し、その後山麓に社殿を建て三神を鎮祭し、これが宝登山神社の起源であると伝えられる。」

ロープウェイで山頂に上ると緑が美しい。しかし暑い。
くてくと歩くと小さな動物園があり、サルや鹿、豚、ウサギ、アライグマ、孔雀などがいる。豚は放し飼いにされておりあちこちで糞をしまくっている。動物園内も坂道が多く、陽に焼かれて徐々にぐったりしてくる。日頃のランニングが全く役に立っていない程の体たらくである。

ロープウェイを降りると荒川ライン下りに行く。全長10m、20名乗れる和船に船頭さん2人が4mほどの竿を操り丁寧に川を下っていく。陽は照っていたが、風と水飛沫、緑の匂いが非常に心地よい。川の両岸にある岩肌が美しい。瀞(とろ)の意味通りに川の流れは緩やかで、とてもゆったりとした落ち着いた心になれる。30分弱の乗船だったが、心身ともに涼むことができた。紅葉の頃に乗っても気持ちよさそうである。

2010年5月2日日曜日

Alice in Wonderlandは☆☆

目下大ヒット中の本作。
AVATOR上映時に本作の予告編を見て以来ずっと気になっていたので見に行くことに。せっかくなので3Dで上映している映画館を探して見に行った。考えてみると今年初の映画館での映画鑑賞である。

興行収入を低下させるようなネガティブな意見を言うのは非常に憚られるが、私が何を書いても映画は大ヒットするだろうから書く。
極彩色のワンダーランドを映像化したのは見事だが、私の感性にはまさに映像美しか響いてこなかった。好奇心旺盛な子供なら楽しめるのか、はたまた原作を深く知る人たちならばもっと楽しめるのか…。最後の最後まで映画の世界に入り込めない自分に落胆。肝心の3Dが上手く機能しているかと言われると、それも微妙。アリスが穴に落ちるときとチェシャ猫が出たり消えたりする場面以外には3Dであるありがたみがあまり感じられなかった。
楽しめなかった要因の1つは恐らくストーリー。原作の世界の13年後ということだからこれまで誰も描いたことのない世界の筈。109分の上映時間に合わせてシンプルさを追求した反動なのか、妙にご都合主義的な進行で一貫性がないように感じられた。その一貫性のなさもワンダーランドの話だからわざと狙ってやったことなのか。謎かけのような台詞の1つ1つも恐らく原作を知っている人には楽しめるものなのだろう。
数えてみるとシザーハンズ、エドウッド、スリーピーホロウ、チャーリーとチョコレート工場、コープスブライド、スウィーニートッド、と今回でティム・バートン監督作7本目の出演となるジョニーデップ(こうして挙げてみると全部見てるものだ)。今作は帽子屋を演じた彼より、赤の女王を演ずるヘレナ・ボナム=カーター(監督の奥様。猿の惑星、ビッグ・フィッシュ、コープスブライド、チャーリーとチョコレート工場、スウィーニー・トッドと今作で6本目の出演)が強烈過ぎる印象を残している。特に"Off with her head!"といろんな登場人物の首を何度もはねさせようとするシーンはそれぞれ破壊力があって非常によい。
振り返ってみると楽しめなかった1番の要因は原作を読んだことがない自分にある気がするが、芋虫のアブソラムをアラン・リックマンが、ジャバウォックの声をクリストファー・リーが演じていたことなどは嬉しい驚き。